【2020年度税制改正】電子帳簿保存制度の見直し 進むペーパーレス化

2020年度税制改正では、電子帳簿保存制度の見直しも含まれています。電子帳簿保存制度については、2019年度の税制改正でも一部の特例が創設されるなど、段階的に実務レベルで効率的に活用できるように変化しています。ここでは、2020年度の税制改正の概要や今後の国の方針なども含めてお伝えしていきます。
また、中小企業と大企業のそれぞれについての改正点もまとめておりますので、あわせてご覧ください。

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経理プラス:【2020年度税制改正】大企業が押さえておくべき改正ポイント
 

電子帳簿等保存制度の見直し概要

電子帳簿保存制度の主な改正内容は、次の2点です。

保存要件の緩和と新たな電磁的記録方法

電子帳簿保存制度は、会計帳簿の処理で保存すべき書類を紙ベースではなく、電子データ(電磁的記録)で保存することを認める制度です。しかし、電子データは途中でデータが改ざんされるリスクがあります。そのため、対象データが改ざんされていないことを証明するものとして、タイムスタンプという方法を活用しています。タイムスタンプが付与されると、それ以降は変更されていないデータであることを証明できます。

今回は電磁的記録の保存要件を緩和する目的で、改正後に新たな電磁的記録方法を追加する流れになりました。それでは、どのように変わるのか詳しく確認しましょう。

電子データを受け取った場合、改正前後の保存方法は次の通りです。

 タイムスタンプの付与改正前改正後
発行者で付与受取手にて付与が必要受取手にて付与が不要
発行者で付与なし受取手にて付与が必要変更なし

現行は発行者のタイムスタンプが付与されていても、受取手もタイムスタンプの付与が必要でしたが、改正後は発行者のタイムスタンプがあれば、受取手では不要になります。

新たに認められる電磁的記録方法

また、新たに加えられた保存方法として、受け取る側が自由にデータを改変できない「クラウドシステムなどのサービス」を利用することが認められます。近年のIT普及に伴い、現状の電子データ利用に即した内容へ見直されたといえるでしょう。電子帳簿保存法の法的要件を満たしているか否かについてはJIIMAが認証しています。

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交通費・経費精算システム「楽楽精算」 交通費・経費精算システム「楽楽精算」

 

国はさらなるペーパーレス化を推進

会計書類等のペーパーレス化は、国も積極的に推し進めています。決算書類を含む会計書類等は、今までは紙ベースでの保存が義務とされてきました。義務化となっている以上、企業は電子データと紙との両方で保存するケースもあり、とても非効率になっていた部分があります。
そこで、事務処理の簡易化や過度な書類作成の削減、軽減税率導入で複雑化する会計の負担も削減する目的などから、電子帳簿保存法の整備が積極的に行われています。近年は会計ソフトの利用だけではなく、クラウドサービスを活用して交通費や交際費などの経費精算もペーパーレスで、しかも短時間で処理できるシステムの導入も増えつつあります。このように、今後もますますIT化が進んでいくのではないでしょうか。

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見直し適用時期

電子帳簿等保存制度の見直しは、2020年10月1日から施行予定です。保存制度の緩和を効率的に活用するには、クラウド会計などのサービス導入も検討していくことが望ましいでしょう。サービス利用にはある程度の比較検討する期間や、導入後のスムーズな運用までの期間が必要です。セミナーに参加するなど早めの対応がおすすめです。

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経理担当者が注意すべきポイント

電子帳簿等保存制度において、経理担当者が注意すべきポイントを解説します。

電子帳簿保存法の対象書類の確認

電子帳簿保存法は経理担当者であれば、知識として持っていると考えられますが、対象となる書類について明確に理解していないケースがあるかもしれません。ここで改めて確認しておきましょう。

  • 帳簿類:仕訳帳、現金出納帳、売上帳、売掛金元帳、仕入帳、買掛金元帳、固定資産台帳
  • 決算関係の書類:棚卸表、貸借対照表、損益計算書
  • その他の資料:契約書、領収書、預り証、預金通帳、手形類、見積書、請求書など

電子データ以外にスキャナ保存も可能

帳簿類や領収書などは電子データの保存が認められていますが、それ以外にスキャナ保存も可能です。電子データ以外の「紙」で受け取ったものをスキャンして保存する方法をとれば、電子データ保存として認められます。

電子帳簿等保存法を利用するには事前申請が必要

電子帳簿等保存法は、利用前に申請が必要です。管轄の税務署で手続きが可能ですので、これから電子帳簿等保存を検討している企業は早めに進めておきましょう。

経理プラス:電子帳簿保存法の申請方法とは

スキャナ保存承認以前の書類もスキャナ保存が可能

スキャナ保存の承認を受けた場合、承認以前の書類については一定の要件に該当すればスキャナ保存をすることが可能です。紙ベースの書類もデータ化できますので、可能な範囲で時間をつくり、飽和してしまっている書類の電子化を進めておきたいところです。一度にたくさんの作業は難しいですから、はじめは現状の年度を電子化するところから進めてみましょう。

タイムスタンプについて理解する

2020年度の税制改正でタイムスタンプの保存方法が見直されましたが、そもそもタイムスタンプの仕組みについては、経理担当者がしっかりと理解しておく必要があります。なんとなくイメージできるものの、タイムスタンプが付与されるタイミングや手順などが曖昧な人もいるかもしれません。タイムスタンプについては、下記の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。

経理プラス:電子帳簿保存法のスキャナ保存要件となるタイムスタンプとは?
 

まとめ

いかがでしたか。今回は、2020年度税制改正の中で、もっとも身近となる電子帳簿等保存法の見直しについてお伝えしました。請求書や見積書は普段から利用している書類であり、電子データでのやりとりも増えてきていることでしょう。どのような要件なら電子データ保存として認められるのか、特に経理担当者はしっかりと理解し活用できるようにしていきましょう。

また、中小企業と大企業のそれぞれについての改正点もまとめておりますので、あわせてご覧ください。

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経理プラス:【2020年度税制改正】大企業が押さえておくべき改正ポイント
 

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● 著者

渡部 彩子

渡部 彩子

自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門を経験。この経験を活かし、経理・総務・人事をテ ーマとしたコンテンツ制作を幅広く執筆。