償却資産税のQ&A ―経理担当者ならマスターしたい、償却資産の対象と対象外の重要ポイント―

償却資産税申告の準備は進んでいますか?
今回の記事では、償却資産税申告書作成の実務で間違いやすく、調べるにも時間がかかってしまう「何が償却資産の対象なのか?」「何が対象外なのか?」というポイントを中心にQ&Aを作成しました。
 

実は、償却資産の対象資産となるもの ―遊休資産、資本的支出、保養所、即時償却―

質問:耐用年数が経過した、償却済資産は申告の対象になりますか?

回答:申告対象になります。申告対象の資産として注意が必要なものをまとめましたので、ご確認下さい

償却資産の申告対象となる資産は、「1月1日時点において」、「事業の用に供する『ことができる』資産」であり、「供している」資産とは異なります。
次に掲げる資産も申告が必要となりますので、漏れなく申告しているか確認して下さい。

<申告が必要な資産>

  • 償却済資産
  • 簿価が1円で、耐用年数が経過した資産も対象となります。

  • 建設仮勘定で経理されている資産及び簿外資産
  • 事業の用に「供していない」状態でも、有形固定資産が完成して「供することができる」ならば申告の対象です。

  • 遊休又は未稼働の資産
  • 資産の使用を中止していても、事業の用に「供することができる」状態ならば申告の対象となります。

  • 改良費(資本的支出:新たな資産の取得とみなすもの)
  • 避難階段など、従来の資産と分けて資産計上されているものも申告の対象です。

  • 福利厚生の用に供するもの
  • 保養所、理髪室、食堂など、事業所税の計算では「直接事業とは関係がないもの」として事業所税の対象外とされていますが、償却資産税においては「間接的とはいえ企業として事業の供するもの」として申告の対象となります。

  • 使用可能な期間が1年未満又は取得価額が20万円未満の償却資産であっても個別に減価償却しているもの
  • 少額の減価償却資産の取り扱いについては、3つ目の質問と回答で詳しく説明しています。

  • 租税特別措置法の規定を適用し、即時償却等をしているもの
  • 太陽光発電設備など、政策上の理由で取得した期に全額を減価償却した資産も申告の対象となります。

 

申告対象外の償却資産 ―自動車、ソフトウェア、繰延資産など―

質問:自動車の他、償却資産の対象とならない資産には何がありますか?

回答:無形固定資産、繰延資産などがあります

会計上で固定資産に計上されていても、償却資産税申告の対象外となる資産をまとめました。実務で失敗事例の多い例も記載しましたのでご確認下さい。

  • 自動車税、軽自動車税の課税対象となるべきもの
  • 普通車や軽自動車の他にも、原動機付自転車(排気量50cc以下)、小型特殊自動車(フォークリフトなど)も償却資産の対象外となります。

  • 無形固定資産
  • 特許権、実用新案権などの他にも、ソフトウェアや電話加入権など形としてはあらわれない固定資産は申告の対象外です。

  • 繰延資産
  • 対価を支払い、役務の提供も受けたが、その効果が将来にわたって続く費用を資産計上したものです。創立費、開業費などの他にも、商店街のアーケード負担金なども対象外となりますので注意して下さい。

  • 少額の減価償却資産
  • 申告対象外の判断を誤ることが多い項目です。詳しくは次の質問と回答を参照して下さい。

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失敗事例の多い項目 ―少額の減価償却資産の取り扱い―

質問:少額の減価償却資産の取り扱いについて教えてください

回答:10万円未満の全額損金計上した場合、20万円未満の3年間で一括償却としたものは除かれます

少額の減価償却資産は、会計・税務上の取り扱いによって償却資産税上の取り扱いが変わります。

  • 申告の対象外であるもの ―10万円未満の全額損金、20万円未満の3年償却―
  • 「少額の減価償却資産」として償却資産税申告の対象外となるものは、「取得価額10万円未満の資産のうち一時に損金算入したもの」、「取得価額20万円未満の資産のうち3年間で一括償却したもの」です。

  • 申告の対象となるもの ―30万円未満の全額損金処理したもの―
  • 注意が必要なのは「10万円以上30万円未満」の備品消耗品の取得です。中小企業特例を適用して全額経費計上したものは、固定資産に計上されていなくても、償却資産の申告の対象となります。

取扱い方について次の表にまとめましたのでご確認下さい。

○=申告対象 ×=申告対象外

 10万円未満10万円以上
20万円未満
20万円以上
30万円未満
30万円以上
全額経費計上対象外---
3年償却対象外対象外--
30万円未満の特例申告必要申告必要申告必要-
固定資産に計上申告必要申告必要申告必要申告必要

 

申告が遅れた場合、記入漏れ計算誤りがあったら ―期限後申告、修正、訂正―

質問:償却資産税申告書の提出が遅れたらどうなりますか?

回答:前年から資産の増減がない内容で計算され、提出後に調整されます

作成したけれども申告書の提出ができていなかった、提出した後に申告書の誤りに気付いたというのは実務で起こりうる話です。
経理担当者として覚えておいてほしいことは「それほど重大な影響はない」ということです。

  • 提出遅延の影響と必要な手続き
  • 償却資産税申告書の提出がされていない場合は、昨年分から資産の増減なしの内容で償却資産税が計算されます。申告書の提出を行ったあと、概算額と実際の税額との差額は残りの納期に分散されて納税することとなります。
    申告書の記載に誤りを見付けた場合は、申告書の上部余白に赤字で「修正」と明記し、修正内容が分かるように申告金額と訂正後の金額を記載するなどして修正の申告書を提出すれば正しい金額で計算し直してもらうことができます。
    修正の申告書を提出する場合は、修正する年度を記載することを忘れないで下さい。
     

    最後に

    いかがでしたでしょうか。償却資産を効率的に判断する方法として、基本的には「会計上の固定資産と同じ」という観点で判断し、例外事項については本記事で記載した例外を確認して頂くというのがスムーズかつ正確に判断するためのポイントです。

    償却資産税でも節税の余地があります。

    次回の記事では、経理担当者ならば知っておきたい節税のポイントについてお伝えします。
     

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● 著者

服部 峻介(セブンリッチ会計事務所)

服部 峻介(セブンリッチ会計事務所)

北海道大学経済学部卒。有限責任監査法人トーマツ入社後、上場企業の監査、内部統制、IPO支援、株価算定、M&A、不正調査等を実施。経営コンサルティング会社役員を経て、Seven Rich会計事務所を開業。スタートアップ企業を中心に、3年で160社以上の新規クライアントに対して会社の設立から会計税務、総務、ファイナンス、IPOコンサルなど幅広い支援を行っている

セブンリッチ会計事務所