地方法人税のキホン 税率や計算方法などを理解しよう

地方法人税のキホン 税率や計算方法などを理解しよう

地方法人税とは

地方法人税とは、平成 26 年3月 31 日公布の「地方法人税法」によって創設された法人に対する税金です。法人税とともに国が徴収する国税にあたりますが、その税収は地方交付税(都道府県、市町村に交付される税)の財源に充てられるため、「国が地方に代わって徴収する地方税」という見方もできます。この地方法人税の目的は、地域間での税収の偏りをなくすことによって、その格差の縮小を図ることです。

地方法人税の税率と計算方法

地方法人税の計算は、法人税額(法人の所得に対する税額)に対し税率をかけて行います。この税率は、平成29年4月から10.3%になりました。それまでの4.4%から倍以上に増額されていますが、課税標準(税率をかける金額)が法人税額なので、税負担が大きく変わるものではありません。

(参考)平成28年度税制改正の大綱(財務省)

法人税とは

法人税とは、法人の所得に対して発生する税金で、地方法人税の課税標準です。法人税の税率は中小法人(普通法人のうち、期末資本金の額が1億円以下)と一般社団法人について、所得の金額に応じて2段階に分かれます。また、平成30年4月1日以降に開始した事業年度からは新税率が適用されています。

法人の種類所得の金額平成30年3月31日
までに開始した事業年度
平成30年4月1日
以降に開始した事業年度
中小法人、一般社団法人等年800万円以下の部分15%19%(15%)
年800万円超えの部分23.4%23.2%

年間所得800万円以下の税率については原則19%ですが、平成31年(2019年)3月31日までに開始された事業年度は15%で計算します。所得によって税率が異なることから、参考までに法人の所得(800万、2,000万円、5,000万円)によって、法人税と地方法人税がどのくらい変わるか見てみましょう。以下では所得が上がるにつれて、所得に対する法人税と地方法人税の割合が高くなることが分かります。

法人の所得800万円2,000万円5,000万円
法人税120万円398万4,000円1,094万4,000円
地方法人税12万3,600円41万300円112万7,200円
所得に対する税金の割合16.5%22.0%24.1%

※800万円超えの部分にかかる税率は23.2%で計算。

地方法人税の申告先

地方法人税の申告先は税務署です。法人税・地方法人税のほか、法人にかかる税の申告先は次のように分かれています。

法人税の種類税金の種類申告先
法人税国税税務署
法人地方税
法人事業税地方税
(都道府県)
都道府県税事務所
地方法人特別税
法人住民税道府県民税地方税(都道府県)
市町村民税地方税(市町村)市町村

提出する申告書の様式は申告先で異なります。したがって確定申告では、以下の3つに分けて、それぞれ申告しなければなりません。

  • 法人税と法人地方税
  • 法人事業税、地方法人特別税、法人道府県民税
  • 法人市民税

地方法人税の納付方法

国税の納付方法は、以下の手続きによって納税が可能です。

  • 現金納付(窓口納付)
  • コンビニ納付
  • 口座振替納付
  • クレジットカード納付

それぞれの手続きについて、詳しく見ていきましょう。

現金納付(窓口納付)

現金納付(窓口納付)とは専用の納付書を記載し、金融機関や税務署の窓口で納付する方法です。地方法人税は法人税と同じ国税用の納付書で行いますが、法人税と地方法人税で分けて作成する必要があります。税目に「ホウジン税」、「チホウホウジン税」とカタカナで印字されていることがあるため、何の納付書か確認してから金額を記載しましょう。

コンビニ納付

コンビニ用のバーコード付の納付書や、コンビニ用納付用のQRコードをスマートフォンなどに出力したデータを使って納付する方法です。

口座振替納付

金融機関の口座から振替で納税する方法です。あらかじめ「振替依頼書」を作成し、税務署かその金融機関に提出する必要があります。なお、振替依頼書の様式は、国税庁のホームページからダウンロード可能です。

(参考)国税庁ホームページ

クレジットカード納付

平成29年1月から開始された納税方法です。民間企業(トヨタファイナンス株式会社)に納付立替を依頼することから、同社に対する手数料が発生するという特徴があります。なお、クレジットカードの利用ポイントとして還元されるかどうかは、クレジットカード毎に確認が必要です。

(参考)トヨタファイナンス株式会社 国税クレジットカードお支払サイト

法人税・地方法人税以外の税率等

法人税と地方法人税以外にも、法人にかかる税金として以下のものがあげられます。

  • 法人事業税
  • 地方法人特別税
  • 法人住民税(都道府県民税)
  • 法人住民税(法人市民税)

その内容について、詳しく見ていきましょう。

法人事業税

法人事業税とは、都道府県が課税する税金です。資本金等の額が1億円以下の法人については所得割のみですが、1億円超えの法人には「外形標準課税」が適用され、所得割に加えて付加価値割、資本割が発生します。

外形標準課税が適用されない法人(資本金等の額が1億円以下)

課税標準法人の所得
税率・電気供給業、ガス供給業、保険業を行う法人…0.9%
・軽減税率不適用法人※…4.6%又は6.7%
※3つ以上の都道府県に事務所又は事業所を設けて事業を行う法人で資本金の額又は出資金の額が1,000万円以上の法人
・上記以外の法人…3.4%~6.7%

外形標準課税が適用される法人

税金の種類税率等
所得割外形標準課税が適用されない法人に同じ
付加価値割付加価値額×1.2%
資本割資本金等の額×0.5%

地方法人特別税

法人事業税の所得割(上記の「外形標準課税が適用されない法人」参照)の金額にかかる税金です。税率は、外形標準課税の対象かどうか以下のように変わります。

・外形標準課税対象法人以外…43.2%
・外形標準課税対象法人…414.2%

法人住民税(都道府県)

法人住民税とは、法人の所在地に対してかかる税金です。都道府県と市町村に支払うものがあり、この2つを総称して法人住民税と呼びます。ただし、それぞれを法人○民税(○には都道府県や市町村をあてはめる。例:東京都は法人都民税)と呼び区別することもあるので覚えておきましょう。法人住民税は、都道府県・市町村ともに「均等割」と「法人税割」の2つで構成されています。

法人住民税(都道府県)の税額等

税金の種類税率等
均等割法人の資本金等の額で決定(2万円~80万円)
法人税割法人税額×(3.2%~4%)

また、自治体によっては森林環境税を導入し、均等割に5%を上乗せするところもあります。

法人住民税(市町村)

市町村の法人住民税は、均等割と法人税割で構成される点で都道府県と共通します。ただし、税額は都道府県よりも高めです。また、その市町村の事業所で働く従業員の数の影響を受けるという特徴があります。

法人住民税(市町村)の税額等

税金の種類税率等
均等割法人の資本金等の額・市町村内の従業員数で決定(5万円~300万円)
法人税割法人税額×市町村内の従業員数/全従業員数×(9.7%~12.1%)

まとめ

地方法人税の概要や税率、計算方法を中心に、法人にかかる税金について解説しました。法人にかかる税金はとにかく種類が多く、申告先も複雑です。あらかじめ、知識として把握しておきましょう。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

著 者 石田 夏

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理士事務所、上場企業の経理職を経てフリーライターに転身。 簿記やファイナンシャルプランナー資格を活かして、税務・会計に関する企業向けコンテンツを中心に執筆中。 ポリシーは、「知りたいをわかりやすく」。