注目されているBATICとは?取得のメリットや難易度を解説

BATICとは?

BATICとは、東京商工会議所が主催する国際会計検定のことです。名称は「Bookkeeping and Accounting Test for International Communication」に由来します。このBATICは、IFRS(国際会計基準)による会計スキルとビジネスシーンに必要な英語力の2つを同時に測る検定試験で、試験内容は英語です。合否の判定はなく、TOEICなどと同様にスコア制の点数制度を採用しています。

現在、日本では国際会計基準の適用が推進されています。このことから、BATICは国際会計基準を適用する準備として、企業や会計職から注目を集めている検定試験です。

参考:東京商工会議所 検定センター BATIC推薦の声

なぜBATICが日本人にも注目されているのか

日本の会計基準が国際的基準に統合化している

政府は国際競争力の強化などを目的として、2010年にIFRS(国際会計基準)の任意適用の推進を開始し、現在も適用拡大のための施策を進めています。
参考:金融庁 日本におけるIFRS任意適用

各施策により、IFRS(国際会計基準)を適用する企業の数は急上昇しています。2017年に金融庁が発表した「国際会計基準をめぐる最近の状況」によると、2017年2月における国際会計基準を適用する上場企業は131社です。7年前の2010年ではわずかに3社であったことから、この7年間で40倍を超える広がりを見せていることが分かるでしょう。

さらに驚きなのは、国際会計基準を適用する上場企業の時価総額の合計が約133.93兆円であること。これは、日本の上場企業の時価総額の22.59%を占めています(2017年1月末時点)。つまり、高い企業価値を誇る日本の優良企業の多くが、国際会計基準を適用し始めているということなのです。

参考:金融庁 国際会計基準をめぐる最近の状況

インターネットの普及

国際会計基準の適用を日本が推進する背景には、ビジネスのグローバル化があります。特にインターネットの普及により、業種や事業規模の大小を問わず、国際市場と関わりを持たざるを得ない時代が到来することが予想されます。このような状況から、日本と海外双方の会計ルールに精通する人材が注目を集めているのです。

BATICを受験するメリット

海外進出に対応できる

海外で事業を展開する際、海外での競争力の強化や資金調達を行う必要性などから、国際会計基準で決算を行うことは不可避といえます。こうした企業ではグローバルな会計職のニーズが急速に高まっており、BATICを社内の教育体制に採用する企業もあるほどです。BATICをいち早く受験することで、こうした企業のニーズに応えることができます。

外資系企業への転職にも

グローバルな会計スキルを身につければ、転職の幅も広がります。海外に事業所を持つ企業、外資系企業のほか、海外からの資金調達や国際的なM&Aを行う企業など、国際会計スキルをもつ人材へのニーズはたくさんあるでしょう。こうした企業への転職希望がある人や、経理・会計職として自分の可能性を今以上に広げたい場合にも、BATICはおすすめです。

信頼が上がる

BATICで自分のスキルアップを図ることにより、成長意欲があるビジネスパーソンであることを周囲に示すことができます。さらに、BATICではビジネスに必要な英語力があることも証明できて一石二鳥です。仕事への向上心を示すことで、周囲からの信頼感をアップさせることができるでしょう。

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BATICはどんな試験?

BATICは、TOEICなどと同様でスコア制の試験です。出題は全て英語で、試験内容はSubject 1とSubject 2に分かれています。

Subject 1とSubject 2の違い

BATICは「Subject 1 英文簿記」と「Subject 2 国際会計理論」に分かれています。Subject 1はBATICの基礎科目であるため、全員が受験しなければならない必須科目です。Subject 2はより専門性が高い科目となるため、受験者の任意でチャレンジできます。

主な試験内容は、下記の通りです。

参考:東京商工会議所 検定センター 検定詳細情報

 満点内容主な試験内容
Subject 1400点マークシート方式
記述式
・会計と簿記の基本概念
・取引と仕訳
・仕訳帳と元帳
・試算表
・決算修正仕訳
・棚卸資産と売上原価の会計処理
・精算表と締切仕訳
・財務諸表
・基本的な前提とGAAP
・財務諸表分析
・内部統制
・現金管理
Subject 2600点マークシート方式
記述式
・IFRSとその概念フレームワーク
・財務諸表
・公正価値測定
・現金と売上債権
・棚卸資産
・有形固定資産
・無形資産
・有形固定資産および無形資産の減損
・リース
・金融資産
・金融負債
・引当金、偶発負債及び偶発資産
・資本
・収益認識
・従業員給付
・法人所得税
・キャッシュ・フロー計算書
・企業結合と連結
・為替レート変動の影響
・会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬
・1株当たり利益
・期中財務報告
・事業セグメント

