貸方・借方とは?意味や仕訳方法、貸借対照表の見方などを解説

貸方・借方とは?意味や仕訳方法、貸借対照表の見方などを解説

経理業務に携わる中で、帳簿や決算書にでてくる「貸方」「借方」という欄を目にする機会は多いでしょう。この貸方、借方とは何かを問われたとき、2つの意味や違いを正しく答えられるかどうか不安な方もいるかもしれません。

そこで今回は、貸方と借方の基本について用語の解説をするとともに、貸方と借方がどのように集計されて決算書につながっているか実際の仕訳例を交えて簡単にご紹介していきます。普段の仕訳業務で素早く整理できるように理解を深めましょう。

「貸方」「借方」とは

仕訳をする際には、勘定科目を「貸方」と「借方」それぞれ左右に振り分けて記載します。そもそも「貸方」「借方」とは何でしょうか。

複式簿記では、ひとつの取引が貸方と借方に分けられるのですが、左側に記載するものが「借方」、右側に記載するものが「貸方」です。取引を左右に分ける作業が「仕訳」であり、経理の基本となります。そして、仕訳を中心にした会計を簿記といいます。

借方と貸方、どのように振り分けるのかが、経理上では難しい部分ともいえるでしょう。増えるものと減るものという考え方で振り分けていきます。主な分け方は次のとおりです。

 借方貸方
資産資産の増加資産の減少
負債負債の減少負債の増加
純資産(資本)純資産の減少純資産の増加
費用費用の増加費用の減少
収益収益の減少収益の増加

資産、負債、純資産、費用、収益のそれぞれが、簿記上では増えたり減ったりの取引が繰り返されています。たとえば、商品を現金で売った場合、資産(現金)が増加し収益(売上)が増加します。資産の増加は「借方」で収益の増加は「貸方」となり、左右に振り分けられます。

「貸方」「借方」の基本的なルール

「貸方」と「借方」に振り分けるのは仕訳の基本ですが、次のような基本的ルールがあります。

「貸方」「借方」の金額は一致する

「貸方」と「借方」の合計金額は必ず一致します。これは例外がありません。「現金で仕入れする」という単純な取引なら、「貸方」「借方」の金額が一致するのは難しいことではありませんが、複式簿記で「仕入れ額を普通預金で振込支払いした、手数料が発生した」という場合、仕入れ取引と手数料の支払い取引とふたつ発生します。このような場合でも、「貸方」「借方」の合計は一致しなければなりません。

必ず一致するという法則を利用すれば、「一致しない」場合は何らかの仕訳ミスが疑われるということです。

取引は5つの項目に分類される

上述でも触れた通り、「貸方」「借方」の振り分けは、下記の5つの項目の増減に分類されます。5つの分類は、最終的に決算書作成までつながるものです。

  • 資産(流動資産・固定資産・繰延資産)
  • 現金預金や売掛金が流動資産、土地や建物が固定資産、開業費などが繰延資産です

  • 負債(流動負債、固定負債)
  • 支払手形や未払金が流動負債、社債、長期借入金が固定負債です

  • 純資産(資本)
  • 資本金や利益剰余金が純資産です

  • 費用
  • 広告宣伝費、通信費などです

  • 収益
  • 売上、受取利息、雑収入などです

「貸方」「借方」は決算書作成に必須の知識

「貸方」「借方」に勘定科目を振り分けて仕訳し、各勘定科目を集計すると「貸借対照表」「損益計算書」などの財務諸表が作成できます。日々の仕訳業務は最終的に確定申告にも必要な決算書作成につながるものです。「貸方」「借方」がどのように書類作成につながっているのかご紹介します。

貸借対照表

貸借対照表は、決算書類のひとつです。貸借対照表の借方には「資産」が記載され、貸方には「負債」と「純資産(資本)」が記載されます。日常の仕訳で振り分けられた集計が反映されています。

貸借対照表は、主に会社の財政状態を把握するもので、会社の安定性などを測ることが可能です。現預金などの資産、借入金などの負債、資本金などが集計されます。税務署や銀行などの取引先など、外部に公表される資料です。

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損益計算書

損益計算書は決算書類のひとつであり、会社の経営成績を把握するものです。会社の年度の売上、利益など業績を把握できます。前述の通り借方には「費用」が集計され、貸方には「収益」が集計されます。

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決算書

決算書は、金融商品取引法では貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書、付属明細書などの書類を指すものです。法人税申告書にも添付しますが、融資を受ける際に金融機関に提出することもあります。会社の業績を把握する資料となります。日々の仕訳業務をすべて集計したものが最終的に決算書となって作成されるため、「貸方」「借方」は非常に重要なものなのです。

経理プラス:ビジネス書式テンプレート「決算書」

実際の仕訳例

貸借対照表や損益計算書の部分にどのように反映されるものなのか、実際の仕訳例で確認しましょう。

  • 取引先から現金で商品10万円を仕入れた。
 借方金額貸方金額
仕入(費用の増加)100,000現金(資産の減少)100,000

仕入れは損益計算書に、現金は貸借対照表に反映されます。

  • 取引先から商品10万円を買掛金で仕入れた。
 借方金額貸方金額
仕入(費用の増加)100,000買掛金(負債の増加)100,000

仕入れは損益駅計算書に、買掛金は貸借対照表に反映されます。

  • 顧客に買掛金10万円を現金で支払った。
 借方金額貸方金額
買掛金(負債の減少)100,000現金(資産の減少)100,000

買掛金、現金は貸借対照表に反映されます。

  • 顧客に商品10万円を現金で販売した。
 借方金額貸方金額
現金(資産の増加)100,000売上(収益の増加)100,000

現金は貸借対照表に、売上は損益計算書に反映されます。

このような仕訳例のように、貸借対照表、損益計算書に反映される勘定がさまざまな組み合わせで振り分けられ、お金の流れが可視化されます。増加と減少に分けて考えると仕訳のイメージも湧きやすいのではないでしょうか。

現在は、会計ソフトを利用している企業が多いため、一度仕訳を入力すれば貸借対照表や損益計算書には自動で振り分けられ、集計もしてくれます。自動化は便利ですが、仕訳がどの部分に反映されているかきちんと理解できない側面もありますので、「貸方」「借方」の仕組みをしっかりと覚えましょう。

まとめ

今回は、簿記の基本である「貸方」「借方」の意味や、仕訳をするときのルール、決算書との関係性などについてご紹介しました。日常はあまり意識することなく進めている仕訳業務ですが、そのまま決算書に直結する重要な業務のひとつです。

記入ミスがないようにすることはもちろん、「貸方」「借方」の仕訳からどのように決算書が作成されるのか、正しく理解しておきましょう。

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この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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監修 税理士 谷澤 佳彦

1993年に税理士資格を取得し、「谷澤佳彦税理士事務所」を開設。近年は相続・事業承継に対する税務相談を数多く対応する。司法書士や不動産鑑定士など他の専門家とタッグを組み、組織として企業の繁栄・事業承継をサポートすることも得意とする。AFP(Affiliated Financial Planner) 資格を 2002 年に取得、 2 級 FP 技能士資格を2003 年に取得。

谷澤佳彦税理士事務所