FASB(米国財務会計基準審議会)の会計基準とは?概要とIFRSとの違い

FASBはアメリカの企業における会計基準を取りまとめている団体です。このFASBの会計基準のほかにも、IASB(国際会計基準審議会)のIFRS(国際財務報告基準)などもあります。
これらが取りまとめる会計基準と日本の企業会計はどこが違うのかを明確に理解できている人は決して多くはないでしょう。今回は、それぞれの組織についてと、会計基準の違いなどについて詳しく見ていきましょう。

 

FASBの組織とその役割

FASBとは、Financial Accounting Standards Boardの略であり、日本語では「米国財務会計基準審議会」と訳される、公益の民間非営利団体です。

この団体は、アメリカでの企業会計基準の取りまとめをしており、職業会計士団体から独立をした民間組織として1973年に設立されました。財務会計基準の制定、財務報告の改善などをしています。

FASBの財務諸表基準書は、米国会計士協会、米国証券取引委員会に承認されており、米国会計基準の中で代表的な位置付けとされています。

また、FASBは国際的な会計基準であるIFRS(国際財務報告基準)を規定するIASB(国際会計基準審議会)と会計基準の統合に向けて覚書を締結しましたが、IFRSを適用したときの財務報告に対する影響が大きいと考えられ、今のところ流動的となっています。

参考:KPMG「国際財務報告基準(IFRS、国際会計基準)」

 

IFRSの概要とその役割

IFRSとは、International Financial Reporting Standardsの略であり、「国際財務報告基準」という国際的な会計基準です。

IFRSは世界共通の会計基準に位置付けられており、現在110以上の国と地域で採用され、FASBの会計基準との統合を図っていますが、まだ完全ではありません。

また、日本の会計基準とは異なる部分も多いため、正しい理解をすることが求められます。IFRSは、日本や米国ではまだ本格的な採用には至っていないようですが、国内ではIFRSとの差異を少なくするための改訂などが進められている状況です。

参考:KPMG「IFRSと日本基準の主要な相違点(2018年版)」

 

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FASBの会計基準の特徴

FASBには、日本の会計のような「経常利益」がありません。

日本の営業外費用や特別損失に該当する中で、事業系は営業費用として計上されます。そのため、FASBの営業利益は、基本的に日本の営業利益より少なくなるでしょう。

FASBで日本の「経常利益」に当たるものは、税引前利益が近いと考えられます。

会計の在り方として、FASBは、財務会計と税務会計をそれぞれ別々のものと捉えています。そのため、減価償却の処理法では「定額法」を採用する企業が多くなっています。

また、収益計上の基準としては、原則「納品基準」となり、出荷基準との選択性ではありません。納品基準となることで、計上のタイミングは遅くなり、事業年度をまたぐこともあります。

 

FASBとIFRS 両者の違いは何か

FASBとIFRSには、どのような違いがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

FASBでは、「規則主義」がとられており、規則ありきの会計基準です。しかし、IFRSでは、「原則主義」がとられ、IFRSはあくまで基準であり企業の判断にまかされる部分が多くなっています。

また、財務諸表の中で重視するポイントにも違いがあります。IFRSは、貸借対照表(B/S)を重視する傾向があります。2時点間のバランスシートの変更内容を包括利益として認識する考え方があります。

 

日本国内のFASB採用状況

日本の大手上場会社の多くは、FASB、IFRS、日本基準の3つの中から選択していますので、それぞれの企業が採用している会計基準は異なります。

会計基準にはそれぞれ違いがありますので、基準を変えると、同じ企業でも売上額や利益額が変わります。

アメリカで上場をしている企業は、FASBを採用しているケースが多いようですが、日本の多くの企業はIFRSを採用する傾向があるようです。将来的には、FASBを採用するのは、アメリカに上場している企業のみになるのではないかとの見方もあります。

これに対して日本の場合は、IFRSに移行している傾向があるのは明らかであり、金融庁でも移行を積極的に進めているようです。また、日本の会計基準が、IFRSに近づけるように改正されている流れがあります。

日本の企業がIFRSに移行した場合でも、会計基準などを監督するのは、日本基準と変わらず、金融庁や証券取引等監視委員会となります。しかし、日本ではまだまだFASBやIFRSの専門家が不足していますので、実際には監督することは困難な状況といえるでしょう。

 

まとめ

今回は、FASB(米国財務会計基準)とIFRS(国際財務報告基準)の組織についてご紹介するとともに、FASBの会計基準のポイント、両者の違い、日本での会計基準の採用状況などについてもお伝えしました。

グローバルな時代の中、会計基準は各企業が自由に選択していますが、金融庁は、IFRSへの移行に積極的なようです。この流れの影響を受けるのは、日本の株式市場に上場している大手企業が最初になるでしょう。

上場している、または上場の予定がある企業で、今現在は日本基準だったとしても近い将来にFASBやIFRSに会計基準が変わる可能性が低くはありません。今のうちから、国際的な会計基準を少しずつでも理解していくことをおすすめします。

 

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経費精算システム「楽楽精算」

● 著者

渡部 彩子

渡部 彩子

自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門を経験。この経験を活かし、経理・総務・人事をテ ーマとしたコンテンツ制作を幅広く執筆。