車通勤の交通費計算方法は?非課税限度額などの注意点を解説
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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より
通勤手当は社員の通勤費用を補助するもので、会社で働く社員にとって支給の有無は給与所得にも影響するものです。ただ、通勤手当といっても、個人それぞれの通勤手段は異なりますし、計算も違ってきます。また、非課税部分もあるなど細かな決まりごともあるため、しっかりと把握しておかなくてはなりません。
そのため、今回は通勤手当の種類や非課税の限度額、支給するときの方法などについて解説します。通勤手当は不正行為につながる性質がありますので、その仕組みをしっかりと理解しておきましょう。
通勤手当とは
通勤手当とは、社員が自宅から会社までの通勤にかかる交通費の一部、または全部に相当する額を手当として支払うものです。通勤手当は、法的な決まりがある性質のものではないため、通勤手当がなくても特に問題はありません。また、通勤手当を支給する場合は、会社ごとに就業規則等で支給する際の基準を設けているのが一般的です。
経理プラス:通勤手当の課税・非課税のルールとは?交通費の非課税上限額を解説
現金支給と定期券支給
通勤手当を支給するに方法は、「現金支給」と「定期券支給」の2種類が存在します。定期券の場合は現物支給になることが多いでしょう。
通勤手当と交通費の違い
通勤手当と交通費は混同しやすいものですが、会計上では性質が全く異なります。交通費は会社の業務上で必要とした公共機関の運賃やタクシー代、レンタカー代などの旅費交通費であり経費に該当します。通勤手当とは区別して理解しましょう。
通勤手当の非課税限度額
通勤手当は、社員個人に支給されるものですが、一定の範囲内で所得税や住民税の課税対象にはなりません。非課税となる範囲は、通勤方法や通勤距離などによって上限が決められています。通勤方法の区分は次の4つに分けられます。
- 交通機関または有料道路を利用している人
- 自動車や自転車などの交通用具を使用している人
- 交通機関を利用している人に対する通勤用定期乗車券
- 交通機関または有料道路を利用するほか、交通用具も使用している人
区分 | 課税されない金額 改正後(平成28年1月1日以後適用) |
|
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1.交通機関又は有料道路を利用している人に支給する通勤手当 | 1か月当たりの合理的な運賃等の額 (最高限度 150,000円) |
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2.自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当 | 通勤距離が片道55km以上である場合 | 31,600円 |
通勤距離が片道45km以上55km未満である場合 | 28,000円 | |
通勤距離が片道35km以上45km未満である場合 | 24,400円 | |
通勤距離が片道25km以上35km未満である場合 | 18,700円 | |
通勤距離が片道15km以上25km未満である場合 | 12,900円 | |
通勤距離が片道10km以上15km未満である場合 | 7,100円 | |
通勤距離が片道2km以上10km未満である場合 | 4,200円 | |
通勤距離が片道2km未満である場合 | (全額課税) | |
3.交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券 | 1か月当たりの合理的な運賃等の額 (最高限度 150,000円) |
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4.交通機関又は有料道路を利用するほか、交通用具も使用している人に支給する通勤手当や通勤用定期乗車券 | 1か月当たりの合理的な運賃等の額と2.の金額との合計額 (最高限度 150,000円) |
1と3の区分であれば1カ月当たりの運賃相当額で上限15万円、2の区分であれば通勤距離片道55キロメートル以上で上限31,600円、4の区分であれば1と2の金額の合計額で上限15万円となります。2の区分は通勤距離が上記の表の通り細かく分けられています。
経理プラス:交通費の課税は大丈夫?通勤手当の課税・非課税の判断方法
通勤の交通費精算の注意点
通勤のための交通費精算をするときは、どのような点に注意すべきでしょうか。次の3つのポイントをご紹介します。
車・バイク通勤の場合
自宅が最寄り駅から不便な場所にあり、車やバイク通勤をしている方もいるでしょう。基本的な精算方法はカソリン代相当額を計算して支給する方法です。ガソリン代は基準となる燃費を決めて、通勤距離ごとに計算します。所有する車の車種はそれぞれ異なりますが、一般的には一律に同じ燃費として扱います。仮に1キロメートルあたりで10円、通勤距離が往復10キロメートルなら、10キロ×10円=1日100円の通勤手当となります。
ただし、車とバイクの燃費には大きな差がありますので、区別して規定しておくことがおすすめです。
公共交通機関の場合
公共交通機関の場合は、自宅から会社までの定期代を現金支給、または定期そのものを支給します。定期は交通機関により1ヶ月~6ヶ月までさまざまです。経路については、最も効率的な路線で構いませんが、最適なルートになっているか、確認しましょう。
車・バイクと公共交通機関の併用の場合
車・バイクと交通機関の併用の場合は、それぞれの利用ごとに規則に沿って計算します。ガソリン代精算と定期券の併用というケースもあります。
通勤費の不正受給のチェック方法
通勤費は不正受給につながりやすい性質があります。公共交通機関での通勤としながらも、自転車や徒歩で通勤し、定期券相当額の支給を受けたり、車・バイク通勤で、自宅から会社までの距離を虚偽申告して、通常よりも多い通勤手当を受け取ったりするケースも否めません。これらを確認することは難しいため、不正があってもなかなか気が付かない面があります。
転居時の住所変更
ここで注意したいのが、住所変更時の通勤費の見直しです。実家から一人暮らしに変えたり、単に住居を変えたり、会社に従事している間に住所が変わることは少なくありません。転居時の不正としては、以前の住所地よりも会社に近くなったのに、通勤手当の計算の変更手続きをしないことが挙げられます。会社側が個人の住所変更をしても、通勤手当の変更が漏れるケースです。本人が気づいていても、損していないならあえて申告しないこともあります。
定期区間を含んだ交通費精算
また、業務上の交通機関の利用で旅費精算が発生したとき、通勤区間との重なりがあったら、その区間は重複しない精算処理が必要です。通勤手当の不正を防ぐには、一つひとつ個人情報のチェックをしておくことが大切ですが、手作業で行うには手間がかかり、また連絡ミス、チェックミスなども起こりやすくなります。
交通費精算システムの導入
できるだけ効率的にミスなくチェックするためには、経費精算システムの活用がおすすめです。手作業でチェックしていた面倒な旅費精算も、定期区間が控除されているかなどをシステムでチェックしながら行いますので、人的なミスを防ぐことができます。またクラウド型の経費精算システムのできれば、出先から直接経費精算もできてスピーディな処理につながります。早く正確な経費精算を行いたい場合には、ぜひ経費精算システムの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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まとめ
通勤手当は、個々の社員の通勤手段によりさまざまな支給方法に分かれます。経理担当者は、適正な通勤費の申告が行われているか、変更事項はないか、旅費精算との重複がないかなど、不正がないように定期的にしっかりとチェックしておきたいですね。
この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。