特別損失とは 台風やコロナによる影響を受けた際の会計処理は?

特別損失とは 台風やコロナによる影響を受けた際の会計処理は?

台風や新型コロナウイルス感染症など、予期せぬ突発的な事象によって企業が被害を受けることがあります。こうした被害の影響は、会計処理でどのように反映されるのでしょうか。今回は自然災害で被害を受けた際の会計処理について解説します。

特別損失とは

特別損失とは、企業が経常的に経営活動を行う以外の特別な要因により発生した臨時的な損失のことです。略して「特損」と呼ばれることが多く、損益計算書では経常利益の下の区分で表示します。一方、特別損失と相対する概念に特別利益があります。特別利益は、企業が経常的に経営活動を行う以外の特別な要因により発生した臨時的な利益を指します。

また、特別損失と似た概念として挙げられるのが営業外費用です。営業外費用は本業に紐づく費用ではないものの、経常的に発生する費用を示します。特別損失と営業外費用の一番の大きな違いは、特別損失が臨時的に発生する費用であることに対して、営業外費用が毎年経常的に発生する点です。なお、特別損失と営業外費用については、以下記事に詳しい記載がありますので合わせてご確認ください。

経理プラス:営業外費用と特別損失 違いと適切な処理を確認しよう

特別損失の対象となる取引

特別損失の対象となる取引には、どのようなものがあるのでしょうか。先述した特別損失の説明「企業が経常的に経営活動を行う以外の、特別な要因により発生した臨時的な損失」を具体化しながらご説明していきます。

固定資産の売却、除却

企業の保有する建物や車などの固定資産を売却や除却した場合には特別損失として計上し、勘定科目は「固定資産売却損」や「固定資産除却損」を用います。通常、企業が行う建物や車への固定資産投資は頻繁な売却や除却を想定していないため、特別損失として計上することとなっているものです。
一方で不動産投資業などは建物の仕入れや販売を生業としていますので、売却損が計上されたとしても特別損失に計上せず、売上総利益に反映させます。ビジネスモデルに応じて計上区分が変わることに注意しましょう。

投資有価証券の売却、評価減

企業の保有する投資有価証券を売却したり、株式を取得したりした際に著しく株式価値が低下した場合、特別損失を計上します。このときに用いる勘定科目は「投資有価証券売却損」や「投資有価証券評価損」です。
一方、売買目的で保有していた株式の売却損は営業外費用に計上します。これは、投資有価証券に関しては売却が一時的・臨時的である一方、売買目的の有価証券は経常的に売却の発生が見込まれるためです。

台風など自然災害や盗難に伴う損失

台風をはじめとした自然災害に伴う損失も、臨時的で発生前予期できないため特別損失として計上します。このとき、勘定科目は「災害損失」です。台風のほかに地震災害や津波、大雨、盗難によるものを含め、臨時的あるいは偶発的な災害に伴い被った損失は、特別損失への計上が認められます。

特別損失の経理処理方法

特別損失は、具体的にどのような経理処理を行っていくのでしょうか。ここで、3つのポイントを取り上げて見ていきます。

1. 損失が発生した証拠を残す

特別損失を計上するときには、臨時的、あるいは偶発的に損失が発生したことを示す証拠が必要です。たとえば自然災害なら、自然災害が起きたという事実と自社が被った損害証拠が求められます。前者はニュース記事などが証拠になりますが、後者は損害証拠を集める(または、第三者の意見を集めておく)必要があり、金額は合理的な基準で定めることになります。

2. 継続性のあるものは認められない

特別損失を計上するときには、臨時的、あるいは偶発的に損失が発生したことを示す証拠が必要です。たとえば自然災害なら、自然災害が起きたという事実と自社が被った損害証拠が求められます。前者はニュース記事などが証拠になりますが、後者は損害証拠を集める(または、第三者の意見を集めておく)必要があり、金額は合理的な基準で定めることになります。

3. 税務上は慎重に扱う

特別損失の計上額が税務上損金になり得るか否か、論点が分かれることが多いです。証拠となる資料や、金額の妥当性について顧問税理士や税務署に相談しながら、計上を進めるようにしましょう。

ここでは例として、台風で飲食店が臨時休業を余儀なくされたケースで考えてみましょう。臨時休業が余儀なくされた場合、在庫と固定資産、修繕費、人件費、その他固定費が特別損失計上の候補となります。

在庫

仕入れ在庫が台風によって水に浸かったり、臨時休業中に賞味期限が切れて売り物にならなくなったり場合は、在庫額を特別損失として計上することを検討できます。

固定資産

店舗の業務用冷蔵庫や専用機械が台風の影響で使用できなくなり、破棄した場合は簿価を特別損失として計上することを検討できます。

修繕費

台風による浸水で店舗の看板や内装設備を修理する場合、修理費用(修繕費用)を特別損失として計上することを検討できます。

人件費

台風による影響で被災した店舗を復旧するため、別店舗の社員や本社社員が手伝いに行くことがあるかもしれません。また、店舗休業のために、正社員として働く従業員が稼働できない状況が生まれる可能性もあるでしょう。その場合、当該従業員の人件費を特別損失として計上することを検討できます。

その他固定費

店舗が台風の影響で営業できないとしても、人件費のほかに発生し続ける固定費があります。たとえば家賃を筆頭に、電話代などの通信費やパソコンなどのリース料、販売管理システムの利用料などです。店舗の営業ができないにしても、これの諸費用は特別損失として計上することを検討できます。

在庫や固定資産、修繕費を特別損失に計上する際は、災害により使い物にならなくなったことを示す証拠(写真など)を残しておくと良いでしょう。ただし特別損失として計上できるか否かは、先述のとおり、証拠となる資料の保管や金額算定の合理性によって大きく変わってきます。顧問税理士や税務署の見解を聞きながら、慎重に会計処理を行うようにしましょう。

おわりに

自然災害を受けた際の会計処理について、詳しくご紹介しました。特別損失として計上するには、一定の要件があります。そのため、要件を満たすか否かの確認と証拠資料を残すように心がけましょう。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

経費精算システム「楽楽精算」

著 者 篠原 泰之

1990年生まれ、東京都出身。スタートアップで経営管理業務に従事する傍ら、管理部門構築支援や簿記講師、執筆活動など、財務経理を軸に幅広く活動している。日商簿記1級保有。