収入印紙は課税取引?非課税取引? 仕訳と勘定科目の見極め方

収入印紙は課税取引?非課税取引? 仕訳と勘定科目の見極め方

収入印紙の勘定科目

収入印紙とは、文書に対して発生する「印紙税」という税金を納める手段などに使われるもの。印紙税は課税対象となる文書の作成時に、その文書に収入印紙を貼付することで納税となります。

収入印紙は郵便局や法務局などで購入できますが、その購入代金の全額を経費にすることはできません。そのため、使用分のみを経費にするための仕訳が必要です。なお、収入印紙の仕訳に使用する勘定科目は、「貯蔵品」と「租税公課」の2つになります。

印紙税は税込価格で考える?

上記では、印紙税についての正しい知識を持っておくことが重要であるとお話しました。ここからは、印紙税や消費税を抑える上でぜひとも知っておくべきことを紹介していきます。

基準となるのは税込金額?税抜金額?

例えば・・・

  本体価格     49,800円
  消費税(10%) 4,980円
  合計       54,780円

このケースでは、本体価格の49,800円か、税込価格の54,780円のどちらの金額で印紙税を考えれば良いでしょうか。

実は、領収書の書き方によって異なります。
その取引に当たって「課されるべき消費税額等が明らかとなる場合」には消費税抜きの金額で計算することになるのです。すなわち、消費税額がいくらであるのかを、領収書に明記されているかどうかが重要なのです。

 ・本体価格     49,800円 

  消費税(10%) 4,980円
  合計       54,780円
 ・54,780円(うち、消費税額 4,980円)

という領収書の書き方の場合は、消費税額が4,980円と明記されているため、税抜価格の49,800円で印紙税を計算します。

 ・54,780円(税込)
 ・54,780円(消費税等を含む)

このような表示の場合は、消費税額が明らかでないため、税込金額の54,780円で印紙税を計算することになります。

特に今回のケースでは、消費税を明記していた領収書の場合は、5万円以下であることから非課税(0円)であるのに対し、消費税を明記していない領収書の場合は200円の印紙税が課税されることになります。
領収書に消費税額を明記することで、印紙税の金額も大きく変わってくるかもしれません。

(この規定については、以下の課税文書について適用が認められています。

  • 第1号文書(不動産の譲渡等に関する契約書)
  • 第2号文書(請負に関する契約書)
  • 第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)

 参考:国税庁「No.7124 消費税等の額が区分記載された契約書等の記載金額」

収入印紙の購入は課税取引?非課税取引?

収入印紙は購入時や使用時などに仕訳を行いますが、購入代金の消費税には課税関係にルールがあります。収入印紙はその購入場所によって、「非課税仕入」になる場合と「課税仕入」になる場合があるのです。

郵便局などは非課税取引

収入印紙を郵便局や法務局などで購入した場合、その購入費は消費税の非課税仕入に該当します。消費税の非課税取引となるものはあらかじめ決められており、その中に「日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡」というものがあるからです。

(参照)国税庁HP 非課税となる取引(5)

非課税仕入になるのは「印紙の譲渡」(=売買)のため、印紙を納税に使用するときは課税対象外(不課税)です。

金券ショップは課税取引

「印紙の売渡し場所」となる郵便局や法務局など以外で収入印紙を購入する場合、その購入費は課税仕入になります。例えば、金券ショップなどで購入する場合です。なお、こちらも印紙を納税に使用するときは課税対象外(不課税)になります。

具体的には、20,000円の収入印紙を購入する場合に、「印紙の売渡し場所」である郵便局や法務局などで購入する場合は、その20,000円は非課税仕入れで処理されます。一方で印紙を金券ショップで購入した場合には課税仕入れで処理されます。そして、20,000円×10/110=1,818円の課税仕入れに係る消費税額を計上することになりますので、消費税の納付税額を抑えることにつながります。

すなわち、印紙の購入場所を変更することで消費税を節税することができるのです。簡易課税を適用していない消費税の課税事業者は、印紙の額面の金額と価格差がないとしても、金券ショップに行って購入するほうが良いですね。

収入印紙購入の詳細や課税文書の種類についてはこちらの記事を併せてご覧ください。

経理プラス:収入印紙とは?購入場所と金額、基本のルールを徹底解説!

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収入印紙の仕訳方法(購入が非課税仕入になる場合)

