電子帳簿保存法の導入のポイントとは 改正内容と導入事例を合わせて解説

電子帳簿保存法を検討する企業が急増!20年度改正や成功事例を解説

コロナ禍におけるテレワーク対応で経費精算においてもペーパーレス化の必要性がうたわれています。それを後押しするように電子帳簿保存法(電帳法)の改正が2020年10月に施行され、条件が緩和されることにより、検討を進める企業が増えています(この後、2022年1月施行の改正でさらに条件などが緩和されました)。今回は、電子帳簿保存法改正の内容と、電帳法に対応していく上でのポイント、また最後には実際に電子帳簿保存法対応を行った事例企業について解説します。

電子帳簿保存法対応を検討する企業が急増

電子帳簿保存法とは、1998年に制定された国税関係帳簿書類(領収書・請求書などの紙媒体)を電子データ化して保存することを認めた法律です。今まで経費で精算をしたものの領収書や請求書の原本は、7年間保存する必要がありましたが、電子帳簿保存法の要件を満たせば、定期監査後は紙の原本を処分し、電子化したデータで保管することができます。2022年1月施行の改正で定期的な検査を含む「適正事務処理要件」が廃止されたため、紙の原本はスキャン後すぐに破棄できるようになりました。そのためペーパーレス化を推進することができ、紙の領収書などの原本を管理するコストを削減できる、企業ガバナンスを強化できるなどのメリットがあり、注目を集めています。
実際に「経理プラス」が行ったアンケート調査においても、新型コロナウイルス感染拡大後に変化した経費精算フローのうち、電帳法検討・原本のデータ化を始めた方は47.4%、各申請・経費精算処理を電子化し始めた方と合わせるとは64.2%にものぼりました。

(図1) 設問「Q21.新型コロナウイルス感染拡大【後】(2020年4月~5月)に、お勤めの会社の経費精算フローで変化したことがあれば教えてください。(n=318)」の回答

電子帳簿保存法の基本についてはこちらの記事で解説をしておりますので、併せてご覧ください。
経理プラス:電子帳簿保存法の対象書類は?保存期間や手続き方法を分かりやすく解説

2020年度の電子帳簿保存法改正で現場は何が変わるのか

1998年に制定された電帳法ですが、税務署の承認を受けた上で一定の要件を満たせば、事業者の規模問わず導入が可能です。しかし、まだまだ要件が厳しく導入する企業は少ないのが実情です。そのため近年要件緩和の改正が続いており、2020年度の今回の改正でも、電子データを受け取った場合の保存方法の要件に変更があります。

タイムスタンプの付与改正前改正後
発行者で付与受取手にて付与が必要受取手にて付与は不要
発行者で付与なし受取手にて付与が必要変更なし

また、新たに加えられた保存方法として、「受け取る側が自由にデータを改変できない」クラウドシステムなどのサービスを利用することが認められます。
そのため、電帳法への対応と同時に、経費精算システムの導入を検討するケースが増えています。しかし、実は世に提供されているすべてのシステムが電帳法に対応しているわけではなく、決められた要件を満たす運用ができるシステムを利用しなければいけません。では、電帳法に対応した運用を行いたい場合、どのようなシステムを選定すればよいのでしょうか。

2020年度の電子帳簿保存法改正の詳細は以下の記事にまとめていますので、ぜひ合わせてご覧ください。

経理プラス:【2020年度税制改正】電子帳簿保存制度の見直し 進むペーパーレス化

なお、2022年1月施行の改正により、スキャナ保存を行う場合における税務署長の事前承認が不要となりました。また同じ改正によって、①データの修正削除の履歴が残るもしくは利用者側で修正削除ができない、②入力期限内にデータをクラウドサービスに保存したことが確認できる、の2要件を満たすクラウドサービスを利用する場合は、タイムスタンプの付与も不要となります。

電子帳簿保存法の改正に向けてシステムを選ぶポイントとは

電帳法に対応するためにクラウドシステムを利用する場合、下記の要件を満たす必要があります。

  • 電子化したデータの可視性の確保
  • 電子化したデータの真実性の確保

電子化したデータの可視性の確保

「可視性の確保」の要件を満たすためには、必要な項目を検索できる機能が必要となります。電子化した領収書などをアップロードしたデータの中から、金額、取引した日付、取引先名などの項目について、領収書や請求書をすぐに検索できるようにしておきます。また、電子化したアップロードデータについて、編集や改ざんが行われてないかを、検証できるようにしておくことも必要です。

電子化したデータの真実性の確保

「真実性の確保」の要件を満たすためには、タイムスタンプの機能が有効です。これも、電子化した領収書・請求書等の国税関係書類のデータの存在を確認し、編集・改ざんがされていないことを証明するものです。たとえば経費精算システム「楽楽精算」を使うと、電子化した領収書・請求書のデータをシステムにアップロードした段階で、タイムスタンプが自動的に付与できます。このデータをシステムに添付して精算することで、紙原本ではなく、電子化したデータにおいても、データの真実性を確保することができ、経費精算をすることができます。

