償却資産税申告書作成の業務概要 ―経理担当者なら知っておきたいこと―
1月末期限の提出書類の最後は「償却資産税申告書」です。
償却資産税申告書の作成は基本的に大きく変わることはないため、経理担当者ならばあまり問題にならない作業かと思います。
今回の記事では償却資産税の金額はどのように計算されているのかなど、経理担当者ならば知っておきたい内容についてお伝えします。
「償却資産」とは何か ―自転車は償却資産ですか?―
「償却資産」とは、会社や個人事業者が事業のために用いる「土地、家屋以外の事業用資産」を言います。
たとえば、工場で使用する「機械装置」、門・塀などの「構築物」、事務所で使用するデスクやPCなど「器具備品」などが入り、1月1日時点を基準にその資産の有無や税額が計算されます。
「償却資産」に含まれないもの ―対象外となるもの―
自動車税が課税されている「自動車」、ソフトウェアなどの「無形固定資産」、その他の「繰延資産」も償却資産の対象から外れます。「自転車」は償却資産から除かれないため、償却資産です。
「償却資産」だけど、課税されないもの ―少額資産の特例―
償却資産のうち少額のものについては税務上の処理に応じて課税対象から外すことができます。
「自転車」でも少額のため下記のいずれかに該当した場合には消費税は課税されません。
- 取得価額が10万円未満で、全額損金としたもの
- 取得価額が20万円未満で、3年間で償却こととしたもの
「自転車」のうち、金額が上の範囲内で一定の会計処理をした場合には償却資産税を免除することができます。
償却資産税はどのように計算されるか?
対象資産の把握方法 ―申告納税と賦課課税―
償却資産税では納税者が自ら1月1日時点に所有している償却資産を「申告」し、その内容に基づき税額が計算されます。
似て非なるものとしては「土地家屋に対する固定資産税」があり、こちらは市区町村の職員の手で対象資産を把握します。年末になるとヘリコプターをよく見かけるのは固定資産把握のために航空写真を撮っているためとも言われています。
税額の計算方法 ―償却資産税の税率―
償却資産税の税額計算は、1月1日時点で所有している資産の時価(定率法による減価償却後の帳簿価額)に1.4%を掛けて計算します。
ただし、資産の時価の合計が150万円未満の場合は償却資産税が免除され、またその判定は市町村ごとに行うなど、実は償却資産税にも節税の余地があります。
※詳しくは別の記事で記載しますので、そちらもチェックしてください!
償却資産税申告のフロー
申告前に忘れてはならないこと ―1月1日時点の償却資産の確認―
償却資産税の申告書を作成し提出するのは年が明けてからですが、その前に忘れずに行わなければならないことは「1月1日時点の償却資産の確認」です。
たとえば、1月1日時点で廃棄していたものは償却資産税の対象外となりますが、裏返すと1月1日時点の資産状況を正確に把握していなければ本来課税されなくても良いものを課税されたり、本来申告しなくても良いものを申告してしまったりする可能性が出ます。
申告書の作成と提出 ―期日、提出、納付について―
・作成する書類
- 償却資産申告書
必ず提出する書類です。
納税者の基本情報や、償却資産の合計額などを記載します。
- 種類別明細書(増加資産・全資産用)
償却資産を取得した際等に提出する書類です。
「前年にどんな償却資産をいくらで取得し、その結果1月1日時点で持っている償却資産は何か等」を記載します。
- 種類別明細書(減少資産)
償却資産を売却や廃棄した際等に提出する書類です。
「前年に減少した資産が何で?いつ?いくらで?買ったものなのか・・等」を記載します。
・提出
課税の対象となる年の、翌年1月末日までに、償却資産の所在する市区町村に提出します。
・納付
通常年4回の納期に分けて納付を行い(東京都23区では、6月、9月、12月、翌年2月)、その納付額や納付書は6月に納税通知書で知らされます。
最後に
今回の記事では償却資産税とはなにか、どのように計算されるか、またそれに必要な手続きについてお伝えしました。
次の記事では、実際の実務の現場で問題となる償却資産の対象なのかどうか迷いやすいもの、経理担当者ならば知っておきたい償却資産税節税のポイントなどについて記載します。
経理プラス:償却資産税のQ&A ―経理担当者ならマスターしたい、償却資産の対象と対象外の重要ポイント―
今年だけでなく、毎年の法定調書作成前のおさらいとして、また提出前のチェックとしてご活用ください!
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