雑収入とは?会計処理方法と税務上の注意点を解説

雑収入とは?会計処理方法と税務上の注意点を解説

企業の取引の中で、事業とは直接的に関連がない収入は「雑収入」勘定に該当します。雑収入は、耳にする機会は多いものの、どのような取引が該当するのかを、理解していない方も少なくありません。

そこで今回は、雑収入に該当する取引について解説するとともに、仕訳方法や混同されやすい雑所得、事業所得などの違いについてもご紹介します。

雑収入とは

雑収入は、本来の事業とは関連しない取引で生まれる収益を指します。営業外収益の勘定科目の一つですが、他の勘定科目のいずれにも区分されない収入を雑収入として仕訳します。

また、財務諸表等の規則では、営業外収益の総額100分の10以下のあまり重要ではない収入が雑収入の対象とされています。

雑収入の具体例

雑収入の具体的な事例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 保険会社の配当金
  • 還付金
  • 還付加算金
  • 家賃、地代収入
  • 保険金、損害保険金
  • 祝い金
  • 賠償金
  • 助成金、補助金
  • 預かり保証金のうち返還されないもの
  • 作業屑
  • スクラップの売却収入
  • 消費税の確定申告時の差額調整

還付金とは、確定申告で払い過ぎた所得税がある場合に、返還される税金です。法人の場合、前年の所得税に応じて予定納税を行うケースが多いため、稀に還付金が発生することがあります。

家賃、地代収入は、不動産を事業として行っていない場合に該当します。また、保険金が支払われた場合も一般的には雑収入です。

助成金、補助金も雑収入として処理されます。助成金などは一定期間後に支給されることになるため、決算を超えてしまうこともあります。この場合は一時的に未収入金の勘定科目に仕訳します。

経理プラス:未収入金とは?売掛金、未払金との違い、仕訳方法を紹介

なお、助成金や補助金の会計処理については、以下の記事でも詳しくご紹介していますので、一緒にご覧ください。

参考:補助金・助成金・協賛金の会計処理 正しい勘定科目や注意すべき点

作業屑とは、製品の製造工程で発生する価値のある材料くずを指します。たとえば、建設現場で使う木材の端材は、当該現場では使わなくても、家具製作などで使える価値を持つことがあります。この場合、第三者に売却して得た収益は雑収入とされます。

鉄製品を扱う業態の場合、鉄素材の廃材が大量に出ることも多いでしょう。まとめてスクラップ業者などに引き取ってもらいますが、この場合の収益も雑収入になります。

雑収入の仕訳・会計処理の方法

ここからは、雑収入の仕訳を解説します。

【還付金】法人税等の還付金5万円が振り込まれた

 借方金額貸方金額
普通預金50,000円雑収入50,000円

【家賃・地代】資材置き場として貸している土地の地代3万円が振り込まれた

 借方金額貸方金額
普通預金30,000円雑収入30,000円

【助成金・補助金】申請していた助成金100万円が振り込まれた

 借方金額貸方金額
普通預金1,000,000円雑収入1,000,000円

【作業屑・スクラップ】製造工程で発生した作業屑を20万円で売却し現金を受け取った

 借方金額貸方金額
現金200,000円雑収入200,000円

雑収入として仕訳する場合、特に難しい部分はありませんが、雑収入に該当するものがどのような取引なのかをしっかりと理解しておくことが大切です。

雑収入と税区分に注意する

雑収入を会計処理する際の注意点として、消費税の「税区分」が挙げられます。たとえば、作業屑やスクラップ代の収入などは、本業ではないとしても提供したことに対する対価として受け取っているものであることから、「課税対象」となります。以下は、主な雑収入の課税・非課税の例となります。

 課税非課税
家賃(事業用)、保険金・損害保険金、作業屑、スクラップの売却収益家賃(住居)、地代(例外除く)、返還されない保証金(住居)、消費税確定申告時の差額調整、補助金・助成金、保険の配当金、還付金・還付加算金、祝い金、賠償金(※課税対象となる場合もあり)

「家賃」は、住居用の場合は一定の要件に該当すると非課税として扱われているため、雑収入として処理する際にも非課税となります。テナントなど事業用として貸しているものは「課税対象」です。

「地代」は、課税対象にはなりません。そもそも、土地の取引には消費税がかかるという概念がないためです。ただし、貸付の期間が1カ月未満、または駐車場やその他の施設を利用して土地を使う場合などでは「課税対象」となることがポイントです。

助成金、補助金、給付金など公的機関などから受け取るものに関しては、課税対象外となります。上述のように雑収入に該当する取引は多岐に渡るため、一つ一つの取引で税区分を確認することが大切です。

雑収入と雑所得、事業所得の違い

雑収入と類似しているものに「雑所得」があります。また、雑所得は事業所得にも関連しているものです。それぞれの違いをご紹介します。

雑収入と雑所得

雑収入に関しては、前述の通り、主に法人が事業には直接的に関連しない取引に対して用いる勘定です。

一方の雑所得は、個人の収入に対して所得税の確定申告をする際に用いられるものです。たとえば、給与所得者が給与以外の収入となる原稿料や臨時収入などが該当します。また、公的年金も雑所得です。

雑所得と事業所得

20万円以上の臨時収入があった場合は、給与所得者でも確定申告が必要とされています。一般的には「雑所得」として記載するでしょう。もし、臨時収入ではなく事業として一定の収益を上げている場合には、「事業所得」となるケースもあります。

近年は、個人でもインターネットを利用した副業を行うことも増えています。「事業所得」の場合は青色申告の適用が可能となるため、節税効果が期待できます。ただし、青色申告は、税務署への届け出や帳簿の保管など一定の要件を満たさなくてはなりません。

まとめ

今回は、意外と頻出する「雑収入」について、取引の事例や仕訳方法、雑収入の税区分の注意点、類似した呼び方の雑所得との違いなどをお伝えしました。ポイントは、雑収入に該当する取引の種類と、消費税の区分です。

普段の経理業務の中でも、雑収入の税区分に注意して一つひとつチェックしながら正確な処理ができるように、しっかりと理解した上で進めていきましょう。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

経費精算システム「楽楽精算」

著 者 渡部 彩子

大学卒業後、自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門に在籍。経理・総務・人事の実務を経験し、同法人在籍中に日商簿記2級を取得。その後、保険・金融業界での経理業務の経験を経て、ライターとして独立。これまでの実務経験を元に経理業務をテーマとしたコンテンツ制作を中心に執筆。