補助金・助成金・協賛金の会計処理 正しい勘定科目や注意すべき点

補助金・助成金・協賛金の会計処理 正しい勘定科目や注意すべき点

「補助金」「助成金」「協賛金」の違いは?

企業が公的機関などから資金の援助が受けられる制度の中に、「補助金」「助成金」「協賛金」があります。なんとなく「似ているもの」という認識はありますが、これらを正しく区別できる方は少ないかもしれません。それぞれの目的などを解説していきましょう。

補助金とは

補助金は、国や地方自治体など公的なところから支給されるもので、返済義務はありません。その補助金制度の目的に該当することが必要であり、国が力を入れたい事業などが対象となることが多いでしょう。
補助金の趣旨を理解し、広く周知するために取り組む計画をしっかりとアピールして書類を提出し、審査を受けます。また、支給された補助金の使途についても、証明として提出する必要があります。

助成金とは

助成金は、国や地方自治体など公的なところから支給されるもので、補助金ととても似ているイメージですが、「審査」がある補助金に対し、助成金は「要件を満たす」ことで支給されます。
あらかじめ該当の要件は決まっていますので、合致するなら受けられる制度です。また、要件を満たす証明書の提出が求められることが多いでしょう。

協賛金とは

協賛金とは、企業があるイベント開催などに対して、協賛する(応援する・賛同する)ときに支払う資金を指しています。
よく、イベントののぼりや看板、ノベルティなどに協賛している企業名が列挙されている光景を目にしたことがあるでしょう。企業にとっては、「宣伝効果」「イメージアップ」を期待する場合や、日頃からお世話になっている取引先に協力する意味合いもあります。協賛金が上述の補助金や助成金と大きく違う点は、企業が「お金を支払う」ということです。それぞれを正しく区別しておきましょう。

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補助金・助成金・協賛金のそれぞれの会計処理方法

補助金の会計処理

補助金は、会計の実務ではお金が入ることから「収入」になります。本業である売上以外の収入になりますので、「雑収入」勘定で仕訳をします。

具体的な会計の事例をご紹介すると、50万円の補助金が振込まれたとき仕訳は次の通りです。振込み入金された口座が普通預金か当座預金か仕訳をします。

 借方金額貸方金額
預金(普通・当座)50万円雑収入      50万円

助成金の会計処理

助成金も基本的に補助金と会計処理は同じで、「雑収入」勘定で仕訳します。後ほど注意点として触れますが、補助金や助成金は申請から一定期間後に支給されることになりますので、決算期を超えて支給される場合は、一時的に別勘定に移します。

協賛金の会計処理

協賛金の会計処理は、補助金や助成金とはお金の流れが違います。企業が支払う費用ですから、基本的には経費項目になります。代表的な勘定科目は次の通りです。

広告宣伝費の場合

イベントの協賛金が、不特定多数の相手先に、企業をアピールする宣伝効果が目的である場合は、「広告宣伝費」で仕訳します。通常、広告宣伝費は全額が損金扱いです。

交際費の場合

協賛金が、特定の取り引き先との良好な関係を維持するための目的である場合、宣伝効果が多少あるとしても、企業同士の関係性を重視していると判断されるなら、交際費で処理されます。交際費は、中小企業なら一定の範囲内でしか損金になりません。また、大企業では損金扱いにはなりません。

寄附金の場合

イベント協賛の目的が、地域貢献など運営を円滑に進めるための協力金のような要素である場合、寄附金として捉えられると考えます。一般的には、プログラムに協賛企業として記載されるなど、宣伝効果もありますが、そもそもの目的としては、寄附金になります。

補助金・助成金処理の注意点とは

補助金や助成金の会計処理では、いくつかの注意すべき点があります。ここでは、各項目について詳しく確認しましょう。

決算期をまたぐ場合

補助金や助成金の仕訳をするタイミングとしては、基本的に「取扱いの機関から支給決定通知書が到着したとき」となっています。しかし、入金までに時間がかかり決算期をまたいでしまう場合は、一度「未収入金」勘定で仕訳を行い、取引を計上しておくことになります。例えば、50万円の支給決定通知書が到着した場合は、次のような仕訳処理をしておきます。

