領収書への押印は電子印鑑で大丈夫?知っておきたい押印処理ルール

領収書への押印は電子印鑑で大丈夫? 知っておきたい押印処理ルール

印鑑を押す目的

ビジネス契約や雇用契約など、重要な契約を締結する際には必ず印鑑が押されます。ではそもそも、印鑑を押すのはどのような目的があるのでしょうか。

上、契約は当事者の意思の合致により成立するものとされています。つまり原則として、印鑑を押さずとも契約の効力に影響は生じないのです。その中で印鑑を押す意義として挙げられるのは、信頼性を担保すること。「言った、言わない」のトラブル回避や契約書の信ぴょう性確保のため、押印がなされるわけです。

日本で押印文化が根強い理由

日本では、公共機関や企業間取引で、提出書類に押印を求める文化が根強く残っています。先述した、信頼担保の一環が強いのでしょう。「印鑑=証明、認証」という認識が長年にわたって日本国民に培われてきており、押印文化の大きな要因となっています。

一方、契約書に押印不要という声も徐々に出てきています。政府は2020年6月、「特段の定めがある場合を除き、押印しなくても契約の効力に影響は生じない」旨を表明しました。今後、紙の契約書がなくなり、電子印鑑が主流になるキッカケとなるかもしれません。

領収書や請求書に押印は必要なのか?

日々私たちが接する領収書や請求書には、果たして押印が必要なのでしょうか。結論から言ってしまえば、こちらも法律上、押印は必要ありません。一方で、押印のない請求書や領収書は受け取らないなど、社内規定で定めている会社があることも事実です。法律上は押印の必要はありませんが、慣習的に押印しておくことをおすすめします。

なお、領収書には押印が必要なくとも、最低限記載が必要な項目があります。発行時には注意するようにしてください。

<領収書の必要記載項目>
(1)相手方の氏名又は名称
(2)発行者の氏名又は名称
(3)発行者の住所
(4)年月日
(5)取引に係る資産又は役務の内容
(6)支払対価の額

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電子印鑑とは

電子印鑑はデータとして作成された印鑑で、必要に応じ電子文書に簡単に押印することができます。紙で押印作業を行うより印刷や実印による押印の手間が省けるので、事務作業効率化が期待できるでしょう。

電子印鑑と印影の違い

電子印鑑と印影には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。ここで、詳しく見ていきます。

・印影データのみ

印影データを作成するには、主に3つの方法があります。

1)フリーソフトやWebサービスを利用する

以下をはじめとしたフリーソフトやWebサービスを利用して、印影データを作成することができます。無料で利用できるサービスも多いため、手軽に作成することが可能です。

(参考)Web認印

(参考)エクセル電子印鑑

2)印鑑ショップで購入する

印鑑ショップで印影データを作成することができます。実印作成時に印影データを頂ける、あるいは印影データのみ購入できるなど、ショップによって対応は多様です。

3)紙の印影を画像化する

紙に押印した印影をスキャンして画像化する方法です。実際の印鑑を用いているので信頼性は高いですが、社外で悪用される可能性があります。そのため、実印や銀行印を画像化することは控えましょう。

・タイムスタンプ付き

有料ソフトウェアや有料Webサービスを利用することで、タイムスタンプ付きの印影データを作成することができます。以下AdobeのAcrobat Readerが有名で、手軽にタイムスタンプ付きの文書を作成可能です。

(参考):Adobe Acrobat Reader DC

電子印鑑で経理業務はどう変わるのか?

電子印鑑が主流になってくると、経理業務はどのように変わってくるでしょうか。

紙で請求書や領収書を発行している場合、印刷・押印作業・折作業・封入作業・宛名書き・切手貼・郵便局への持ち込みと、多くの工数が発生します。担当者の作業負荷はもちろんのこと、紙代、印刷代、郵送代に加えて作業人件費と、1枚の請求書・領収書を発行するにもコストが発生していることも忘れてはいけません。

電子印鑑が浸透していけば、請求書・領収書を電子データとして発行することができるようになり、企業としては、業務効率化とコスト削減の両方が期待できます。

請求書や領収書を電子データで発行する方法

では、実際に電子印鑑を導入し、請求書や領収書を紙ではなく電子データとして発行する場合、具体的にどのような方法が考えられるでしょうか。よくあるものとしては、メールにPDFデータを添付して送るという方法です。急ぎで請求書を受け取りたいという方から、「先にメールで送ってほしい」といった要望を受けたことがある経理担当者の方も少なくないのではないでしょうか。しかし、請求書や領収書を1件ずつPDF化し、1通ずつメールで送るのは非常に手間がかかり、業務効率化にはつながりません。

発行する請求書や領収書が数十件、数百件ある場合には、電子請求書発行システムを導入することをおすすめします。システム導入というと難しそうな印象があるかもしれませんが、従来の請求データをシステムに一括で取り込み、数クリックするだけで、一斉にメール添付で送ることができるなど、簡単で安価なクラウドサービスもあります。

>>電子請求書発行システムといえば「楽楽明細」

電子印鑑の浸透は、請求書・領収書などを発行する際の業務効率化・コスト削減のチャンスです。ぜひこの機会に検討してみてはいかがでしょうか。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

著 者 篠原 泰之

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1990年生まれ、東京都出身。スタートアップで経営管理業務に従事する傍ら、管理部門構築支援や簿記講師、執筆活動など、財務経理を軸に幅広く活動している。日商簿記1級保有。