税務調査は突然来る!調査の流れと注意点、対応方法を解説

税務調査は突然来る!調査の流れと注意点、対応方法を解説

税務調査の連絡が入ったと聞けば、何らかの指摘を受けて追徴課税を納付しなければならないと考える方も少なくないでしょう。税務調査は、国税通則法および法人税法にもとづいて基本的に会社の規模に関係なくランダムで行われるため、いつ自分の会社に訪れても不思議ではありません。

とはいえ、税務調査について何も知識がないままでは適切に対応できない可能性もあるため、事前に備えておくことも大切です。この記事では、税務調査の概要や調査の内容、注意点、課税されるときの負担を軽くする方法などについて詳しくご紹介します。いざというときに精神的にも時間的にも余裕を持てるように、事前に調査内容をイメージできるようにしましょう。

税務調査とは

税務調査とは、納税者が正しく税務申告を行っているかを税務署が調査するものです。毎年、一定の割合の納税者が税務調査を受けており、5年~10年の間に1度は機会があるといわれています。

税務調査はいつ来るのか

税務調査が行われる時期に特に決まりはありません。ただし、個人事業者であれば、所得税の確定申告期間中(2月16日〜3月15日)やその前後は調査を受ける可能性が低くなります。調査を担当する個人課税部門が確定申告に関する業務を行っているためです。

税務調査の連絡は、一般的に電話が使われます。「税務調査を行いたい」と連絡が入り、日程を調整します。

参考:国税庁 税務調査手続に関するFAQ  3. 事前通知に関する事項

税務調査は2種類ある

税務調査には、「任意調査」と「強制調査」の2種類があります。2つの違いを確認します。

任意調査

任意調査は、申告が正しく行われているか調査するもので、一般的な税務調査のイメージはこちらの任意調査でしょう。10年に一度程度のサイクルで行われ、事前に調査の連絡も入ります。

任意とはいえ、調査に入る税務署側は事前にある程度の申告内容を予習してきていると想定されます。そのため、ピンポイントで確認したい資料を指定されることもあります。

強制調査

強制調査は、事前の連絡なしに突然調査員が訪問するものです。「マルサ」ともいわれる調査員が事前に脱税などの不正行為を調査し、隠蔽できない状態で調査するために突然訪問します。任意調査のように事前に通知していると隠蔽工作を行う恐れがあるため、悪質な場合には強制調査が行われます。

税務調査が入りやすい法人の特長

税務調査は「いつ」「どの事業者に」行われるか、予測がつくものではありません。おおよそ10年に1回程度とはいわれますが、5年ごとに調査された事業者もあれば、起業時以降ほとんど調査されていない事業者もあります。確定できるものではありませんが、税務調査が入りやすいといわれる法人の特長をご紹介します。

売上変動が大きい法人

売上変動が大きい法人が調査対象になることがあります。

同規模の同業他社に比べ、利益率が極端に低い法人

不正を行えば、帳簿上の数字にその形跡が現れることがあります。不正の発見が予見されれば、調査の確率は上がると考えられます。

売上が増加しているが利益が少ない法人

一般的には売上が増加すれば利益も増えると考えられます。なぜ利益が増加していないのか事実を確認するため、調査が行われることがあります。

税務調査の流れ

税務調査が入る場合、どのような流れで進んでいくのでしょうか。主な流れを把握していきましょう。

調査前から調査終了まで

事前通知で知らされる内容は以下の通りです。「開始日」・「開始場所」・「調査の目的」「調査対象税目」・「調査対象期間」などです。事前通知した際に、その時点で日時の都合が悪いとわかっている場合は、調整してもらうことが可能です。事前通知後でもやむを得ない事情が生じた場合には、相談してみましょう。

調査担当者は質問検査権を持ち、法人税や消費税、所得税などに関する調査について必要があるときは、質問をし、事業に関する帳簿書類などを検査し、当該物件の提示もしくは提出を求めることができます。

質問に対し偽りの回答をした場合や検査を妨げるなどした場合には、懲役または罰金といった罰則の定めがあります。ただし、調査担当者が持つ権利は調査に関することだけですので、明らかに関係ない質問などに対しては断っても問題ありません。

税務調査結果の連絡

税務調査の結果、申告に問題がないと認められた場合には「更正又は決定すべきと認められない旨の通知書」という通知が書面でなされます。通知は年度ごと、税目ごとに行われます。

修正申告書の作成

申告内容に誤り等が認められた場合には、調査内容の説明を受け、修正申告などを勧奨されます。勧奨とは「すすめること」であり、修正申告などを実際に行うかは納税者の任意です。

修正申告などを行った場合、「不服の申し立て」はできなくなりますが、「更正の請求」は可能です。税務調査において修正申告などを求めるための立証責任は税務署にありますが、「更正の請求」を実施する場合、事実認定の責任は納税者側が負うことになります。

税務調査で見られるポイント

税務調査において調査官がどのようなポイントをチェックすることが多いのか把握しておくと、日頃の実務でのミスを減らすことにも繋げられます。そのため、税務調査で見られるポイントについてもしっかりと確認しておきましょう。

必ず見られる売上の期ズレ

税務調査において初期段階で見られるのが、売上関連項目です。売上については、主に次のような視点でチェックがされます。

  1. 売上を除外していないか?
  2. 今期の売上を翌期以降にずらしていないか?

