経理担当者に英語スキルの習得が必要な3つの理由

なぜ経理担当者に英語力が問われるのか

近年、インターネット技術の発展とともに、ビジネスのグローバル化が進んでいます。今では国内に居ながら、海外企業との会議や取引までもリアルタイムでできてしまう時代です。
しかしそうは言っても、国内企業の経理担当者にとって恐らく英語ができないから困るという差し迫った危機がある企業は、まだまだ少ないでしょう。そのため英語を学ぶことは、今のところあまり意味のないことに感じられるかもしれません。

ところが、すでに経理のグローバル化は始まっています。会計基準の国際化とそのための人材育成は、現在国をあげて取り組みが行われている真っ最中です。このことを背景に経理業界においても、「英文経理」あるいは「英文会計」と呼ばれる、英語力や国際的な会計知識を持つグローバルな職種が注目を集めはじめています。

会計基準の国際化とは

日本政府は国際競争力の強化などの観点から会計基準の国際的な調和を目指し、2010年には国内の上場企業に対して国際会計基準(IFRS)の任意適用を開始しました。さらに「日本再興戦略2016」では「国際会計人材」の育成が目標として掲げられ、(公財)財務会計基準機構を中心に国際的な会計人材の育成に関する取り組みが開始されています。

参考:財務会計基準機構 国際会計人材ネットワークの構築及び登録リストの公表について

開始当初、国際会計基準(IFRS)を適用した企業はわずか3社でした。しかし次々と国が施策を打ち出した結果、2017年には135社まで増加したのです。2017年1月末において、国際会計基準を適用する上場企業の時価総額の合計は約133.93兆円。これは、日本の上場企業の時価総額の22.59%を占めるとされています。つまり日本は、会計基準の国際化の過渡期にあるのです。

 

英文経理とは何か

英文経理とは、英語で行われた会計を日本の会計基準に置き換えて処理を行う職種です。つまり、外国の決算を日本の決算に「翻訳」する業務で、外国子会社との連結決算を行う企業などで活躍しています。
意外にも高い英語力は必要ないと言われていますが、会計に関わる英単語の勉強や、相手会社と簡単なコミュニケーションが取れる程度の英語力は必要です。

 

英文会計とは何か

英文会計は、国際会計基準による会計処理を行う職種です。英文経理と区別されずに募集されることもありますが、スキルの専門性は英文会計の方が高いものが求められるため、ここでは区別しておきましょう。
英文会計では英語力はもちろんのこと、国際会計基準に対する理解が求められます。国際会計基準を適用する企業数の上昇とともに、英文会計のニーズもますます高まるはずです。

 

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経理担当者が英語スキルを習得する3つのメリット

1.現在の経理スキルにプラスできる

英文経理や英文会計といった職種は、これまで経理担当者として行ってきた会計知識や経理のノウハウがベースになります。つまり、今の知識や経験に英語スキルが加われば、今の仕事に新しい職種のスキルをプラスすることができるというわけです。

専門職に身を置きながら、それ自体の職域を広げるチャンスはそう多くありません。英語スキルを身につけることで、今の経理スキルを活かせるシーンを自ら開拓することができるのです。

2.英文経理、英文会計のニーズが高い

外資系企業をはじめ、会計事務所などでも多くの英文経理や英文会計の求人があります。正社員からパートまで、幅広いニーズがあるでしょう
会計基準が国際化すればその企業だけでなく、その企業を支える監査法人や会計事務所など、さまざまな事業がそれに適応できる人材を確保しなければなりません。今後、ますます英語スキルのある経理担当者の職域は広がっていくでしょう。

3.外資系企業への転職にも有利

外資系企業や海外事業を行う企業では、すでに英文会計の求人が多く見られます。こうした企業への転職には国際会計基準への理解はもちろん、英語スキルも必須です。
また、自己PRとしてUSCPA(米国公認会計士)やBATIC検定(国際会計検定)など、知名度の高い試験にチャレンジすることはとても有効でしょう。USCPAとBATICの試験は全て英語で実施されるため、英語スキルを磨くことで、転職に有利な難関試験の準備にも繋がります。

USCPAについて紹介している記事もありますので合わせてご覧ください。

経理プラス:USCPA(米国公認会計士)とは 経理担当者が取得するメリット

 

経理担当者が英語スキルをアップさせるためには

英文経理を目指すなら

英文経理は、海外の決算書を正確に読み解かなければなりません。そのため、決算書に出てくる勘定科目や会計用語でよく使われる英単語・熟語の学習に加え、相手と日常会話ができる程度の英会話スキルも求められます。
自己PRとして、TOEICなどで英語力のベースアップを図ることもよいかもしれません。ただしそれよりも、頻出する専門用語や会話文をまとめて日本人が苦手とする発音を強化するため、英会話スクールなどでアウトプットすることの方が実務には役立つことでしょう。

英文会計を目指すなら

英文会計には英語スキルだけでなく、国際会計基準の知識が求められます。したがって英語力にある程度自信があれば、USCPA(米国公認会計士)の資格やBATICによる検定にチャレンジすることで、国際会計基準の知識と英語力を同時に示すことができます。

USCPAは、米国公認会計士の資格で国際的な会計資格です。日本の公認会計士より合格率が高いことと、資格そのものの知名度が高いところが魅力でしょう。これに対してBATICは国際会計検定のことで、合否判定のないスコア形式の試験です。基礎的な試験と専門的な試験に別れているため、自分の能力を測るのに最適な試験といえます。参考までに、2017年のBATIC受験者の英語スキルは以下のような結果でした。

<TOEIC>
470点以上8.3%
600点以上12.6%
730点以上33.6%

<英検>
1級または準1級6.7%
英検2級または準2級23.8%
英検3級9.7%

※重複回答可。BATICのスコアには関係ありません

参考:東京商工会議所 検定センター 受験者データ

もし日本語で国際会計検定の勉強から始めたい場合は、日本語で受験できるIFRS検定の勉強も検討してみて下さい。

 

まとめ

経理担当者が英語スキルを習得する3つのメリットをまとめると、以下の通りとなります。

  • 現在の経理スキルへのプラスとなり、職域が広がる
  • 既に英文経理、英文会計へのニーズがあり、今後も増える見通しがある
  • 外資系企業への転職に有利な試験の勉強にもなる

会計基準の国際化にともない、経理のグローバル化が進んできました。国際化の過渡期だからこそ、すぐに始められる「英語」の勉強で自らの活躍の場を広げていきましょう。

 

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● 著者

石田 夏

石田 夏

税理士事務所、上場企業の経理職を経てフリーライターに転身。 簿記やファイナンシャルプランナー資格を活かして、 税務・会計に関する企業向けコンテンツを中心に執筆中。 ポリシーは、「知りたいをわかりやすく」。