2022年改正の電子帳簿保存法のポイントと導入事例を紹介!

2022年改正の電子帳簿保存法のポイントと導入事例を紹介!

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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より

テレワークの普及と共にデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中、電子帳簿保存法は時代のニーズに合わせて改正が進んでいます。今回は、2020年に続き、条件が緩和される電子帳簿保存法の改正ポイントと、電子帳簿保存法に対応した企業の導入事例を紹介します。

電子帳簿保存法とは

1998年に施行された、領収書・請求書をはじめとする、紙媒体の国税関係帳簿書類をスキャン保存し、電子データとして保存することを認めた法律です。本来7年間保存が必要な原本を、定期監査後またはスキャン後に処分し電子データで保存ができます。電子帳簿保存法に則った運用をするためには、「真実性の要件」及び「可視性の要件」をいずれも満たす形で電子保存することが必須要件となっています。
もともとは厳しい金額基準が設けられていましたが、現在は全ての領収書、契約書が対象になっており、スマートフォンなどで撮影したデータも認められるなど、2015年以降政府主導で推進されていることから、注目が集まっています。

経理プラス:電子帳簿保存法の対象書類は?保存期間や手続き方法を分かりやすく解説

電子帳簿保存法のメリット

電子帳簿保存法に対応することにより、経理業務のペーパーレス化を促進することができます。それにより、下記のような効果が期待できます。

  • 印刷作業の用紙・インク代コスト削減
  • 郵送コストの削減
  • 原本到着の時間削減
  • 原本管理コスト削減
  • 過去書類の検索性向上

近年コスト削減や、テレワークの導入を課題としている企業が増える中、電子帳簿保存法に対応することは、経理担当者のみならず、企業の業務効率化において重要な施策であるといえます。

電子帳簿保存法改正のポイント

2019年の電子帳簿保存法改正では、その対象が大きく見直されましたが、2022年の改正では導入・運用の要件が大きく緩和され、大企業以外でも導入が容易になりました。その主なポイントは次のとおりです。

  • 事前承認制度の廃止
  • 適正事務処理要件の廃止
  • タイムスタンプ付与の条件緩和
  • 検索要件の緩和
  • 不正行為にかかるペナルティの見直し

事前承認制度の廃止

従来は電子帳簿保存法に対応する場合、所轄の税務署へ事前に申請し、3か月の承認期間が必要でしたが、この事前承認が不要となります。そのため、社内のフローが整い次第、迅速に電子帳簿保存法の運用が開始できます。

適正事務処理要件の廃止

今までの運用では紙の原本とスキャナ画像が同一であるか、検査が必要とされていました。2022年の改正では、この検査が廃止となり、経理担当者の負担が大幅に削減されます。

この廃止の一方で、出力書面等の保存をもって当該電磁的記録に代えることができる措置は廃止され、取引情報をデータのまま一定の方法により保存することが義務付けられました(保存要件に従って保存できないことについてやむを得ない事情がある場合には、令和5年(2023年)12月末までに限って引き続き書面での保存が認められます)。つまり、令和6年(2024年)以降は電子取引で行われた請求書データを印刷した紙での保存が認められなくなり、必ず電磁的記録のまま保存しなければならなくなります。これは、電子取引をしている全ての企業が対象となるため、電子帳簿保存法に対応していない企業においても注意が必要です。

経理プラス:領収書の電子保存義務化が先送りに!経理に求められる対応とは?

タイムスタンプ付与の条件緩和

タイムスタンプの付与期間が、3日以内から最長2か月と概ね7営業日以内に延長され、さらに自筆の署名が不要となります。また、電磁記録の修正・削除が記録されるような精度の高いシステム利用の場合はタイムスタンプが不要になるなど、国税庁が公認するJIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)の「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証制度」において、認証を受けているシステムを活用することで、運用のハードルが一気に下がります。

経理プラス:目指せ!電子帳簿保存法対応で効率化!成功のカギは「JIIMA認証」

検索要件の緩和

取引年月日、勘定科目、取引金額やその帳簿の種類に応じた主要な記録項目を検索条件としていたものが、年月日・金額・取引先のみとなるなど、要件が簡易になります。特に基準期間(個人の場合は電子取引を行う日の属する年の2年前の期間、法人の場合は電子取引を行う日の属する事業年度の前々事業年度)における売上高が1,000万円未満の保存義務者と、ダウンロード要求に応じる保存義務者は日付または金額の範囲指定により検索できることや、二つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索ができるなどの要件がなくなり、より効率的な運用をすることができるようになっています。

