固定資産税と償却資産税の二重課税に注意!課税関係と事例を紹介

固定資産税と償却資産税の二重課税に注意!課税関係と事例を紹介

企業が所有する固定資産には、所有を継続しているだけで賦課される税金が存在します。今回はその課税関係について確認するとともに、誤って二重課税となっている事例について学んでいきましょう。

所有が課税対象となる税金

法人の固定資産で課税対象となるのは、事業の継続に使われる財産であり、法人税や所得税法で減価償却が損金算入されるものを指しています。
所有していることが賦課条件となる税金には、次のようなものがあります。

  • 固定資産税
     所有する土地や家屋、機械装置や器具備品について賦課される税金です。
  • 自動車税(軽自動車税)
     所有する自動車(軽自動車)に対して賦課される税金です。
    (そのほかにも相続税等が候補となりますが、今回は省略します。)

上で紹介したような有形固定資産には、何らかの形で税金が課されている、と考えておけばそれほど間違いではありません。ソフトウェアや特許権のような無形固定資産に該当するものは、所有しているだけでは課税対象となりません。

これら所有に対する税金で注意すべき点は、赤字企業であっても負担があるという点です。所得(利益)に対する税金(法人税や事業税など)は、赤字企業には関係がありませんが、所有に対する税金は企業の経営状態にかかわらず、一定の課税が行われるというのが大きな特徴です。
所有に対する税金の多くは地方税に該当しますが、地方自治体の安定した財源として所有に対する税金は重要度が非常に高いといえます。

所有していても課税対象とならないもの

次のように所有していても税務上では課税対象にならない固定資産もあります。

  • 自動車税・軽自動車税・固定資産税が課税されているもの
  • 生物(観賞用・興行用の生物は課税対象)
  • 無形固定資産(ソフトウエア・電話加入権など)
  • 少額資産となるもの(取得価格が10万円未満)

また、コピー機などリース資産については、固定資産の課税対象にはなりません。耐用年数よりもリース期間が短い資産であれば、通常に購入するよりも短い期間で減価償却をすることができます。

償却資産税という税目はない

ここで注目をしてみたいのが、固定資産税です。通常、固定資産税というと「土地と家屋」に賦課されている、というイメージがないでしょうか。実際、固定資産税の明細をみるとそこには土地と家屋の情報しか記載されておらず、機械装置や器具備品に関する情報は記載されていません。

実は固定資産税は、実務上は2つに区分されています。「固定資産税」と呼ばれているものは土地と家屋が対象です。そして「償却資産税」と呼ばれるものが機械装置や器具備品、船舶や航空機、自動車税の課税対象とならないような車両が対象となっています。

償却資産税というのは、通称のようなものです。正確には固定資産税なのですが、償却資産(機械装置や器具備品等)に対する税金については、広く「償却資産税」という呼称が普及しています。

固定資産税の申告の方法

固定資産税の納税義務者は、非常にシンプルです。毎年1月1日(賦課期日)時点で土地、家屋または償却資産を所有している人が納税義務者となります。年中に売却等があった場合にも、あくまで1月1日に所有している人が納税義務者となります。ただし、土地建物等の売却の場合、取引慣行として固定資産税充当分が売買金額に加算されることが一般的です。

ただし、課税に至るまでの手続きは土地建物と償却資産では大きく異なります。

  • 土地家屋:役所側が登記情報や現地調査等に基づいて一方的に課税
  • 償却資産:所有する企業側が、所有する固定資産の内容を役所に提出、その後に課税

それでは東京都を例にして、固定資産税の申告手続きの流れを確認してみましょう。

  1. 毎年1月31日までに、企業は償却資産に関する情報(継続所有、新規取得、売却や除却)を取りまとめ、それを台帳の形式に仕上げて地方自治体に提出します。
  2. 申告書の内容に基づき、償却資産課税台帳に登録されます。
  3. 課税台帳に登録した旨の公示をします。
  4. 課税台帳の閲覧が可能になります。
  5. 台帳記載の内容に不服がある場合に審査の申し出ができます。
  6. 税額の算出と納税通知書が交付されます。
  7. 税額に不服がある場合に審査請求ができます。
  8. 第1期~第4期までに分けて納税します。

誤って二重課税となっていることも

ここで実務上、難しいのが家屋と償却資産における構築物の区分です。通称である償却資産税という名称で区分してみると、

  • 固定資産税の対象となる家屋:いわゆる建物が課税対象
  • 償却資産税の対象となる構築物:舗装路面、庭園、門・塀・外構工事、看板、立体駐車場、その他建築設備や内装工事・内部造作等

このように記載されている地方自治体が多いようです。注意をしたいのは償却資産税側における「その他建築設備や内装工事・内部造作等」と呼ばれる部分です。
これらの固定資産は、家屋として固定資産税が課税されているものが多く含まれています。そして「家屋として固定資産税が賦課されているもの」は償却資産税の申告は不要です。もしこの部分について償却資産税が課税されるとすると「固定資産税と償却資産税の二重課税」が起こってしまうからです。

家屋として課税されていない「その他建築設備や内装工事、内部造作等」というものもあります。具体的には「賃貸物件に借り主が施工した建築設備等」です。借り主が後から加えた造作工事などは、固定資産税の課税上家屋の評価には含まれていません。従って、借り主が手を入れた内装工事や内部造作は、償却資産として申告をしなければならないのです。

この辺りの事情について、きちんと整理できていない場合に二重課税となっていることがあります。自己所有物件に対して加えた各種工事について、誤って償却資産に含めて申告をしていないか、あらためて注意をしましょう。よくわからない場合には、地方自治体に対して「これは家屋ですか?それとも償却資産ですか?」と確認した方が無難です。

固定資産税の税率

固定資産税(償却資産に対するものも含める)の税率は1.4/100です。算出方法は次のとおりです。

【計算式】(100円未満切り捨て)

税額=課税標準額×税率(1.4/100)

※価格等の算出の結果で課税標準額が150万円(免税点)未満の場合には課税されません。
計算式の「課税基準額」は、次のように初年度と2年目以降に分けて算出します。

・初年度 評価額=取得価額×(1-減価率×1/2)
・2年目以降 評価額=前年度評価額×(1-減価率)

ただし、都市計画税と併せて賦課される場合、税率はもう少し上がります。
固定資産税には各種特例があります。居住用土地家屋に対する評価減や、償却資産に対する減免制度も存在します。特に償却資産に対する減免は各種手続きが必要となるので、設備導入前に確認をすることを推奨します。

まとめ

所有に対する税金の代表例として固定資産税があります。企業が所有する土地や家屋、償却資産に対して課税され、通称としては償却資産に対する固定資産税を「償却資産税」と呼ぶことが多いです。償却資産税は償却資産に関する情報を毎年1月中に申告する必要があるので、家屋と償却資産の区分を正確に把握しておかないと、二重課税が起こることがあります。税率は基本固定ですが、各種特例が存在するので注意しましょう。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

著 者 税理士 高橋 昌也

税理士 高橋 昌也

高橋昌也税理士・FP事務所 税理士 1978年神奈川県生まれ。2006年税理士試験に合格し、翌年3月高橋昌也税理士事務所を開業。その後、ファイナンシャルプランナー資格取得、商工会議所認定ビジネス法務エキスパートの称号取得などを経て、現在に至る。

高橋昌也税理士・FP事務所