小口現金を廃止しよう!6つのルールと効率的な立替精算の方法
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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より
「小口現金」とは、会社の現金を入れた小さな金庫のことです。ある程度まとまった現金が常に用意されているため、外回りの社員が立替払いした金額を、その日のうちに現金で精算することができます。
日々生じる支払いのために置いている小口現金ですが、規模によっては100万円単位でストックしている会社もあります。小口現金はその場で経費精算を行うことができる便利なものですが、都度の記帳や毎日の残高確認など経理担当者の大きな業務負担となっていることには既にお気づきになっているかと思います。
今回は社内の経理業務の改善の一つとして、小口現金廃止のメリット、また廃止後のルール整備について解説したいと思います。
また、小口現金の基本や管理の改善方法について知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。
経理プラス:【まとめ】小口現金とは 管理を楽にする3つの方法を伝授!
小口現金はなぜ必要?
小口現金は社員が立替えたお金を現金で精算できるため、社員の金銭的負担を軽減することができます。小口現金の金額は企業規模や部署によっても異なりますが、過去の使用実績を元に不足しないように準備していることでしょう。
手元に現金があることで、会社に直接集金に来て精算を行う際に、金庫からお金を払うことができるため、毎回立て替える必要がなくなります。
小口現金のデメリット
このように便利に見える小口現金ですが、その一方でデメリットもあります。
立替精算が発生するたびに精算処理をしなければならない
小口現金を管理している経理担当者は立替精算を処理する必要があり、業務負荷が重くなる傾向があります。
「立替精算」とは、社員が一時的に立替払いした経費を社員に返還するための一連の手続きのことです。立替精算は単に小口現金からお金を取り出して終わりではなく、社員の精算内容(領収書や支出目的、必要に応じて責任者の承認など)を確認し、金銭を払い出した後は仕訳を行います。立替精算の度にこの一連の作業を行うことを考えると申請者や承認者の負担は増えることでしょう。
毎日、毎月の残高チェックが大変
1日の終わりには、小口現金の帳簿上の残高と現物の残高が一致するかどうかチェックを行います。金額にズレがあった場合、硬貨を数え間違えていないか、支払時に過払い、不足が無かったかなど、その原因を確認する必要があります。
小口現金による精算内容や帳簿と残高の確認業務は、経理担当者の大きな負担になっています。
実際に経理プラスの読者354名を対象に行った小口現金業務のアンケートでは70%以上の方が負担に感じているという結果になりました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
経理プラス:小口現金から解放!経費精算の99%をキャッシュレス化した方法とは
小口現金を廃止するメリット・デメリット
小口現金を廃止するメリット
1.小口現金を管理する経理担当者の負荷の軽減化
小口現金廃止の最大のメリットは、毎日非常に負担となっている残高確認と帳簿記入業務をなくすことができる点です。
残高確認は、毎日行うことが一般的です。1日の確認に要する時間は少ないかもしれませんが、月や年単位で考えると膨大な時間がかかります。また、金額が1円でもズレていようものならば、その確認に要する時間は底なしです。帳簿記入業務も同様、都度行う必要のある作業には多くの時間が奪われているのです。
そして、経理担当者の負担はこれだけではありません。このような細かな作業時間の累積だけでなく、「行わなければ帰れない業務」、「ズレることは絶対に許されない」という水準を求められる仕事を持つことへのストレスが大きくかかります。この負担をなくすことで、経理担当者の業務効率がぐんとアップするはずです。
2.小口現金だけじゃない、経費精算業務全般を効率化
小口現金の管理者だけでなく、立て替えを行った社員の申請やそれを都度承認する上長も手間が取られています。
経費精算を紙やExcelで行っている場合、経費精算書の作成やチェック、差し戻しなどアナログな作業が発生し、手間も時間もかかります。100名規模の会社だと経費精算に使われている時間は毎月延べ123時間という試算もあります。(※ラクスによる試算)
経理プラス:経費精算クラウドで、経理業務のIT化を促進!