不正行為にかかるペナルティの見直し

これらの条件緩和に伴い、データ改ざんによって、データの偽装・隠ぺいなどが行われた場合は、ペナルティとして、その事実に基づいた修正申告等に課される重加算税が10%加重されることになります。不正防止のリスクを軽減するためにも、修正や削除があったことを記録できるシステムの導入が推奨されるようになっています。

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経理での電子帳簿保存法の運用成功事例

電子帳簿保存法で電子保存できる書類の種類はさまざまですが、経理部門では領収書/請求書について電帳法対応を行うことで全社的に業務効率化がはかれます。実際、経費精算システム「楽楽精算」で電子帳簿保存に対応した場合は、以下のようなフローでの運用が可能となります。

既に運用を始めている企業では、働き方改革やテレワークをきっかけにして導入検討をした企業が多いそうです。

導入検討から対応成功までの道筋とは

株式会社東洋アルミニウム様では領収書の管理コストがかかることと、拠点ごとの経費精算ルールが統一されていないことの2点が経理業務において大きな課題でした。この問題を解決すべく、電子帳簿保存法の対応を検討し、実際に導入準備の作業としてはマニュアル作成をはじめ、エラーメッセージの検討など細かな取り決めに1か月ほどかけていたとのことです。また、実際に運用を始めた後にも、マニュアルの足りない点や、メッセージの微修正など、変更を要する点がでてきたのですが、その対応も1週間程度で完了されています。詳しい内容にいては下記記事をご参照ください。

経理プラス:【インタビュー】電子帳簿保存法対応に成功!東洋アルミニウムに聞く、導入検討から対応成功までの道筋とは

テレワーク導入をきっかけに電子帳簿保存法を導入した運用とは

今年度初めてテレワークに挑戦されたという方も多かったのではないでしょうか。さくらインターネット株式会社様では、システム化する前はエクセルで作成した申請書に領収書を貼付けて経理に提出し、経理で会計システムへ仕訳起票を行うという対応をされていましたが、テレワークの導入と同時に、電子帳簿保存法の対応を急ピッチで進められました。結果、緊急事態宣言発令の1~2か月後には対応が完了し、申請だけではなく領収書の確認までデータ上で確認し、支払いまでデータ上でできるようになったことで、経理担当者もテレワークへ移行をすることができたそうです。詳しい内容については下記記事をご参照ください。

経理プラス:【インタビュー】テレワークをきっかけに電子帳簿保存法機能の導入を促進!さくらインターネット作業時間4割削減に成功した方法とは

全社員30%の業務削減に成功した運用方法とは

さまざまな「働き方改革」の取り組みを推進されている、メタウォーター株式会社様は従業員全員が関わる経費精算業務の改善の一環として電子帳簿保存法に対応されました。その結果電子帳簿保存法の適用により、全従業員が領収書の糊付け作業廃止、「楽楽精算」のOCR機能で画像解析による自動入力になったことで負荷が軽減されるなどさまざまな効果が得られ、約20%~30%の経費申請にかかっていた時間を削減することが可能になりました。詳しい内容については下記記事をご参照ください。
経理プラス:【インタビュー】働き方改革の要は「紙」の廃止!電子帳簿保存法対応の先駆者、メタウォーターが電子帳簿保存法対応改革当時を振り返る

まとめ

電子帳簿保存法は段階的な改正により、導入・運用のハードルが下がっています。今後も、政府主導でテレワークの普及と共にデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中、電子帳簿保存法への対応の検討が必要となっていくと予想されます。2022年改正の条件緩和をきっかけに、ぜひ一度検討されてみてはいかがでしょうか。

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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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※:デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より

監修 税理士 川口 拓哉

著者

税理士(近畿税理士会)。2017年の税理士試験で官報合格。個人の税金から法人の税金までの幅広い税目について知識と実務経験を有する。川口拓哉税理士事務所所属。

川口拓哉税理士事務所