電話加入権は会計上も税務上も経費にできないクセモノ?

みなさんは「電話加入権」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
最近は携帯電話や固定電話であっても電話加入権が不要のものがあったりしますので、意外と知らない方も多いのではないでしょうか。

電話加入権とは、NTTの電話回線を引くための負担金のことです。

かつて、まだ電柱などのインフラ整備が十分でなかったころ、この負担金を支払った人に対し電話回線を引く権利を与えていました。電話回線を1本引くたびに7万円ほどかかっていたため、当時の物価からすると高価なものだったのです。高価な権利を購入したわけですから、会計上にも影響を与えます。

今回はこの電話加入権の会計上、税務上の取り扱いについて説明したいと思います。

 

電話加入権の会計上の取扱い

電話加入権はその名の通り権利ですから、会計上は無形固定資産に計上されます。しかし電話加入権は、特許権や営業権など他の無形固定資産とは異なり「非減価償却資産」に該当し、減価償却して費用化することはできません。

そうなると、これを費用化するには減損を検討することになりますが、これも一筋縄ではいきません。というのも、減損会計では、減損の対象となる資産を将来キャッシュ・フローを生み出す最小の単位にグルーピングした上で、減損しているかどうかの判定を行うためです。

普通に考えると、電話加入権が単独でキャッシュ・フローを生むことはないでしょうから、電話加入権は他の資産と一緒にグルーピングされ、減損判定を行うことになります。そのため、グルーピング次第では減損処理できない可能性も十分にあります。

 

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電話加入権の税務上の取扱い

また、仮に会計上減損処理できたとしても、税務上も損金算入できるとは限りません。
税務上は基本的には評価損の損金算入は認められていないためです。税法上で固定資産の評価損が計上できるのは、以下の5つの事実が生じたことで価値が下がった場合に限られています。

 イ 災害により著しく損傷した
 ロ 一年以上にわたり遊休状態にある
 ハ 本来の用途に使用することができないため他の用途に使用された
 ニ 所在する場所の状況が著しく変化した
 ホ イからニまでに準ずる特別の事実

「イ」については、電話加入権は無形ですので損傷することはありませんし、「ハ」や「ニ」は電話加入権の性質上ありえません。
「ロ」は電話を使っていなければ該当するように思えますが、そうではありません。評価損を計上できるのは「ロ」が生じたために価値が下がった場合です。

確かに電話加入権は中古取引市場などで安く取引されていますが、それは経済的理由によるもので、ある企業において遊休状態になったからではありません。したがって評価損を計上することはできません。

「ホ」については、やむを得ない事情で取得の時から1年以上事業の用に供されない場合など特異な状況を指しますので、これにも該当しないでしょう。

 

電話加入権の含み損を税務上も損金算入するには?

では、どうすれば電話加入権の含み損を税務上の損金に参入できるでしょうか?
税務上、評価損の計上が厳しく制限されている以上、含み損を実現させなければ損金算入できません。つまり、電話加入権を解約、または売却することで、損失を実現させるのですが、これは使っていない電話加入権に限られる方法ですし、NTT等への手続も必要になり、現実的な方法とは言えないでしょう。

 

まとめ

このように電話加入権は会計上の費用として処理するにしても、税務上の損金として処理するにしても、非常に面倒なことがお分かりいただけると思います。
そのため、多くの企業では電話加入権が購入時の価格で計上されたままになっているのです。
もし、貴社に閉鎖したコールセンターなどがあり、使用していない電話加入権が多額に計上されているようなら、解約などの方法を考慮しても良いかもしれません。

 

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● 著者

大野 修平

大野 修平

公認会計士・税理士 前職の有限責任監査法人トーマツでは銀行、証券会社、保険会社など金融機関向けの監査、デューデリジェンス、コンサルティング業務などに従事。 トーマツ退所後はOneWorld税理士法人にて「ビズバ!」というオウンドメディアの企画、編集を担う。また、会計や税金を身近に感じてもらえる様々なイベントを運営している。 無類の読書好きで、蔵書が3,000冊を超えないようコントロールすることに頭を悩ませる日々。

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