源泉徴収税額表とは?その見方と注意点を解説

「源泉徴収税額表」という言葉を聞いたことはありますか。源泉徴収や源泉徴収税という言葉は一般的ですが、源泉徴収税額表という言葉は、あまり耳慣れない人もいるかもしれません。
今回は、源泉徴収制度についての基礎知識を確認したうえで、「源泉徴収税額表」の見方や注意点などについてご紹介いたします。

 

源泉徴収とは

源泉徴収制度は、給与や退職金、税理士報酬などの源泉徴収法の対象となる所得の支払者が、その所得を支払う際に、所定の方法により計算した所得税額を差し引いて国に納付するための制度です。
日本の所得税は、原則として納税者がその年の所得金額と税額を計算し、自主的に申告して納付します。これとあわせて給与、利子、配当、報酬、料金などは、その支払者が所得税を支払い額から徴収します。サラリーマンなどの所得税はこの源泉徴収制度によって支払者が納付します。

(参照)国税庁「第1 源泉徴収制度について」

 

源泉徴収税額表とは何か

ここまでの源泉徴収制度の基礎を踏まえて、源泉徴収税額表について見ていきましょう。
給与所得に関して源泉徴収すべき税額は、国税庁がルールを定めています。給与水準や扶養家族の人数に応じて定めた税額の一覧表が源泉徴収税額表です。
給与支払いの都度、すなわち多くの企業の場合、毎月の頻度で、この源泉徴収税額表を用いて徴収税額を決定しなければなりません。また、源泉徴収税額表は、毎年変更が加えられる点にも注意が必要です。最新(2018年12月現在)の源泉徴収税額表(月額表)は、以下の国税庁のホームページで確認できます。

(参照)国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(平成30年分)」

 

源泉徴収税額表の見方と注意点

源泉徴収税額表は、月額表、日額表、賞与に関する表などから構成されます。月額表は毎月の給与を支払う場合と、半月毎や2~3ヶ月毎などに支払う給与に用いられます。日額表は、その日毎や1週間毎など働いた毎に支払う場合に用いられます。また、賞与、ボーナスなどを支払うときには源泉徴収税額の算出率の表が用いられます。
しかし、賞与、ボーナスなどを支払う場合でも、その支払い前月を通して支払う給与がない場合は「月額表」を使います。

 

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給与所得に対する源泉税

給与所得には給料、賃金、賞与などに加え、皆勤手当、住宅手当、残業手当などの各種手当が含まれます。

給与所得は、その受取人に対して所得税が課せられますが、この所得税の納付方法は毎年3月の確定申告によるものではありません。
先述の源泉徴収の方法により、自動的に毎月の給与から天引きされ、納付が完了することになっています。これは、給与の支払いの都度行われます。徴収義務者である事業主は、毎月給与支給時に源泉所得税を徴収し、翌月10日までに徴収した税金を納付しなければなりません。

それでは、源泉徴収税額表をみながら、具体的な源泉徴収金額を確認してみましょう。

(参照)国税庁「平成30年分 源泉徴収税額表」

給与等を支払うときに源泉徴収をする所得税及び復興特別所得税の額は、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表及び日額表)」又は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使って求めます。
源泉徴収税額表は、大きく分けて、「甲」欄、「乙」欄、「丙(日額表のみ)」欄から成ります。

【例】給与所得の源泉徴収税額表(月額表)

「甲」欄は、「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出がある方に適用される欄です。大半の従業員の場合に、こちらの「甲」欄を使用します。
「乙」欄は、2ヶ所以上から給与を受け取る従業員の方など、「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出がない方に適用される欄です。
「丙」欄は、日額表だけにあり、日雇いや短期間のアルバイトなどに適用される欄です。
「甲」欄、「乙」欄、「丙(日額表のみ)」欄のどの欄を参照するか確認できたら、個々の従業員の源泉徴収額を確認しましょう。給与金額から社会保険料を控除した金額がいくらになるか、「その月の社会保険料等控除後の金額」の列(縦軸)で確認します。次に、扶養人数を「扶養親族等の数」の行(横軸)で確認しましょう。それらが交わる部分の金額が源泉徴収税額となります。

さらに、所得税は暦年単位で課税されます。そのため1~12月までの間に給与額の変動、賞与の支給や扶養家族に変動があった場合は、1年間を通じてみると、毎月の源泉徴収税額は正確なものではなくなります。そこで、その年の12月31日時点の状況で年末調整をして所得税の訂正をするのです。納め過ぎている場合は還付を受け、不足している場合は追加納付をすることが必要になります。

 

賞与に対する源泉税

賞与に対する源泉税については、場合に応じて算出方法が異なるため注意が必要です。

  • 前月に給与が支払われ賞与の額が通常の場合
    前月中に支給を受けた通常の給与における社会保険料控除後の金額および申告された扶養親族の数に応じて、賞与に乗ずべき税率を求めます。
  • 前月に給与があって、賞与の額が前月給与の10倍を超える場合
    その賞与の社会保険料控除後の6分の1と前月中の社会保険料控除後の給与との合計額を出します。その合計額に対する月額表甲欄の税額を求め、その税額と前月の給与に対する税額との差額を6倍した金額が、その賞与の源泉税となります。
  • 前月中に通常の給与の支払いがなかった場合
    支払賞与の社会保険料控除後における金額の6分の1の金額と扶養親族の数に応じて税額を求めます。

 

退職金に対する源泉税

退職金は、所定期間継続した雇用関係の終結に当たり、支給される退職手当一時恩給などと所得税法では規定されています。
また、社会保険制度に基づく退職一時金も退職所得とみなされます。退職金の支給を年金方式で受け取った場合には退職所得ではなく、雑所得として課税されます。支払いを受ける者から「退職金受給に関する申告書」の提出がない場合は、退職金の20%の所得税を一律に源泉徴収しなければなりません。

20%の源泉税額の過不足は、すべて確定申告により清算することになります。この場合に、支払いを受けた退職金が多額のときは、確定申告の義務が生じます。少額のときは、過納となる税金の還付を受けることが可能です。控除額は退職所得の源泉徴収税額表の付表によって求めることができます。

(参照)国税庁「No.2725 退職所得となるもの」

 

まとめ

企業の税務担当者以外には、あまり馴染みがない「源泉徴収税額表」ですが、その用途と重要性がお分かりいただけたのではないでしょうか。
一人ひとりの従業員について、給与水準や扶養家族の人数の変動に応じて、都度徴収額を求めなければならない源泉徴収は負荷の大きな業務です。
近年はクラウド会計システムなどの普及もあり、作業が効率化されていますが、それでも間違いが発生しやすい業務といえます。ぜひとも日ごろから源泉徴収の存在を意識して、源泉徴収税額表を使いこなしていきましょう。

 

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● 著者

田中 仁

田中 仁

大手総合商社にて10年間勤務し、新規事業開発を中心に資金調達、財務・会計等を担当。 東京のほか、アメリカのベンチャーキャピタルやイギリスの金融機関等にて勤務経験もあり。