この時間を削減すれば、本来取り組むべき業務に集中することができ、会社全体で生産性を高めることができます。
3.小口現金の紛失、横領のリスクからの解放
小口現金が存在することは、盗難や横領といった不正の機会を与えていることにもなります。小口現金の横領は本当に起こりやすく、小規模なものも含めるとほとんどの会社が過去か将来に必ず1回は起こると言われています。
身近に自由に出金できるお金があるという小口現金のアナログな管理方法や、経理担当者以外の社員の交通費や経費精算の不正に対する意識の低さなどから起きてしまいます。小口現金を廃止することによりそのようなリスクからも解放されることができます。
小口現金の横領の対策については別の記事で詳しくご紹介していますので、合わせてご覧ください。
経理プラス:小口現金の横領事件はなぜ起こる?横領が起きる原因と対策
小口現金を廃止するデメリット
1.立替精算の多い社員の負担が増える
小口現金を廃止する場合、月1回の締め日を設定するなどある程度まとめて精算することが一般的になります。いつでも現金で立替精算ができていたときに比べて、社員の立替精算を受ける1回あたりの金額は必然的に上がります。
そうなると、すぐに現金で支払ってくれる、小口現金の方が安心だと考える社員も出てくるかもしれません。これについては後ほど解説をしますが、仮払金支給を行うことで社員の金銭的負担を軽減することができます。
2.振込手数料がかかる
小口現金を廃止しても立替精算を廃止することはできません。そのため、社員が立替えた金額は後日口座に振り込むことになるため、振込手数料が発生します。
この場合、給与の振り込み時に合わせて立替精算の金額も振り込むことで振込手数料が追加で発生することなく処理できます。
たったこれだけ!小口現金廃止6つのルール
上記から、小口現金を廃止するメリットを理解いただけたかと思います。
とはいえ、特に取り決めもないまま急に廃止してしまうと、かえってトラブルの原因になることも。
ここからは、小口現金廃止の際に定めたい6つのルールをご紹介します。
1.金庫を廃止する
金庫をなくすというのは、すなわち小口現金のストックをなくすことに繋がります。まずは小口現金用の金庫を廃止しましょう。
思い切って手元の現金は全て口座等に預け入れ、小口現金の出納帳をなくすことにより、文字通り小口現金そのものと帳簿を廃止します。
2.立替経費は給与と一緒に振り込む
先ほどもお伝えした通り、小口現金を廃止しても、立替経費を廃止できません。
そのため、現金で支払う必要のある経費はいったん社員が立て替え、後日精算、給与と一緒に社員の口座へ振り込むことにより経費精算を効率化することができます。
3.取引業者は口座振替にする
会社に直接、現金を用いた集金がくる場合は、口座振替を利用することにより現金でのやりとりをなくすことができます。
切り替えには多少の手間と時間を要しますが、毎月のやりとりを長期的に鑑みればそのコストはわずかです。
4.法人用クレジットカード決済を推奨する
口座振替が行えない場合は、法人用クレジットカード(コーポレートカード)を利用し決済を行うことをおすすめします。
今の時代、インターネット通販でほぼ何でも購入できる時代ですので、切り替えてもそこまで不便ではないケースが多いです。
カードの使用上限を適切に定めることにより、法人用クレジットカードの不正利用のリスクを防ぐことが可能です。
なお、法人用クレジットカードを利用するときのメリットや注意点は「法人用クレジットカード活用のメリットと注意点」でまとめておりますので、参考にご覧ください。
また、クレジットカードだけでなく、SuicaやPASUMOなどの交通系の電子マネーを活用することで小口現金廃止後の経費精算をさらに効率化することができます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
経理プラス:キャッシュレス決済で領収書が不要に!?2020年度税制改正と利用時の注意点
5.一部社員には仮払金支給を実施する
長期出張や毎月金額の大きい立て替えを行う社員に対しては、事前に仮払金として一定額を支給し、金額確定後に残額を精算します。もちろん、これも給与支給と同時に行うことで小口現金を廃止します。
6.月末1回の締め日を設定する
精算の回数を減らすことができれば、集計時間などのコストも減らすことができるため、経費精算の締め日を月に1回にすることも有効です。しかし、立て替えている社員からすれば手元のキャッシュが減るため、ルールをしっかりと理解してもらう必要があります。毎月末等、定期的な時期で区切り、給与計算と同時に精算しましょう。
小口現金の廃止はシステム化と同時に行うことでさらに効率化できる
社員の交通費や経費の精算を月1回にまとめることにより、小口現金を廃止できることは上で述べましたが、従来の紙やExcelでの経費精算の場合、これだけでは面倒な業務が一度にまとまっただけで手間の削減をしきれたとは言えないでしょう。
そこでおすすめしたいのが、「楽楽精算」のような経費精算システムの導入です。システム上で事前の経費利用申請や承認、その後の精算といった一連のフローを一括管理することにより、それぞれの立場の作業時間をさらに短縮することができます。
申請者の業務効率化
たとえば申請者は、交通費を精算したい場合は交通系ICカードをピッと読み取るだけで、いつ、どこに、いくらで移動したのかを取り込むことができ、そのまま申請することができます。また物品の経費精算は領収書をスマートフォンのカメラで撮影するだけで金額などのデータを読み取り、サクッと経費精算することができます。
承認者の業務効率化
承認者については「楽楽精算」のようなクラウドサービスの経費精算システムを利用することでインターネットに接続されていれば外出先からスマートフォン上でもチェック、承認を行うことができます。これにより承認しなくてはならない経費精算がたまるということもなくなるでしょう。
経理担当者の業務効率化
さらに経理担当者は、交通費精算の場合交通系ICカードから取り込んだデータや連携している乗換案内システム上で申請したデータは改ざんができないため、金額の記載間違いなどがないか一つひとつチェックをする手間がなくなります。
さらにあらかじめ社員の定期区間を登録しておけば、定期区間の控除も自動で処理されます。
また「楽楽精算」などの経費精算システムは電子帳簿保存法に対応しているものも多いため、領収書の管理方法を見直すこともできます。
精算処理が確定したデータは裏側に紐づく勘定科目に自動で仕訳けられ、会計ソフトへもCSVデータで連携できてしまうので、今まで行っていた膨大な手入力作業から解放されます。
小口現金の廃止だけでなく、面倒な経費精算業務全般をあらゆる面から効率化し、楽にすることができるのが「楽楽精算」をはじめとする経費精算システムです。
このような経費精算システムは多くの会社から提供されているため、導入を検討する際は、機能の他にも「誰でも簡単に利用できるか」、「カスタマーサポート体制が整っているか」などを確認するのも重要なポイントです。
経費精算システムを選ぶ際のポイントは別の記事でご紹介していますので合わせてご覧ください。
経理プラス:経費精算システムの選定基準とは ―外してはいけない4つのポイント―
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最後に
小口現金の存在は、社員や経理部門の担当者の業務を滞らせるだけでなく、横領などの不正の温床となります。
小口現金を廃止することによるメリットはたくさんありますので、経費精算のタイミングなどのルールを決め、経費精算のシステムを導入することによる社内の経理業務の効率化を検討してみてはいかがでしょうか。
この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。
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※:デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より