要件を満たしている経費精算システムを選定するポイント

電帳法に対応する要件を満たすシステムを選定する場合、上記の要件以外にも考慮すべき点があります。それは前述のとおり近年は要件緩和の法改正が続いており、それらの変化に対応し、アップデートされているかも重要です。しかし、これらの要件を満たしているか自分でチェックをすることは中々難しいものです。そこでチェックすべきなのが、国税庁が公認する団体JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)の「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証制度」になります。この制度はソフトウェアが公開しているマニュアル等を公正な第三者機関がチェックし、必要な機能が揃っていることを確認し、認証を行っています。認証製品のリストはJIIMAホームページ上で公表され、国税庁にも提出されているため、認証されている製品を選べば、電帳法の申請の際も安心です。

たとえば、株式会社ラクスが提供する「楽楽精算」は、電子帳簿保存法に対応する要件を満たす機能を揃えた経費精算システムです。

経理プラス:目指せ!電子帳簿保存法対応で効率化!成功のカギは「JIIMA認証」

(参照)公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(JIIMA):電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証制度

経費精算システム導入で電子帳簿保存法に対応できた事例のご紹介

経費精算システム活用のメリット

上記の条件を満たしていても、経費精算作業に手間がかかってしまっては意味がありません。今度は経費精算システムを入れることで、経費精算業務がどれだけ楽になるのかを簡単にご紹介します。
たとえば、JIIMAの認証を取得している経費精算システム「楽楽精算」の場合、わざわざコピー機でスキャンをしにいかなくとも、スマホ用のアプリで領収書や請求書を撮るだけで電帳法に対応した形でデータを保存することができます。さらに、スマートフォンで撮影したデータや、パソコンで受け取ったPDFデータを「楽楽精算」上にアップロードすると、領収書や請求書に記載されている金額や取引先、受領日などが読み取られ、経費精算申請時の項目に自動で反映されます。

電帳法に対応してペーパーレス化を進められるだけでなく、入力の手間も削減することができるのです。これにより出張先やテレワーク時における経費精算時にも簡単に電帳法に対応した精算業務を行うことができます。

>>経費精算システム「楽楽精算」の電子帳簿保存法に関する機能について詳細を見る

電子帳簿保存法対応で作業時間が3時間→30分に!

ここで経費精算システム「楽楽精算」を導入して、電帳法に対応し、経費精算業務を効率化できた事例をご紹介します。

ファーストキッチン株式会社様では、早期から電帳法に対応するためシステムの導入を行っていました。
システム導入以前は会計システムのオプション機能を用いて経費精算を行っていました。申請者であるスタッフは、紙で出力した領収書を定型のフォーマットに添付して、上長に提出、その後、上長の承認がとれたものについては財務経理へ提出するという流れでした。

元々、ファーストキッチン株式会社様から発行する請求書と支払い案内については、手作業の削減や紙代・郵送費等のコストを削減する目的で既に電子化していたため、これらの経費精算についても電子化した方がよさそうという全体感はあったそうです。請求書や領収書の保管においてコストや手間を減らすためには電帳法に対応したフローをつくる必要があり、システムの導入が必須でした。

実際に経費精算システム「楽楽精算」を導入し、領収書の保管の手間が大きく削減できたそうです。それまでは、紙の領収書を倉庫で保管するフローをとらなければいけなかったのが領収書、請求書ともに「楽楽精算」にアップロードした帳票すべて本社の提出BOXに入れるだけとなりました。

電子帳簿保存法の要件の一つである「検索機能の確保」についても、「楽楽精算」上ですべての情報が電子化されているため、ファイリングされた領収書を倉庫から探さなくても、「楽楽精算」上でデータ検索すれば済みます。これにより、電帳法に対応した、領収書や請求書の原本保存ができるようになりました。

さらにシステム導入により、伝票の手入力作業が減り、申請内容の確認もシステムで簡単にできるようになったため、経費精算に関わる時間が3時間から30分まで短縮することができたそうです。

>>ファーストキッチン株式会社様の電子帳簿保存法導入による経費精算業務の改善事例の詳細はこちら

まとめ

テレワークや在宅勤務など働き方が変わる中で、経費精算の電子化を検討する企業は急速に増えています。電帳法の対応は企業にとって重要課題となってくることが予想されます。しかし、この対応で余計に経費精算の申請フローが複雑になってしまっては意味がありません。制度の要件の確認についても、担当者のみで判断をするのは難しいことが多いです。まずはどのように対応すれば、現場のストレスが少なく、電帳法の対応が可能になるか、専門家に相談してみることが一番の近道です。

>>電子帳簿保存法でお悩みの方、電子帳簿保存法対応No.1の「楽楽精算」でペーパーレス化を実現しませんか?

※デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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※:デロイト トーマツ ミック経済研究所「クラウド型経費精算システム市場の実態と展望」(ミックITリポート2023年9月号:https://mic-r.co.jp/micit/2023/)より

監修 税理士 川口 拓哉

著者

税理士(近畿税理士会)。2017年の税理士試験で官報合格。個人の税金から法人の税金までの幅広い税目について知識と実務経験を有する。川口拓哉税理士事務所所属。

川口拓哉税理士事務所