CFOを目指す経理担当者が知っておくべき「財務」の本当の意味(後編) ―経理担当者が身に付けたい「財務」の力―

今シリーズの前編では、「経理」と「財務」の違いを確認しました。
「経理」は、過去の利益を計算するためのものなので、経理担当者の皆様はより正確でよりタイムリーな報告を心がけなければなりません。
「財務」は、将来のキャッシュを計算し、調達し、管理するためのもので、経営の意思決定に重要な役割を持っています。
今回の記事では、企業における「財務」の重要性と、経理担当者が身に付けたい具体的な「財務」の力についてお伝えします。

 

なぜ企業において「財務」が重要なのか

「経理」と「財務」の違いについては今シリーズの前編でご確認頂ければと思います。

「経理」だけでは会社はうまく行かない

利益を扱うのが「経理」と説明してきました。企業の最終的な目的はキャッシュを増やすことなので、利益を出すということは企業にとっては通過点に過ぎません。
例えば、1億円売り上げたとして売掛金1億円が計上、8,000万円の原価がかかったとして買掛金8,000万円が計上されたとします。この時、売掛金1億円がスムーズに回収されキャッシュになれば問題ありませんが、買掛金8,000万円の支払期日が先に到来する場合が「財務」の出番です。売掛金と買掛金のズレ分を短期的に工面したり、買掛金を支払うための運転資金を調達することが「財務」の役割です。

「財務」だけでも会社はうまく行かない

少し「財務」の重要性を煽るような書き方をしましたが、かといって「財務」だけでもうまくいきません。キャッシュフロー計算書が詳細でスピーディーに出る会社があったとしても利益が出ていなければ会社は衰退して行ってしまうからです。
そのため、「経理」と「財務」のどっちも機能していなければ会社はうまく行きません。

今の経理担当者に期待される役割

この記事を読んでいらっしゃる経理担当者の皆様の会社が、「経理」と「財務」が分かれている会社か、「経理」に「財務」を任されている会社か、いずれにしても経理担当者の皆様は「財務」の力を付けておいた方が良いでしょう。「経理」と「財務」は密接に関係しておりますし、どちらも機能していなければ会社はうまく行かないからです。経理担当者が財務まで意識するかしないかで、その仕事は大きく変わるはずです。

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経理担当者が身に付けたい具体的な「財務」の力とは

ここからは具体的に「財務」にはどのような仕事があり、裏返せば経理担当者はどのような「財務」の力を付けておくと良いのかお伝えします。

経理担当者が身に付けたい「財務」の力その①:キャッシュの管理

「経理」に必要なのは「その決算日時点でいくらの残高があったのか」という過去を計算する力です。それに対して「財務」には「その後どんな収入と支出があって残高はどのように推移し、そのためにはいくらの資金調達が必要なのか」という企業の将来像を見定める力が必要になります。
そのため具体的な業務としては、売掛金残高一覧に加えその回収見込み表、買掛金残高一覧に加えその支払期日表、融資ごとの返済明細など、会社の資金繰り予測を行うことが必要となります。
資金ショートを起こせば会社にとって大問題となりますから、会社の将来は「財務」がきちんと把握しておかなければなりません。
経理担当者の皆様は、会計資料を仕訳の補足資料としてだけではなく、経営者がこれからの会社の状態を見極める資料としても役立つものになるよう日頃から意識することが大切です。そうすることにより、財務的な視点を身に付けることができます。

経理担当者が身に付けたい「財務」の力その②:資金調達の手腕

会社の財務状態を見極め、投資計画と擦り合わせたときに、資金需要が発生したとします。そのとき必要となる「財務」の力が資金調達の手腕です。
企業は事業の発展をさらに加速させるために投資を行う場合、自社のキャッシュ以外の資金も検討しなければなりません。例えば、金融機関から融資を受ける、社債を発行する、株式を発行して資本を強化するなどです。その際、「財務」としては資金が必要であることを説明して資金提供元から資金を引っ張るための資料などが必要になります。
経理担当者の皆さんは、普段から提供者への営業活動を重ね信頼関係を構築しておくことや、透明性のある会計にしておくことで、資金調達を有利に運ばせることができます。

経理担当者が身に付けたい「財務」の力その③:戦略の立案実行力

実際に資金を調達したあとは、その資金を会社の発展と継続に役立てるために経営者側に対して適切な財務戦略を立案しなければなりません。また提案したことを、実際に実現していく実行力も必要です。
「経理」に強い経理担当者だからできる腕の見せ所は、財務戦略の方向性の確認を行うときに事業部門ごと、商品別、販売チャネルごとなどより正確な経営判断をするための経理資料を作成できることではないでしょうか。
日ごろ「経理」しか行わない経理担当者の方も、今作っている資料を「財務」がどのように活用するのか、経営にどのように役立つのかという視点をもって作成することで、作成される成果物は大きく変わってくるのではないでしょうか。

 

最後に

今回の記事でお伝えした「財務」の力を身に付けた場合には、会社に必要不可欠な業界に二人といない経理担当者になれると思います。「財務」の力を全部は身に付けられなくても、日ごろの経理業務が会社全体のどんな役割を果たしているのかというのを知ることで、より会社に役立つ経理を行えるようになると思います。

 

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経費精算システム「楽楽精算」
● 著者
服部 峻介(セブンリッチ会計事務所)

服部 峻介(セブンリッチ会計事務所)

北海道大学経済学部卒。有限責任監査法人トーマツ入社後、上場企業の監査、内部統制、IPO支援、株価算定、M&A、不正調査等を実施。経営コンサルティング会社役員を経て、Seven Rich会計事務所を開業。スタートアップ企業を中心に、3年で160社以上の新規クライアントに対して会社の設立から会計税務、総務、ファイナンス、IPOコンサルなど幅広い支援を行っている。

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