電子帳簿保存法のスキャナ保存要件となるタイムスタンプとは?

電子帳簿保存法により、契約書や領収書といった取引関係書類の電子データ保存、スキャナ保存が可能になりました。しかし、ただ単に保存しただけでは、税務上の正式書類として認められません。なぜなら、電子データは容易に改ざんできる可能性があると考えられているためです。

正式な書類として存在するため、たとえばスキャナ保存する場合は「タイムスタンプ」を付与することが要件とされています。ここでは、このタイムスタンプの使い方や、スマホ撮影が可能であるかなど、詳しく見ていきましょう。

 

タイムスタンプとは何か

タイムスタンプとは、ある時刻にその電子データが確かに存在していたこと、またその時刻以降に不正な改ざんなどがされていないことを証明するためのものです。スタンプの情報を調べることで、その時刻に存在し、改ざんされていないことを確実に確認(証明)することができます。

タイムスタンプを発行する時刻認証局(TSA:Time-Stamping Authority)が第三者となり発行しているため、信頼性があるものとされています。手紙で例えると、郵便局の消印に近いイメージです。

また、スキャナ保存した電子データにタイムスタンプを付与することで、確実に存在する書類と証明することができるため、電子帳簿としても認められることになっています。

 

電子帳簿保存法でのスキャナ保存要件

国税庁では、電子帳簿保存法でのスキャナ保存について、以下のような要件が必要であるとしています。(2016年改正)

【取引関係書類について】
(契約書、領収書、請求書、納品書、見積書、注文書など)

  1. 真実性の確保
    ・入力期間の制限
    ・一定水準以上の解像度及びカラー画像による読み取り
    ・タイムスタンプの付与
    ・読取情報の保存
    ・ヴァージョン管理
    ・入力者等情報の確認
    ・適正事務処理要件
  2. 可視性の確保
    ・帳簿との相互関連性の確保
    ・見読可能装置の備付け等
    ・電子計算機処理システムの開発関係書類等の備付け
    ・検索機能の確保

(参照元URL:国税庁 電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の要件が改正されました

以上の要件をもう少し詳しく説明していきましょう。

タイムスタンプは、一般財団法人日本データ通信協会が認定する業務に係るものを記録することとされ、受領者が読み取る場合は、受領後、受領者等が署名をした上で、3日以内にタイムスタンプを付与しなければなりません。また、一の入力単位ごとにタイムスタンプの付与が必要とされています。

2016年の改正前の要件では、スキャナは原稿台と一体型に限るとされていましたが、2016年の改正でこの要件は廃止されました。(後述のスマホ撮影でも可能か?で詳しく解説します)

また、小規模企業者に対しての特例が創設されており、保存義務者が小規模企業者の場合で、さらに「定期的なチェック」を税務代理人が行う場合、適正事務処理要件とされる「相互けんせい」は不要となることが認められています。

 

タイムスタンプの利用の仕方

タイムスタンプは、1.タイムスタンプの要求、2.発行、3.検証という順序で構成され、「1.要求」と「2.発行」については、利用者が電子文書の指紋に相当する「原本のハッシュ値」を時刻認証局に送付します。

時刻認証局は、このハッシュ値に時刻情報を付与したタイムスタンプを利用者に送付するという仕組みです。「3.検証」は、原本データのハッシュ値とタイムスタンプのハッシュ値を比較し、一致していれば改ざんされていないという証明になります。

領収書を例にして、具体的なタイムスタンプの付与手順を見ていきましょう。

  1. 自書署名のある領収書を準備
  2. 領収書をスキャン・撮影
  3. 画像をアプリなどタイムスタンプシステムにアップロード
  4. タイムスタンプを付与

この流れを3日以内に行うこととされています。もし、改ざんがされた場合は、タイムスタンプの「検証」で「無効」と判定され、改ざんが発見されるということです。

 

交通費・経費精算システム「楽楽精算」 交通費・経費精算システム「楽楽精算」

 

スマホ撮影でも可能?その他利用の注意点

2016年の電子帳簿保存法改正で、「スキャナ装置が原稿台と一体となったものに限る」という要件が廃止となり、事実上、スマートフォンやデジタルカメラの撮影による電子化が可能になりました。

以前は、原稿台と一体型のスキャナに限られていたため、ハンドスキャナーも不可能となっていました。
しかし、一体型スキャナは、操作の速度や機器の場所確保など、多くの問題を抱えていたのです。そのため、スマートフォンなどが可能になったことは、事務処理の効率化、経費削減にもつながっていると言えるでしょう。

また、同じ2016年改正では、領収書を受領した本人による領収書電子化が可能となりました。改正前までは、不正の危険性などから認められていませんでしたが、受領者本人の電子化が可能になったことで、その効率上、スマートフォンやデジタルカメラの利用は必須であったと考えられます。

その他注意点

スマートフォンでの読取が可能になったことや、受領者本人が電子化できるようになったことは非常に便利なのですが、事務処理上の不正も心配されます。

たとえば、同じ領収書を2人が別々に撮影し、タイムスタンプを付与するという行為です。しかし、こういったことを防ぐために、受領者は領収書などの書類に自書で記名し、それを撮影、また3日以内にタイムスタンプを付与させなければならないというシステムとなっているのです。

また、スキャナ保存制度は、入力された領収書などの保存データについて、最低でも年に1回の定期検査が求められます。定期検査が完了した後は原本の破棄が可能になっていますが、監査が終わるまでは紙の書類も保管しておく必要がありますので注意しましょう。(画像データと元本を見比べる必要があるため)

 

まとめ

帳簿など書類の電子化は、システムを根本から理解することにも抵抗があり、また、社内全体の取り組みとして浸透するまでには難しい印象があります。システム理解のハードルも高そうで、なかなか本腰になれずに過ごされている企業も多いのではないでしょうか。

しかし、膨大な書類の整理や保存、チェック機能を考えると、電子化によってかなりの効率化とチェックの高速化、簡易化が期待できます。また、今後はますます取引先の電子化も進んでいくことが考えられるのです。社内システムとともに自動化の構築なども可能になってきていますので、社員をたくさん抱える企業、もしくは少人数の企業であっても、書類の電子化を一度検討されてみてはいかがでしょうか。

 

「経理プラス」メルマガでは、定期的に記事のランキングやおすすめ情報などをお届けしています。読み逃しがないよう是非ご登録ください!「経理プラス」メルマガ登録は・・・ こちらから

 

WEB帳票発行システム「楽楽明細」

● 著者

渡部 彩子

渡部 彩子

自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門を経験。この経験を活かし、経理・総務・人事をテ ーマとしたコンテンツ制作を幅広く執筆。