外形標準課税とは?法人事業税の課税制度を理解しよう

資本金1億円超の法人を対象とした法人事業税の課税制度のことを外形標準課税といいます。法人税は基本的に企業の儲けである所得を課税標準として税金が課されますが、実は法人事業税は所得だけではなく、企業の規模も課税標準となるのです。

私達は地方自治体から様々な公共サービスを受けていますよね。それと同様に、企業も地方自治体から公共サービスを受けています。

この公共サービスをどのように負担するかを考えた場合、所得の多い企業、つまり儲かっている企業だけでなく、その場所に存在する企業がその規模に合わせて負担したほうが公平だと考えられます。

そこで平成16年4月より、法人事業税に企業規模を勘案した課税制度である、外形標準課税が取り入れられました。本稿では、東京都に事務所を有する外形標準課税法人を例に、外形標準課税について説明したいと思います。

<注釈>外形標準課税法人とは、所得に課税される法人(※1)で、事業年度終了の日における資本金の額または出資金の額が1億円を超えている法人です。
※1:公益法人等、特別法人、人格のない社団等、みなし課税法人、投資法人、特定目的会社、一般社団法人、一般財団法人は除かれます。

 

法人事業税の構成

法人事業税が外形標準課税だと言っても、その全てが企業規模に応じて課されるというわけではありません。

法人事業税は大きく「所得割」「付加価値割」「資本割」に分かれています。このうち、所得割は企業規模ではなく、企業の儲けである所得に課されるものです。一方、付加価値割、資本割は企業に勤める方の給与や企業の資本金などに応じて課されるものですから、企業規模に応じて課される部分と言えます。

 

法人事業税の所得割について

所得割は、各事業年度の所得に税率をかけて算定されます。

外形標準課税法人の所得割の税率は0.88%です(超過税率適用の場合)。ただし、所得の金額が400万円以下の場合には0.395%、400万円を超え800万円以下の場合は0.635%と軽減されます。

また、以下のチャートで、軽減税率不適用法人と判定された場合には、所得の大きさに関わらず、税率は0.88%となります。

法人事業税の税率の判定

東京都主税局HPより

なお、外形標準課税法人でない普通法人の税率は7.18%です(超過税率適用の場合)。ただしその場合でも、所得の金額が400万円以下の場合には3.65%、400万円を超え800万円以下の場合は5.465%と軽減されます。

また、上記のチャートで、軽減税率不適用法人と判定された場合には、所得の大きさに関わらず、税率は7.18%となります。

 

所得割の標準税率について

以上の所得割の説明は、全て超過税率を適用した場合でした。

法人事業税の税率の判定

東京都主税局HPより

実は、上記のチャートで標準税率を適用すると判定された場合、税率は以下のように変化します。

外形標準課税法人の場合は、税率の変更はなく、超過税率適用の場合と同じ税率を適用します(軽減税率不適用法人についても変更はありません)。

一方、外形標準課税法人でない場合には税率が変更され、普通法人の税率は6.7%です。ただし、所得の金額が400万円以下の場合には3.4%、400万円を超え800万円以下の場合は5.1%と軽減されます。

また、軽減税率不適用法人と判定された場合には、所得の大きさに関わらず、税率は6.7%となります。

 

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法人事業税の付加価値割について

付加価値割は、企業の「単年度損益」と「収益配分額」の合計を課税標準とし、その合計額に税率を乗じて算定します。付加価値割の税率は1.26%となっています。

具体的には、「単年度損益」とは繰越欠損金控除前の法人事業税の所得金額を言い、「収益配分額」は報酬給与額、純支払利子、純支払賃借料からなり、それぞれ以下のように算定します。

報酬給与額=報酬・給与等+企業年金等の掛金
純支払利子=支払利子-受取利子
純支払賃借料=支払賃借料-受取賃借料

なお、雇用安定のための措置として、報酬給与額が収益配分額の70%超を占める場合には一定の軽減措置があります。これにより雇用や給与水準の高い企業の方が税負担が軽くなる仕組みとなっています。

 

法人事業税の資本割について

資本割は資本金等の額を課税標準として、税率を乗じて算定します。

資本割の税率は0.525%となっています。資本金等の額は資本金と資本準備金の合計額です。ただし、法人税法上の資本金等の額に無償増資や無償原子等による欠損補填を加減した金額が、資本金と資本準備金の合計額を上回る場合には、その金額を課税標準とします。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?
少し話が複雑だったと思いますので、最後に東京都主税局の税率表を掲載しておきます。

法人事業税の税率表

東京都主税局HPより

上表でもう一度確認しておいてください。

今回は法人事業税について説明してきましたが、実は、法人事業税の申告納付義務がある法人は、地方法人特別税も納めなければなりません。地方法人特別税の解説は次の機会に譲りますが、地方法人特別税の納税額の計算は、今回説明した法人事業税を基にして行われますので、この機会に法人事業税をしっかり理解しておいてください。

※本記事の内容は2017年3月1日時点の情報を元に記載しています。

 

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● 著者

大野 修平

大野 修平

公認会計士・税理士 前職の有限責任監査法人トーマツでは銀行、証券会社、保険会社など金融機関向けの監査、デューデリジェンス、コンサルティング業務などに従事。 トーマツ退所後は会計事務所シンシアにて「ビズバ!」というオウンドメディアの企画、編集を担う。また、会計や税金を身近に感じてもらえる様々なイベントを運営している。 無類の読書好きで、蔵書が3,000冊を超えないようコントロールすることに頭を悩ませる日々。

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