収入印紙の仕訳方法には、次の2つがあります。

  • 購入時に「貯蔵品」の勘定科目に計上する方法
  • 購入時に「租税公課」の勘定科目に計上する方法

それでは、具体的に2つの仕訳方法の違いを見ていきましょう。まずは、収入印紙の購入が非課税仕入になるパターンからです。

購入時に勘定科目「貯蔵品」に計上する方法

購入時に収入印紙を「貯蔵品」という資産科目に計上し、使用のたびに経費で取り崩していく方法です。

<購入時>
【例】郵便局で収入印紙を30,000円分、現金で購入した。

 借方  金額  貸方  金額  
貯蔵品30,000現金30,000

購入時は、非課税仕入です。

<使用時>
【例】取引先との不動産売買契約書に収入印紙20,000円を貼付した。

 借方金額  貸方  金額  
租税公課20,000貯蔵品20,000

使用時は、課税対象外(不課税)になります。

【例】取引先B宛の領収書に収入印紙400円を貼付した。

 借方金額  貸方  金額  
租税公課400貯蔵品400

<決算時>
【例】決算において未使用の収入印紙9,600円がある
仕訳なし

<翌期首>
仕訳なし

「貯蔵品」については、こちらの記事も参考にご覧ください。

経理プラス:貯蔵品とは?適切な処理で節税メリットも

購入時に勘定科目「租税公課」に計上する方法

購入時に全て経費に計上し、期末に未使用分を差し引いて調整する方法です。

<購入時>
【例】郵便局で収入印紙を30,000円分、現金で購入した。

 借方金額  貸方    金額  
租税公課30,000現金  30,000

<使用時>
【例】A社との不動産売買契約書に収入印紙20,000円を貼付した
仕訳なし

【例】取引先B宛の領収書に収入印紙400円を貼付した
仕訳なし

<決算時>
【例】決算において未使用の収入印紙9,600円がある

 借方  金額  貸方  金額  
貯蔵品9,600租税公課9,600

振替は、課税対象外(不課税)です。

<翌期首>
(期首振替仕訳を行う)

 借方金額  貸方  金額  
租税公課9,600貯蔵品9,600

「租税公課」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

経理プラス:租税公課とは?会計上と税務上の処理の違いに要注意

収入印紙の仕訳方法(購入が課税仕入になる場合)

先ほどの2つの仕訳方法を、今度は収入印紙の購入が「課税仕入」になるパターンで見ていきましょう。

購入時に勘定科目「貯蔵品」に計上する方法

<購入時>
【例】金券ショップで収入印紙を税込32,400円(内消費税等2,400円)分、現金で購入した。

 借方金額  貸方  金額  
貯蔵品30,000現金32,400
仮払消費税2,400

購入時は、課税仕入になります。

<使用時>
【例】取引先との不動産売買契約書に収入印紙20,000円を貼付した

 借方金額  貸方  金額  
租税公課20,000貯蔵品20,000

使用時は、課税対象外(不課税)です。

【例】取引先B宛の領収書に収入印紙400円を貼付した

 借方金額  貸方  金額  
租税公課400貯蔵品400

<決算時>
【例】決算において未使用の収入印紙9,600円がある
仕訳なし

<翌期首>
仕訳なし

購入時に勘定科目「租税公課」に計上する方法

<購入時>
【例】金券ショップで収入印紙を税込32,400円(内消費税等2,400円)分、現金で購入した。

 借方金額  貸方  金額  
租税公課30,000現金32,400
仮払消費税2,400

<使用時>
【例】A社との不動産売買契約書に収入印紙20,000円を貼付した
仕訳なし

【例】取引先B宛の領収書に収入印紙400円を貼付した
仕訳なし

<決算時>
【例】決算において未使用の収入印紙9,600円がある

 借方  金額  貸方  金額  
貯蔵品9,600租税公課9,600

振替は、課税対象外(不課税)です。

<翌期首>
(期首振替仕訳を行う)

 借方金額  貸方  金額  
租税公課9,600貯蔵品9,600

2つの仕訳方法の違い

購入時に「貯蔵品」に計上する方法と「租税公課」に計上する方法は、どちらを使用しても「貯蔵品」の期末残高は9,600円、「租税公課」は20,400円です。いずれも正しい経理ですが、両者には仕訳の回数と期中の試算表に違いがあります。

まず購入時に「租税公課」の勘定科目に計上する方法では、仕訳が購入時と決算時、翌期首振替の3回で完結します。そのため、経理の手間が少なく、未処理によるミスも減るでしょう。ただし期中の試算表では、未使用の収入印紙の分だけ経費が多く計上されてしまいます。このことから、収入印紙のまとめ買いをするときは期中に使い切れる額を見込んで購入し、大きな誤差を生じさせない工夫が大切です。

これに対して、購入時に「貯蔵品」の勘定科目に計上する方法では、納税の度に使用分を経費として計上できます。そのため、期中の試算表で誤差を気にする必要はありません。経理の手間はありますが、どちらにもメリットはあるのです。

まとめ

収入印紙の仕訳には、購入時に「貯蔵品」に計上する方法と「租税公課」に計上する方法があります。また、購入時の仕訳は、購入場所によって「非課税仕入」か「課税仕入」に分かれることがお分かりいただけたでしょう。
このことから課税事業者は、収入印紙をあえて金券ショップなど課税仕入で購入できる場所で購入すると、節税のメリットを受けることができます。

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この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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● 著者

石田 夏

石田 夏

税理士事務所、上場企業の経理職を経てフリーライターに転身。 簿記やファイナンシャルプランナー資格を活かして、 税務・会計に関する企業向けコンテンツを中心に執筆中。 ポリシーは、「知りたいをわかりやすく」。