 借方金額貸方金額
未収入金(補助金)50万円雑収入50万円

また、決算後の数ヶ月あとに補助金・助成金が入金となったときには、次のような仕訳処理をします。

 借方金額貸方金額
預金(普通・当座)50万円未収入金50万円

「未収入金」とは、売掛金とは違い、事業の中心となる営業活動ではない取引で発生している債権となります。そのため、営業的なものではない補助金が「未収入金勘定」で処理されることになるわけです。なお、未収入金は決算期後の1年以内に回収される性質のものを指しています。

もし、給付決定通知書が届いてから入金までが1ヶ月以内で行われるような短期間の場合には、前でも述べたように直接「預金」と「雑収入」で会計処理をしても問題ありません。このように、通知書到着と入金の時期によって決算期をまたぐ場合には、仕訳の処理が変わってきますので十分に注意しましょう。

消費税は非課税、法人税は課税

補助金や助成金は、消費税の課税対象ではありません。「雑収入」の勘定になるため、会計のイメージとしては課税対象となるように感じますが、国の規定では「資産の譲渡等の対価に該当しないこと」とされています。

しかし、法人税に関しては課税の対象とされています。また、補助金は「経費補助金」と「施設補助金」と大きく二つに分類されますが、基本的にはどちらも法人税が課税されます。特に、会計処理としては「施設補助金」の取り扱いに注意が必要です。施設補助金については次の項目の「圧縮記帳」で解説します。

圧縮記帳の適用

補助金や助成金を利用して、設備機器などの固定資産となるものを購入した場合、「施設補助金」に分類され、圧縮記帳で処理を行う方法を適用することができます。圧縮記帳をすることで、年度内に一度に課税せずに繰り延べ処理をすることが可能となります。

補助金や助成金は収入とみなされていますので、法人税の課税対象となります。しかし、課税対象となるということは、給付される補助金から税金が一度に引かれてしまいます。圧縮記帳を利用することで、一度にかかってくる税金を数年に別けて課税分を支払うことが可能になるため、単年度の負担は軽くすることができるようになるわけです。しかし、あくまで単年度の負担が軽くなる繰り延べということであり、税金が非課税になるということではありませんので、その点については理解しておきましょう。

次に、実際の圧縮記帳の仕訳ですが、例えば、企業が補助金を50万円受け取った後に設備の購入をした場合の圧縮記帳の会計処理は、次のようになります。

 借方金額貸方金額
預金(普通・当座)50万円雑収入50万円
機械装置100万円預金(普通・当座)50万円
圧縮損50万円機械装置50万円

この他に、決算時に減価償却の取得額から減額することができます。

施設補助金は、圧縮記帳ではなく直接減額法という処理方法もあります。どちらが良いかはよく検討することをおすすめします。

協賛金の会計処理時の注意点とは

協賛金の会計処理をするときには、次のポイントに注意しましょう。

計算が必要な場合や目的により科目が変わる

協賛金は、支払う目的などによって、「広告宣伝費」「交際費」「寄附金」に分れます。どのような趣旨であるかが重要になり、また損金の扱いも変わります。内容をきちんと把握し正しい仕訳を進めましょう。

消費税の取り扱いは種類により変わる

協賛金を処理する勘定科目が変わると、消費税の取り扱いも変わります。「広告宣伝費」であれば、全額損金扱いで「課税仕入」になり、「交際費」であれば、損金不算入の部分は「課税対象外」です。「寄附金」は一定範囲内の損金算入がありますが、「課税対象外」となります。同じ協賛金でも消費税の計算の際に、それぞれ区別する必要がありますので、注意しましょう。

 広告宣伝費交際費寄附金
法人税全額損金800万円まで損金算入(※1)一定額まで損金算入
所得税全額損金全額損金一定額まで損金算入
消費税課税仕入課税対象外課税対象外

(※1)資本金が1億円以下で一定要件を満たす法人。

まとめ

日常の処理とは少し違う点がある補助金や助成金、寄附金の会計処理ですが、ポイントは給付決定の通知タイミングと実際の入金のタイミングの時期にあります。決算期をまたいでしまいそうなのか、または年度内で完了できるのかで処理方法が変わることを覚えておきましょう。また、圧縮記帳については減価償却費の計算も出てきます。どのような処理の仕方が自分の会社に合うのかは、よく試算をしながら検討するようにしてください。仕訳の仕方や圧縮記帳の処理方法に不安がある場合には、会計士などに相談しながら進めていくと安心ですね。
 

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● 著者

渡部 彩子

渡部 彩子

自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門を経験。この経験を活かし、経理・総務・人事をテ ーマとしたコンテンツ制作を幅広く執筆。