試験時間

Subject 1:1時間30分
Subject 2:2時間30分

受験料

Subject 1:5,400円(税込)
Subject 2:7,990円(税込)
両方:10,150円(税込)

試験日程

7月、12月

認定期間と更新制度

スコア制の試験であるBATICはスコアに応じて4つの称号が与えられ、スコア上位から以下のようになっています。

  1. コントローラーレベル
  2. アカウンティングマネジャーレベル
  3. アカウンタントレベル
  4. ブックキーパーレベル

特に専門性が高いコントローラーレベルとアカウンディングマネジャーレベルは、認定期間が3年で、期間満了ごとに課題提出等による更新が必要です。

参考:東京商工会議所 検定センター スコアと称号

BATICの難易度について

東京商工会議所では、BATICの難易度を「日商簿記」のレベルで参考までに示しています。目標を決める際の参考にしましょう。

スコア称号参照レベル
880~1000コントローラーレベル日商簿記1級
700~879アカウンティングマネジャーレベル日商簿記2級
320~699アカウンタントレベル日商簿記3級
200~319ブックキーパーレベル日商簿記3級

ちなみに各称号の認定者数について、「JQOS.jp日本資格取得支援」によると、2017年までの過去3年における受験者数の推移はこのような結果になっています。

称号2015年2016年2017年
コントローラーレベル434787
アカウンティングマネジャーレベル318354314
アカウンタントレベル1,3151,2661,055
ブックキーパーレベル906694684
なし336366353
受験者数合計291827272493

出典:JQOS.jp日本資格取得支援

さらに「JQOS.jp日本資格取得支援」によると、2013年の受験者数は4,056人、2014年は3,319人です。そのため、ここ数年で受験者数は減少していることが分かるでしょう。

しかし一方で、最高峰のコントローラーレベルの数は上昇しています。東京商工会議所によると、最新の2018年7月試験におけるコントローラーの認定者は51人。これに12月試験の結果が加われば、2017年より増えるかもしれません。

受験者数は減少傾向にあるのに、一方で高度な称号の認定者数が増えている。このことから一般的に推測できるのは、受験者には繰り返しチャレンジしている人が一定数いるということです。もしそうであれば、そこには国際会計スキルへの強いニーズがあるということなのでしょう。

IFRS検定、USCPAとの違い

IFRS検定

IFRS検定は、その名のとおり国際会計基準の検定で、ロンドンに本拠地を置くICAEWという団体が主催しています。BATICとの最大の違いは、合否判定があるところと日本語受験ができる点になります。そのため、英語は苦手だけど国際会計基準は勉強したいという人におすすめです。

USCPA

USCPAは、米国公認会計士の資格試験です。合格すれば、海外で公認会計士として働くためのライセンス取得に繋がります。試験は英語で難関ですが、国際会計基準を学ぶにはピッタリで、日本の公認会計士試験ほど狭き門でない点はおすすめです。しかし受験料が高く独学も困難であるため、国内企業の経理職としてスキルアップする目的であれば、BATICの方が向いています。

BATICはどんな勉強が効果的?

BATICの勉強は、簿記2級程度の会計知識があれば有利に進められると言われています。東京商工会議所による2017年の受験者が持つ資格や検定では、簿記検定のうち簿記2級が49.5%(複数回答可)で会計関連資格の中でトップです。
もし簿記の知識がない場合、一般的には独学ではなくスクールの利用を検討した方がよいと言われています。スクールは専門学校のほか、商工会議所が実施する講座もあります。

気になる英語ですが、英検は2級又は準2級が最多の23.8%で、TOEICでは730点以上が最多の33.6%でした。試験での英語レベルはそれほど高度なくてもよく、会計に出てくる英単語を繰り返し暗記することが重要と言われています。

まとめ

国際会計検定BATICについて、詳しく解説してきました。キャリア形成のために、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。資格取得が、新たな道を切り拓くキッカケになるかもしれません。

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● 著者

石田 夏

石田 夏

税理士事務所、上場企業の経理職を経てフリーライターに転身。 簿記やファイナンシャルプランナー資格を活かして、 税務・会計に関する企業向けコンテンツを中心に執筆中。 ポリシーは、「知りたいをわかりやすく」。