オフバランス化で企業価値を高められる!?効果的な活用方法とは?

オフバランス化で企業価値を高められる!?効果的な活用方法とは?

オフバランスという言葉を耳にしたことがあっても、しっかりと理解できている方は少ないのではないでしょか。資産と負債に関係するオフバランス化は、経営改善に効果的とされています。
今回は、オフバランスについて詳しく解説するとともに、メリット・デメリット、オフバランス化の手法などについてもご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

オフバランスとは

まず、「オフバランス」の「バランス」という部分は「バランスシート」を示しており、「貸借対照表(B/S)」に関係しています。

貸借対照表は、企業の資産、負債などの状態を表し、資産と負債のバランス次第で経営状態を一定範囲で知ることができます。

この貸借対照表を踏まえ、バランスがオフになるという意味で考えると、貸借対照表がオフになる、つまり「資産、負債として貸借対照表に記載されないこと」を意味します。

資産で例えると、固定資産など所有するものがない状態です。所有しない方法の例としては、リース、レンタル、クラウド契約などが挙げられるでしょう。

オフバランスのメリット・デメリット

オフバランス化は、貸借対照表に記載されない契約を活用することを指すわけですが、これによってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。それぞれ詳しくみていきましょう。

オフバランスのメリット

資産の所有リスクを回避できる

オフバランス化のメリットのひとつは、資産を所有するリスクが避けられることです。企業にとって資産を所有することは、対外的に評価されやすい性質がありますが、同時に負債のリスクも伴うことがあります。その点、リースを活用すれば負債のリスク、割賦購入の利息負担が少なくなるのです。

高額な資産購入ではない限り、「資産=負債リスク」にはなりませんが、所有するには手元にある程度の資金が必要になります。一方で、リースやレンタル、クラウドサービスの場合は少額から必要なものを導入できて、資産の維持管理の負担を削減できます。

ROAを改善できる

また、オフバランスはバランスシートのスリム化ができます。資産として計上するものが少なければ、バランスシートはシンプルに整理されて一目で状況を理解できるシートになります。オフバランス化することで、企業の収益性を表す係数ROAが改善しますので、対外的に評価が高まることが期待できるでしょう。
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オフバランスのデメリット

トータルコストが高くなる可能性がある

オフバランスにより、バランスシートのスリム化はできますが、所有する資産がないということは、現金化できるものも少ないことを意味します。また、リースは割賦利息がありませんが、一定の手数料分が上乗せされていますので、結果的にトータルコストとして高くなる可能性もあります。ただし、資産として所有する場合で維持管理が必要なものもありますので、個々のケースでコスト判断することが大切です。

なお、オフバランス化が粉飾決算として悪用されるケースがあるということも、しっかりと把握しておく必要があるでしょう。バランスシートに記載されないことで、経営の実態が隠されてしまうことがあります。オフバランスは本来、健全な経営体質に改善するために活用されるものです。企業の対外的な評価の部分だけにフォーカスされないように運用しましょう。

オフバランスの方法

オフバランス化に取り組むには、どのような方法で進めていけば良いのでしょうか。その手法をご紹介します。

設備をリース

業務上で必要な設備をリースにすることで、オフバランス化が可能です。車、コピーなどOA機器、機械設備などがあります。

レンタル・賃貸

頻繁に使うものでなければレンタルという選択肢もあります。重機などはまさにその代表例といえるでしょう。メンテナンス費用の負担もありますので、重機に関してはレンタルの方が効果的といっても過言ではありません。

また、オフィスを自社ビルから賃貸に変えるという方法もあります。自社ビルの所有は資産としての評価があるともいえますが、実体としてはお金を生み出すものではないため、負債リスクを持ちながら所有するよりも負担が軽くなります。

クラウドサービス

ITの活用方法として、クラウドサービスがあります。自社でサーバー保有して都度メンテナンスを行ったり、ソフトウェアをアップデートしたりする費用負担を削減し、毎月の利用料で最新のサービスを活用できます。

アウトソーシング

人材のアウトソーシングだけではなく、業務の一部をアウトソーシングすることで生産のための設備を揃える負担を削減できます。さまざまな分野でのオンライン化が進んでいく中、分散化は今後もますます注目されていくのではないでしょうか。

オフバランスは経理向けクラウドサービスでも活用できる

先ほどご紹介した通り、オフバランス化の方法のひとつにクラウドサービスの活用があります。IT化が進み、オンライン通信も急激に進化し、すでにさまざまな分野でクラウドサービスが活用されていますが、経理分野でもクラウドサービスを利用してオフバランス化を図りながら業務効率化を行うことができます。

たとえば、株式会社ラクスが提供する経費精算システム「楽楽精算」は、交通費や経費精算の申請から承認をシステム上で行うことができるクラウドサービスです。「楽楽精算」には仕訳データの自動作成機能や会計ソフト連携など、煩雑な経理業務を効率化する機能も備わっています。

なお、「楽楽精算」はクラウドサービスのため、資産には計上されず、オフバランスの対象となります。企業価値の向上の方法のひとつとして、ぜひ導入の検討をしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、バランスシートのスリム化を図るオフバランスについて、その概要やメリット・デメリット、オフバランスを取り入れる方法などについてご紹介しました。オフバランス化の方法は、特別に難しいものはなく、検討しやすいものです。どの部分に取り入れれば良いか、税理士などと相談しながら、自社にとって最適な選択を検討していきましょう。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

著 者 渡部 彩子

渡部さんお写真w240h240

大学卒業後、自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門に在籍。経理・総務・人事の実務を経験し、同法人在籍中に日商簿記2級を取得。その後、保険・金融業界での経理業務の経験を経て、ライターとして独立。これまでの実務経験を元に経理業務をテーマとしたコンテンツ制作を中心に執筆。