フリーキャッシュフロー 見るべきは財務活動とのバランス

フリーキャッシュフロー 見るべきは財務活動とのバランス

経済の変動が急激に、かつ急速に進む昨今。企業分析の世界でも利益以上に現預金の流れ「キャッシュフロー」を重視するようになってきました。今回はその中でも「フリーキャッシュフロー」について学んでいきましょう。

フリーキャッシュフローとは

フリーキャッシュフローとは読んで字のごとく「自由に使えるお金」という意味です。企業が事業活動を通じて得た資金のうち、自由に使える額を意味します。

フリーキャッシュフローを理解するために、まずキャッシュフロー計算書についての基礎を学びましょう。キャッシュフロー計算書には大きく3つの区分が存在します。

  
営業活動によるキャッシュフロー商品の販売やサービスの提供など、自社の事業を遂行することによる現預金の流れが該当します。事業がある程度しっかりと回っている場合、この部分はプラスになります。
投資活動によるキャッシュフロー必要な設備投資などによる現預金の流れが該当します。事業を継続するためには適宜投資活動を実施する必要があるため、通常はマイナスになります。
財務活動によるキャッシュフロー金融機関からの融資やその返済、増資や減資、株主に対する配当金支払いなどが該当します。この区分はその企業の状況により、プラスになったりマイナスになったりします。

フリーキャッシュフローは、以下の算式により計算できます。

営業活動によるキャッシュフロー + 投資活動によるキャッシュフロー

例)営業キャッシュフローが+50、投資キャッシュフローが△30の場合

フリーキャッシュフロー = 50 + △30 = 20

つまり、この会社が自由に使うことができる資金は20ある、ということになります。

フリーキャッシュフローの基本は「プラスが好ましい」

冒頭でも触れた通り、昨今の経済は急変します。事態が急激に変わったとき、いざというときに頼れるのは手元資金です。

フリーキャッシュフローのプラスが大きいということは、それだけ手元資金を厚くできる可能性が高いということを意味します。つまり、それだけ安定度が高い企業と考えられるのです。

事業活動における一つの目標は「フリーキャッシュフローの最大化」とも言われます。それくらい、事業活動分析においては基本となる指標なのです。

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フリーキャッシュフロー分析の具体例

フリーキャッシュフローはプラスである方が好ましいのは事実です。しかし「単にプラスであれば良い」というものでもなく、内容については精査が必要です。
いくつかの事例で考えてみましょう。

投資キャッシュフローがプラスの場合

営業キャッシュフロー: △50
投資キャッシュフロー: +90
フリーキャッシュフロー = △50 + 90 = 40

フリーキャッシュフローだけでみればプラスですが、その内訳がいびつです。上でも紹介した通り、投資キャッシュフローは通常マイナスになります。この企業の場合、ひょっとしたら「本業の状況が芳しくないので、保有していた設備や資産を売却して穴埋めした」という可能性があります。

投資キャッシュフローのマイナスが大きい場合

営業キャッシュフロー: +70
投資キャッシュフロー: △150
フリーキャッシュフロー = 70 + △150 = △80
財務キャッシュフロー: +100

この企業は本業で獲得した以上に投資活動を実施しています。ひょっとしたら「身の丈に合わない投資」を実施しているのかもしれません。その一方で、さらなる発展を目指して勝負に出た可能性もあります。財務キャッシュフローをみると大きくプラスになっています。もしかすると「大規模な投資を実施することになったので、大きな融資を受けた」のかもしれません。

財務キャッシュフローに足りない場合

営業キャッシュフロー: +60
投資キャッシュフロー:   0
フリーキャッシュフロー = 60 + 0 = 60
財務キャッシュフロー: △300

フリーキャッシュフローだけでみると、プラス60あるので十分であるようにみえます。しかし、財務キャッシュフローをみると△300という大きな数字が出ています。考えられるのは「過去の投資や資金繰り補填でつくった莫大な借金の返済に追われている」という状況です。確かにフリーキャッシュフローはプラスですが、借入返済に全く間に合っていないのです。投資キャッシュフローが0というのも、見方によっては「有効な投資を実施できていない」と分析することもできます。この場合、いわゆる融資のリスケ依頼などを考える必要があります。

このように、フリーキャッシュフロー分析は、そのプラスマイナスだけで終わらせるのではなく、そこに至るまでの過程や財務キャッシュフローとのバランスまで含めてみなければなりません。

経理担当者の立場からすると、各取引が「営業」「投資」「財務」のどれに該当するのか、という点について日常的に認識することが重要です。

まとめ

「営業」と「投資」の2つのキャッシュフローを合わせて「フリーキャッシュフロー」といいます。基本はプラスであることが好ましいですが、単独での分析に留めず、その理由や財務活動とのバランスなど、全体との調和の中で考えるようにしましょう。

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● 著者

高橋 昌也

高橋 昌也

高橋昌也税理士・FP事務所 税理士 1978年神奈川県生まれ。2006年税理士試験に合格し、翌年3月高橋昌也税理士事務所を開業。その後、ファイナンシャルプランナー資格取得、商工会議所認定ビジネス法務エキスパートの称号取得などを経て、現在に至る。