借入金とは?メリットやデメリット、仕訳方法を解説

借入金とは?メリットやデメリット、仕訳方法を解説

企業が安定経営を行うためには、ある程度、事業資金にゆとりを持たせなければなりません。資金をすべて収益から賄うことができるのは理想ですが、不足する場合は「借入金」という手段で資金を準備することになります。

そんな借入金には、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。今回は、借入金の種類や利息の計算方法、借入金をすることのメリット・デメリット、仕訳方法などを詳しく解説していきます。日常的に使われる取引ですので、この機会にしっかりと押さえておきましょう。

借入金とは

借入金とは、企業が他者から融資を受ける形で調達する資金のことです。一般的には銀行など金融機関からの融資が多いですが、取引先や個人というケースもあります。

通常、借入金は返済条件ごとに利息がかかります。返済は元金と利息を合わせた金額で行います。

借入金の種類

借入金には、「短期借入金」と「長期借入金」という二つの種類が存在します。

短期借入金

短期借入金は、返済期限が1年以内に到来するものを指します。たとえば、4月に借入して3カ月後の7月に返済する場合などです。将来的にまとまった資金が入金される予定だが、それまでの間に一時的に資金繰りが厳しくなりそうなときなどに利用されます。

短期借入金は、数カ月後の返済日に借入額を「一括返済」することが特徴です。一時的に資金を調達しているに過ぎないため、長期的な資金繰りの改善効果としては期待できない場合が多いでしょう。

長期借入金

長期借入金は、返済期限が1年を超えるものを指します。一般的な資金繰りのための借入の他、設備資金として調達する場合のほとんどが長期借入金です。借入金の種類にもよりますが、返済期間は5年~10年、大規模な設備投資では15年というケースもあります。

長期借入金は短期借入金とは異なり、長期間で返済が可能な点が特徴です。とはいえ、まとまった金額での融資ができるため、企業に返済能力があるかどうか、金融機関からしっかりと審査されます。

なお、借入金については、こちらの「短期借入金とは?長期借入金との違いや会計処理方法を徹底解説」の記事でも詳しくご紹介していますので、併せてご覧ください。

借入金利息の計算方法

借入金は、借りている期間に応じて利息がかかります。計算式は次の通りです。

利息=元金×利率÷365日×借入日数

一般的に利息は日割計算で行われます。下記の事例で解説していきましょう。

50万円を利率3%で60日間の借入期間(切り捨て)

2,465円(利息)=50万円×3%÷365日×60日

利息は、借入期間の長さに比例します。返済期間が長いほうが月々の支払いに無理がないという判断もありますが、その分利息の負担が増えるということも覚えておきましょう。

借入金をするメリット・デメリット

借入金のメリット・デメリットとしては、次のような点が挙げられます。

メリット

借入金によって事業資金にゆとりが生まれまるため、資金繰りが楽になり経営を安定させやすくなることは大きなメリットの一つです。また、設備投資に力を入れられるのも大きなポイントといえます。業務効率化のために機械を導入する際などにも借入金が役立つでしょう。

さらに、借入金を返済することによって、金融機関の信頼関係を築けることもメリットの一つです。

デメリット

当然ですが、借入金をするということは、月々の返済が必要になるということです。そのため売上、収益に見合わないような借入金をすると、返済していくことが苦しくなる可能性もあります。

マイナス金利などによって借入要件が緩和されると簡単に借入ができてしまうため、しっかりと計画せずに安易に借りてしまうと、借入金に依存した経営になる可能性も否めません。

企業が利益を確保するという根本的な部分がおろそかになってしまったり、成長を鈍らせたりすることがあります。借入金は、きちんと目的をもって計画的に進めることが大切です。

借入金の仕訳方法

借入金の取引があったときは、どのように仕訳すればよいのでしょうか。借入金を借りたとき、返済したときで解説します。

【借入をした】銀行から2,000万円の長期借入を行い、入金された。

借方金額貸方金額
普通預金20,000,000円長期借入金2,000,000円

【借入金を返済した】毎月の返済額20万円が引き落とされた。利息は2万円。

借方金額貸方金額
長期借入金180,000円普通預金200,000円
支払利息20,000円

利息分と元金は別々に記載して仕訳します。上述の事例は長期借入金でしたが、短期借入金でも基本的な仕訳は同じです。

借入金が増えることのリスク

政策などによって安易に借入が通る場合、返済額が膨らみ、ゆとりをもって返済額を確保することが難しなります。毎月の返済が苦しくなると、借入金の返済のために借入をするというような悪循環に陥りやすくなるため、気を付けましょう。

間違いなく返済できるものか、事前にシミュレーションできると安心です。

まとめ

今回は、企業が行う借入金について、その種類やメリット・デメリット、注意点などについてご紹介しました。借入には「長期」と「短期」があり、借りられる期間や返済方法などがそれぞれ異なります。資金繰りを短期的な期間で捉えるか、長期的な返済にするのか、それぞれの特徴を理解した上で選択することが大切です。短期も長期も審査が行わることは変わりません。

企業にとって最適な借入金の方法を選択するために、しっかりと押さえておく必要がある部分ですので、借入の基礎から仕訳まできちんとマスターできるようにしておきましょう。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

著 者 渡部 彩子

渡部さんお写真w240h240

大学卒業後、自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門に在籍。経理・総務・人事の実務を経験し、同法人在籍中に日商簿記2級を取得。その後、保険・金融業界での経理業務の経験を経て、ライターとして独立。これまでの実務経験を元に経理業務をテーマとしたコンテンツ制作を中心に執筆。