会社の預金口座に入れるべき売上代金を簿外の口座に入れる、あるいは、現金収入を社長が個人的に費消するなどの方法で売上を除外するケースがあります。
社長の個人口座以外に社長の親族や愛人の口座が用いられることもあります。また、現金商売の場合は、レジを打たない、宴会の売上のみ除外する、伝票を複数用意し、その一部を除外するというケースも考えられます。

2つ目の「売上を翌期に先送りしている」というパターンは、必ずと言っていい程、確認の対象となります。たとえば、3月決算の会社が3月に引き渡しをして売上を計上しなければならないにも関わらず、4月の売上にしているようなケースです。

調査官は、引き渡しの日付が実際3月なのか4月なのかという観点で資料を確認します。納品書や検収書をチェックすることで売上計上日の妥当性を確認することになります。

棚卸商品の計上漏れ

棚卸商品の数や金額が少ないとその分だけ売上原価が多く計上され、結果として利益は少なくなります。調査官は棚卸商品の計上漏れがないか確認をします。

場合によっては、期末近くに仕入れた商品などが在庫として計上されずに原価に計上されていないか、棚卸表に改ざんがないかどうかという点の確認も行います。

経理プラス:棚卸資産で気を付けたい税務調査で狙われやすいポイント

税務調査で注意すべきポイント

故意に脱税行為をしていなくても、税務調査の対応で緊張したり、戸惑ったりする方も少なくないでしょう。スムーズに調査を進めるためにはどのような点に注意すればよいか、ポイントをご紹介します。

帳簿類は取り出しやすい状態にする

総勘定元帳や領収書、請求書、納品書など調査される書類は取り出しやすいようにまとめおくとよいでしょう。すべての書類に目を通すわけではありませんが、準備してほしいと希望されたものはすぐに用意します。

何気ない会話にも気を付ける

一見、世間話のように聞こえる会話でも調査官は知りたい情報を引き出そうとしています。たとえば、「お昼はお弁当ですか?」という質問に対して「ほとんど外食ですね」と答えた場合、会社の近くで頻繁に発行される飲食店の領収証が、実は役員の昼食代ではないかと疑われることもあるわけです。とはいえ、あまりにも何も答えないのも不自然ですので、緊張はしすぎずに注意深く対応することが望ましいでしょう。

税理士に事前に連絡する

税務調査の連絡は基本的に税理士を通して行われます。直接、納税者に連絡が入ったら、税理士に連絡しましょう。経理の内容は税理士の方がより詳しく状況を理解しています。質問も税理士が答えてくれる場面も多くありますので、任せると安心です。

税務調査の負担を軽くするには

税務調査に対してマイナスイメージを持たれている方もいるかもしれませんが、正しく処理されているなら特に指摘事項もなく、かえって事業者として好印象を与える機会にもなります。税務調査をできるだけスムーズに問題なく進めるためには、日々の会計をしっかりと正しく処理し適正な申告を行うことが重要です。

書類を取り出しやすく整理しておくことや、日頃から税理士などと相談しながら正しい納税を行うことが、結果的に調査での負担を軽くすることにつながります。また、帳簿を電子化すれば紙として大量に保管する必要がなくなるため、省スペース、確認作業の効率化に繋げられるでしょう。

電子化では不正行為もできない仕組みになっていますので、経理業務の負担が軽減されるとともに、税務調査にも有効です。

まとめ

今回は、事業者であれば一度は経験する税務調査について、調査の種類や調査の流れ、調査時に見られるポイントや注意点などについてお伝えしました。税務調査によって滞納が発覚した場合には、過少申告加算税などの延滞税含め納税をする必要があり、仮に滞納があれば財産の差し押さえなどの処分が下る可能性があります。とはいえ、きちんと処理されていればそれほど身構えるほどのものではありません。

大なり小なり何らかの指摘事項はありますが、今後の正しい処理方法に役立つものです。いつ調査が来ても慌てないように、日々の会計処理をしっかりと行うことを心がけましょう。

経理プラス:追徴課税を受けたら 影響範囲と会計処理について

※「監修にあたっては、ライターさんの調べた情報や文章、考えを尊重し、明らかな用語の誤りや事実誤認を訂正しました。また、一般に公開されている情報の範囲で一部追記しました。」

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

経費精算システム「楽楽精算」

著 者 渡部 彩子

大学卒業後、自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門に在籍。経理・総務・人事の実務を経験し、同法人在籍中に日商簿記2級を取得。その後、保険・金融業界での経理業務の経験を経て、ライターとして独立。これまでの実務経験を元に経理業務をテーマとしたコンテンツ制作を中心に執筆。

監 修 さんきゅう倉田

監修者写真

芸人、ファイナンシャルプランナー。大学卒業後、国税専門官試験を受けて合格し、東京国税局に入局。中小法人、同族法人の税務調査などを行い2年1ヶ月後、同退職。NSC東京校に入学。
著書に『やさしいお金の貯め方 増やし方』(東洋経済新報社)『読めば得する税金の話』(総合法令出版)などがある。