2019年度の年末調整はどう変わる?電子化などおさえるべき最新情報!

毎年、11月から12月にかけて企業から従業員に対して「年末調整関係の資料」が配布されます。今回はそんな年末調整について、その意義と近年の注目点について取り上げていきます。2020年には、所得金額に応じた基礎控除額の変更や、電子化などといった大きな変化がある予定です。経理担当者が押さえておくべきポイントについて、詳しく確認していきましょう。

年末調整の基本を振り返り

年末調整は企業に勤務する人が対象となる作業です。「会社員向け簡易確定申告」と理解しておけば、それほど間違いではありません。

日本の所得税は所得者本人が自分の納税額を計算する申告課税方式が採用されています。つまり、本来であれば企業に勤務する人も、全員自分の課税所得や納税額を計算し、それを税務署に提出しなければなりません。

しかし、会社員としての給与収入しかない人の所得については、自営業者などと違い、給与総額がわかれば給与所得がわかります。つまり「給与を支払っている会社側」は、給与所得額を簡単に計算することができるのです。

また、会社員は人数も多いので、全員が確定申告をするとなると納税者も税務署も大変な作業になります。

上記のような事情を考慮したうえで、企業は勤務する社員から所定の資料を収集し、各社員の所得額、所得税額等を計算し、その精算作業までを代行します。これが年末調整の大まかな仕組みです。

なお「簡易確定申告」なので、対応していない制度もあります。

  • 医療費控除
  • 住宅取得控除(居住をはじめた一年目分について)
  • 寄附金控除

これらについては、年明け後に確定申告を行う必要があります。いわゆる「ふるさと納税」については取り扱いが少々複雑なので、今回は触れません。

年末調整の実際の作業

1.企業は従業員に以下の資料(申告書)を配布

企業は勤務する従業員に対して、以下の資料(申告書)を配布します。

  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 保険料控除申告書
  • 配偶者控除等申告書

※その他、複数の企業に勤務している場合などには別の資料が必要となることもあります。
※年中に扶養親族等の状況に変化があった社員については、昨年の同時期に収集した「扶養控除等(異動)申告書」の内容を訂正してもらいます。

一般的には、11月ごろには配布をしている企業が多いようです。また、配布の際には各注意点(特に配偶者・親族に関する情報や各控除証明書に関する話など)についてまとめた補足資料を配布している企業も多いようです。企業は、各従業員から記載された資料を収集後、年末調整の処理に進みます。

2.年末調整の計算

年内最後の給与計算が終わった時点で、各社員の給与所得額が確定します。加えて各社員から収集した年末調整用の資料を用いて、各社員の所得税額が確定します。

なお、従業員の給与からは毎月の支払額に応じて源泉所得税が天引きされています。上記の計算により確定した年間税額と、これまでに天引きされた源泉所得税額を比較することで、過不足額がわかります。

 源泉所得税額>年間所得税額 の場合
 ⇒従業員へ還付金を支払います。

 源泉所得税額<年間所得税額 の場合
 ⇒従業員から不足額を預かります。

企業は各社員に対して過不足額の精算を行います。一般的には各社員へ「年末調整還付金」を支払うことが多いです。そのうえで各企業は、次回の源泉所得税納税時に還付額および不足額を調整し税務署に納めます。

例:2019年12月に発生した源泉所得税額が100万円。年末調整を通じて、社員に40万円の還付金を支払った。

この場合、2020年1月10日(源泉所得税の納期限)までに、60万円(100万円 - 40万円)を納めます。

なお、年末調整の計算と過不足金額の精算ですが、年内最後の給与支払いと同時に行う企業と、それとは別個に行う企業があります。どちらでやっても結果は同じなので、これは企業ごとの慣行によります。自社がどちらのタイミングでやっているか確認をしておきましょう。

3.源泉徴収票の作成

企業は、各従業員の所得および所得税に関する状況をまとめた源泉徴収票を作成し、各社員に配布します。また所定の条件(役職や金額等により判定)に該当する人は、法定調書の一種として税務署にも提出します。

あわせて、源泉徴収票と同じ情報をまとめた給与支払報告書を作成し、各従業員の居住する市役所などへ提出します。この資料が、各従業員の次年度における個人住民税計算の基礎となります。

税務署や市役所などへの資料の提出は、翌年1月中に完了させる必要があります。特に市役所などへの提出遅れは、個人住民税の計算に多大なる影響を与えます。期限厳守を心がけましょう。

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年末調整に関する注意すべき近年の変更点

2019年の年末調整は、前年と大きく変わった点はありません。「令和2年分 扶養控除等(異動)申告書」には、いままでの様式にはなかった「単身児童扶養者」のチェック欄が加わっています。該当する社員(いわゆる「ひとり親」に該当する人など)に対しては注意喚起をしておくべきです。

2018年の年末調整では、配偶者控除に関する内容が大きく変わったことから、それまで大概の場合には2枚だった年末調整の用紙が3枚に増えました。

そして、2020年は所得税の制度が大きく変わるため、年末調整の申告書様式の大幅な変更が予定されています。所得金額に応じて基礎控除の金額が変動するなど、大幅に制度全体が変わることから、従業員本人だけでなく、配偶者控除や扶養控除にも影響を及ぼします。
それを受けて、年末調整に関する資料も様式が大幅に変更される見込みです。

令和2年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書 イメージ
※2019年11月時点でのイメージです。確定版は12月末頃に配信されるそうです。

あわせて、年末調整については令和2年分からの電子化に向けた取り組みが国税庁から発表されています。「各従業員からの資料収集」「年末調整の計算」「税務署や市役所への資料提出」といった各段階について、電子化をするための施策が進むこととなっています。今回ご紹介をした各種手続きについて、電子化の導入によって流れが大幅に変わる可能性もあります。最新情報を常に確認するようにしましょう。

また、企業が実際に電子化を進めるためには「使用するサービスやソフトウェアの確定」「従業員への周知徹底」など、超えるべき壁が多数あります。ある程度時間をかけて、しっかりとした準備を進めることが必要不可欠です。

年末調整の作業では「翌年に必要な情報の収集」と「今年の処理」を同時に行います。例えば2019年で考えた場合には、配布する資料は令和元年と令和2年の資料が混在している点に留意しましょう。

まとめ

年末調整とは、会社に勤務している人が対象となる簡易版の確定申告です。今年度は、昨年度より配偶者控除改正の影響で用紙が1枚増えました。また、令和2年から所得税の大改正や電子化への取り組みの影響で、年末調整の資料も大きく変わる予定ですから、従業員への周知徹底を行うためにも、経理担当者としては最新情報を常にチェックしておくようにしましょう。

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