地方拠点強化税制とは?拡充型と移転型の違いとメリット

地方にある本社機能(※)を強化したり、大都市圏から地方へ本社機能を移転した場合に、大きな税制優遇を受けられる税制があることをご存知でしょうか?それを「地方拠点強化税制」と言います。

地方創生の一環として、平成27年度税制改正で創設された新しい税制で、「雇用促進税制」とも関わりの深い制度となっています。税制優遇も大きいため是非ご活用頂きたいと思います。
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※本社機能とは、総務や経理、人事などの管理業務を行う管理業務部門、調査・企画部門、研究開発部門、情報処理部門などを有する事務所や研究所、研修所を指します。

 

地方拠点強化税制の概要

地方拠点強化税制は、大きく拡充型と移転型とに分けることができ、それぞれに、オフィス減税と雇用促進税制の優遇があります。

 

拡充型と移転型の違い

拡充型は、地方に本社を置く企業がその本社を増築したり、東京23区以外に本社を置く企業が地方都市に移転する場合など、地方において本社機能を拡充する事業者が適用できます。
一方、移転型は、東京に本社を置く企業が地方都市に新社屋を建設し本社を移転する場合など、東京23区から地方に本社機能を移転する場合に適用できます。
それぞれにオフィス減税と雇用促進税制の優遇があるのですが、内容が微妙に異なりますので、以下で順に説明いたします。

 

拡充型の優遇措置

まずは、拡充型の優遇措置です。
オフィス減税については増築や移転をした建物等の取得価額に対し、15%の特別償却か2%の税額控除かを選択できます。
適用対象となる建物等は、事務所・研究所・研修所の建物、建物付属設備、構築物で、取得価額が1,000万円以上※のものです。
※中小企業者以外の事業者は2,000万円以上

ただし、平成30年3月31日までに移転・拡充先となる都道府県知事の認定が必要とされていますので、地方拠点強化税制の利用をお考えの事業者は急がなくてはなりません。
また、税額控除を選択した場合、法人税額等の20%が控除限度額となります。

雇用促進税制の優遇については、雇用促進税制の諸要件を満たしている場合に適用でき、法人全体の雇用者増加率が10%以上の場合は、本社における増加雇用者数1人あたり50万円の税額控除を受けることができます。
通常の雇用促進税制での税額控除は40万円ですので、1人あたり10万円が上乗せされるということです。

さらに、雇用者増加率が10%未満であっても1人あたり20万円の税額控除が受けられるという特典もあります。ただし、雇用促進税制とオフィス減税をあわせて法人税額等の30%が控除限度額となっており、増加雇用者数は法人全体の増加雇用者数が上限となります。

 

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移転型の優遇措置

次は移転型の優遇措置について説明します。
オフィス減税は、建物等の取得価額に対し25%の特別償却か4%の税額控除を選択できます。その他の条件は拡充型と同じですが、拡充型より節税額が大きくなっています。

さらに、雇用促進税制についても拡充型より有利になっています。
移転型では拡充型の控除額(50万円または20万円)に、東京23区からの移転者を含む本社の増加雇用者1人あたり30万円が上乗せされます。

少々複雑ですので、簡単に数値を使ってどれくらいの節税効果になるのか計算してみたいと思います。

例えば東京23区からのオフィス移転に1億円を投資し、税額控除4%を選択すれば400万円(=1億円×4%)。
さらに20人が転勤し、移転先で10人を新規雇用して雇用促進税制の要件を満たした場合、500万円(=50万円×10人)と900万円(=30万円×30人)で1,400万円ですので、合わせて1,800万円の法人税額負担の減少ということになります。
しかも上乗せされた30万円は最大3年間継続して控除することができます。かなり大きな節税効果があることがお分かりになると思います。

なお、雇用促進税制とオフィス減税をあわせて法人税額等の30%が控除限度額となるのは拡充型と同じです。

 

地方拠点強化税制の適用手順

地方強化税制を利用するには、工事が着工する前に移転先(または拡充先)の都道府県知事に申請を行わなければなりません。
また、雇用促進税制も雇用促進計画の提出が必要ですので、それぞれ以下の窓口に問い合わせ、適切にスケジューリングして進める必要があります。

【地方拠点強化税制に関するお問い合わせ先】
  経済産業省 地域経済産業グループ 立地環境整備課  Tel 03-3501-0645

【雇用促進税制に関するお問い合わせ先】
  厚生労働省 職業安定局 雇用政策課  Tel 03-3502-6770

 

まとめ

いかがだったでしょうか?
最後に優遇措置等について表にまとめておきますので、本社機能の地方移転をお考えの方は是非参考にしてください。

 拡充型移転型
オフィス取得減税特別償却15%
または
税額控除2%
特別償却25%
または
税額控除4%
雇用促進税制増加雇用者1人あたり
50万円または20万円
増加雇用者1人あたり80万円または50万円
さらに上記の内30万円は最大3年間継続

 

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● 著者

大野 修平

大野 修平

公認会計士・税理士 前職の有限責任監査法人トーマツでは銀行、証券会社、保険会社など金融機関向けの監査、デューデリジェンス、コンサルティング業務などに従事。 トーマツ退所後はOneWorld税理士法人にて「ビズバ!」というオウンドメディアの企画、編集を担う。また、会計や税金を身近に感じてもらえる様々なイベントを運営している。 無類の読書好きで、蔵書が3,000冊を超えないようコントロールすることに頭を悩ませる日々。

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