【経理ニュース速報】シャープの大幅減資 ―社長からうちの会社も減資したらどうなるのか?と聞かれたら。経理担当者が知っておきたい、資本金が会社に与える影響―

【経理ニュース速報】シャープの大幅減資 ―社長からうちの会社も減資したらどうなるのか?と聞かれたら。経理担当者が知っておきたい、資本金が会社に与える影響―

先日、経営再建中のシャープが資本金を1億円へと大幅に減資するニュースがありました。その後計画を修正し、減資を5億円にとどめる方向にするという続報が流れ、世間をにぎわせています。
この機会に、経理担当者として知っておきたい資本金の役割を考えてみましょう。

シャープが1億円への減資を断念し、資本金5億円へ!

[引用]
 シャープは1200億円以上ある資本金を1億円に減らす計画を断念する。資本金1億円以下は「中小企業」とみなされるため、税制上の優遇措置を受けて収益回復などにつなげる考えだった。大企業による異例の大幅減資への批判を考慮し、資本金は5億円にする。減資で累積損失を解消する方針は変えず、将来の復配などに備える。(5/13日本経済新聞)

知っておきたいシャープの狙い ―減資がシャープに与える影響―

シャープが減資することで、資本金が1,200億円から5億円に減ったという側面の他、減資された1,200億円の資本金は利益剰余金に振り替わったという側面があります。
どちらも貸借対照表上は資本の部にあるため純資産の部の金額は変わりません。しかし、「配当することのできない元手」である資本金が、「配当することのできる剰余金」に振り替えられたことは、株主にとっては配当される可能性が高まるというメリットになります。さらに配当されやすい会社の方が投資家から出資されやすい傾向もあります。
それがシャープの狙いのひとつです。「減資で累損をなくせば将来の復配につながり、公募増資や資本提携なども進めやすくなる(引用:日本経済新聞)」という訳です。

経理担当者が気になる、税務的な効果について

当初報じられていた通り資本金が1億円以下となった場合には、売上高3兆円のシャープが税制上は「中小企業」と見なされ、税制上の優遇措置を受けられる予定でした。

中小企業に対する税制上の優遇措置

  • 法人税への軽減税率の適用(800万円以下の法人税率が25%→15%)
  • 外形標準課税の不適用(賃金、資本金等に対して一定額の課税)
  • 繰越欠損金の控除上限の不適用(所得金額の65%→全額控除)etc

シャープが中小企業となることで受けられる税務メリットは数億円と言われていました。小さな金額ではありませんが2015年3月期の赤字が2,300億円になるとシャープにとっては「たかが数億円」です。
また、その後出資を受けたのであれば資本金が1億円を超えるため中小企業である期間はわずかなど、正味の税務的なメリットはあまり大きくありませんでした。

シャープが1億円への減資を断念した理由

宮沢洋一経済産業相はシャープの1億円への減資を「企業再生としては違和感がある」と指摘しました。中小企業を想定した税制上の優遇を大企業が意図的に活用することについて政府が問題視する可能性が出てきたために見直すことになりました。

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経理担当者が押さえておきたい資本金についてのポイント

経理担当者の皆さんも社長から「うちも減資したいんだけど…」と相談を受ける可能性があります。資本金に関するポイントを押さえていないと、増資や減資で大きな影響が出るのではないかと不安になるかもしれません。
しかし、ポイントさえ押さえてしまえば資本金をコントロールすることで会社に良い効果を与えることもできます。

経理担当者が押さえておきたいポイントは「資本金1,000万円」のライン

資本金が1億円以下になった場合の影響は「中小企業に対する税制上の優遇措置」でお伝えした項目が主な内容です。ここでは実務的に問題になることの多い「資本金1,000万円のライン」についてもお伝えします。

  • 消費税の影響

会社設立後2事業年度は消費税が免税となります。しかし、期首において資本金が1,000万円以上である場合には課税事業者となる特例があります。1,000万円以上で設立した会社が1期目の途中で資本金を1,000万円未満にすることで、2期目は消費税の免税事業者となることができます。設立からの年数が限定されているなど、減資でこちらのメリットを享受できるケースは多くありません。

  • 住民税均等割の影響

利益に関係なく発生する住民税均等割も資本金の影響をうけます。東京23区に本店がある50人以下の会社の場合、資本金1億円以下だと毎年18万円、資本金1,000万円以下だとは毎年7万円と、資本金を1,000万円ぴったりまで下げることで住民税均等割の負担を減らすことができます。例えば、理由もなく資本金1,050万円などあと少しで住民税均等割が下がる場合には、資本金1,000万円とすることで税務上のメリットが毎年出続けます。

  • その他の気を付けたいポイント

既に資本金が1億円を下回っている場合には、減資により資本金が1,000万円を下回ることのメリットは、「消費税の影響」、「住民税均等割の影響」の2つがほとんどで、税制上「中小企業」にみなされるほどのメリットはありません。
ポイントを押さえて資本金をコントロールすることで、増資により対外的な信用が上がることや、財務的な体力が強くなるなどのメリットを享受することもできます。その際に気を付けたいポイントとしては、不用意に第三者からの出資によりオーナー社長の議決権を減少させないことです。場合によっては会社を乗っ取られてしまうなど、税制上の優遇や対外的な見え方の他にも、様々な観点から検討する必要があります。

皆様の会社でも、資本金を上げることで対外的な信用の獲得することや、無意味に高すぎる資本金を下げることで税制上の優遇を受けるなど、資本政策による経理担当者の腕の見せ所がないか検討してみて下さい。

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仕訳辞典:資本金

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● 著者

服部 峻介(セブンリッチ会計事務所)

服部 峻介(セブンリッチ会計事務所)

北海道大学経済学部卒。有限責任監査法人トーマツ入社後、上場企業の監査、内部統制、IPO支援、株価算定、M&A、不正調査等を実施。経営コンサルティング会社役員を経て、Seven Rich会計事務所を開業。スタートアップ企業を中心に、3年で160社以上の新規クライアントに対して会社の設立から会計税務、総務、ファイナンス、IPOコンサルなど幅広い支援を行っている。

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