【令和3年度税制改正/後編】電子帳簿保存法に関わる税制改正ポイント

【令和3年度税制改正/後編】電子帳簿保存法に関わる税制改正ポイント

令和3年度の税制改正大綱が発表されましたが、経理業務に関わる電子帳簿保存法の改正がいくつか見込まれています。今回は、電子帳簿保存制度の承認制度の廃止や新しい保存要件などについて解説していきます。

令和3年度の税制改正大綱は3編に分けて解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
経理プラス:【令和3年度税制改正/前編】企業のDX推進や投資に関わる改正ポイント
経理プラス:【令和3年度税制改正/中編】企業の税負担軽減に関わる税制改正

電子帳簿保存法の見直し概要

今までも電子帳簿保存法は、段階的に緩和する措置などがありました。今回の改正によってペーパーレス化やデータ保存が広く普及している背景から、さらに実態に則した保存方法へと見直されていくものと考えられます。その主なポイントは次の通りです。

  • 電子帳簿保存制度の事前承認制度部分を廃止
  • 国税関係書類の電磁的記録等による保存制度の見直し
  • 国税関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し
  • 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度の見直し

ここからは、それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。なお、電子帳簿保存法については、以下の記事でも詳しく解説しておりますので、ぜひ参考にしてみてださい。

経理プラス:「電子帳簿保存法とは?~保存できる書類と手続き方法~」

電子帳簿保存制度の事前承認制度を廃止

電子帳簿保存法は、電子化する証憑の決定後に、電子化手順書や対応機器の準備などを経て、実際に電子保存を開始する3ヶ月前までに所轄の税務署に申請書の届け出を行います。その後「承認」されてから電子保存の開始というプロセスが必要でした。この開始までの3ヶ月前という期間は、実質的には承認待ちの待機期間となり、運用までには一定の期間を要しました。

しかし、3ヶ月前の届け出後の「承認制度」という部分が廃止されることで、届け出後は「みなし承認」扱いとなり速やかに電子保存を開始することが可能になります。

国税関係書類の電磁的記録等による保存制度の見直し

国税関係帳簿書類については、次のような点の見直しがされる見込みです。

要件現行改正
A国税関係帳簿書類B国税関係帳簿書類
税務署長等の承認廃止届出
真実性の確保訂正・削除履歴の確保
相互関連性の確保
関係書類等の備付け
可視性の確保見読可能性の確保
検索機能の確保
国税庁等の当該職員の質問検査権に基づくその国税関係帳簿書類に係る電磁的記録のダウンロードの求めがある場合には、これに応じること。
・A国税関係帳簿書類・・・2022年1月1日以後に備付けを開始するもの
・B国税関係帳簿書類・・・2022年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税

従来の電子帳簿保存法では、保存要件は1パターンしかありませんでした。しかし、今回の改正で2パターンの保存形式が認められることとなります。「A国税関係帳簿書類」は電子データでの保存が可能な書類となり、「B国税関係帳簿」は改正前の一定の要件を満たす書類となります。改正前の電子帳簿の保存要件「B国税関係帳簿書類」を満たしている場合は「信憑性の高い電子帳簿」として認められることになります。また、これらの緩和に伴い、電子帳簿に改ざんや隠蔽などの不正が認められた場合には、重加算税が10%加重となります。

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国税関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し

より一層のペーパーレス化を推進する目的から、国税関係書類についてのスキャナ保存制度の見直しが見込まれます。主なポイントは次の通りです。

  • 承認制度・適正事務処理要件の廃止
  • タイムスタンプの付与要件の見直し
  • 検索機能の確保要件の見直し
  • データ改ざんでは重加算税措置

承認制度・適正事務処理要件の廃止

こちらは上述の「電磁的記録等による保存制度の見直し」で触れた通りです。また、「適正事務処理要件の廃止」は、今まで紙の原本とスキャナ画像が同一かチェックする部分を廃止としたものです。これにより、大幅に負担が削減されることが期待されます。

タイムスタンプ付与要件の見直し

改正の内容としては、下記の通りです。現行と見直しと比較してご覧ください。

 現行改正
事業者スキャナ読取り受領者が署名し、3営業日以内にタイプスタンプ付与が必要・スキャナ読取りで受領者の署名が不要。

・タイムスタンプの付与機関が最長2ヶ月以内。

・電磁記録の修正・削除をしたとき内容を記録できるシステムを利用している場合はタイムスタンプ不要。

タイムスタンプの付与期間が、3日以内から最長2ヶ月以内に緩和されます。また、スキャナ読取りでは、受領者の署名が不要になることや、電磁記録の修正・削除が記録されるような精度の高いシステム利用の場合はタイムスタンプが不要になるなど、システムの向上に則した内容になる見込みです。

検索機能の確保要件の見直し

電子取引の取引情報に関わる部分で、保存要件の緩和がされる見込みです。タイムスタンプ付与については、上述の通り付与期間が最大2ヶ月となります。その他の緩和要件は次の通りです。

検索要件改定前(保存義務者)改定後
右記以外の保存義務者① ダウンロード要求に応じる保存義務者② 売上高1,000万円未満の保存義務者
取引年月日、勘定科目、取引金額その他の
その帳簿の種類に応じた主要な
記録項目により検索
日付、金額、取引先のみ×
日付又は金額
の範囲指定により検索
××
二つ以上の任意の記録項目を
組み合わせた条件により検索
××

見直し後は、検索機能の要件が緩和されて、より効率的な電磁的記録の保存制度になっています。

データ改ざんでは重加算税措置

前述しましたがデータ改ざんによって、正確なデータの隠ぺい、仮装などが行われた場合は、ペナルティとして、その事実に基づいた修正申告等に課される重加算税が10%加重されます。

電子保存では、少なからずデータの改ざんが行われるリスクがありますので、修正や削除があったことを記録できるシステムの導入も推奨されています。

まとめ

電子帳簿保存法は制度が施行されてからも、企業がより取り組みやすい方向に促すため度々改正されていますが、今回の税制改正では、取り扱うシステムなども含めて、より改善されていく見込みです。このように電子帳簿保存法は、改善の頻度が高い傾向が見られ、また経理担当者とも関わりが深い制度となります。是非これからも最新情報をキャッチアップされることをおすすめします。

令和3年度の税制改正大綱は3つの記事で解説しています。是非あわせてご覧ください。
経理プラス:【令和3年度税制改正/前編】企業のDX推進や投資に関わる改正ポイント
経理プラス:【令和3年度税制改正/中編】企業の税負担軽減に関わる税制改正

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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● 著者

渡部 彩子

渡部 彩子

自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門を経験。この経験を活かし、経理・総務・人事をテ ーマとしたコンテンツ制作を幅広く執筆。