どんなものが修繕費の勘定科目になる?修繕費の会計処理は?

修繕費とは?

事業を行っていると、事業で使っている建物、機械装置、器具備品、車両運搬具などの修繕のために要した支出は、勘定科目のうち修繕費となり、必要経費にすることができます。
この修繕費について、税法では次のように定義されています。

「固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産について原状を回復するために要したと認められる部分の金額」(法人税法基本通達7-8-2)

一般的な修繕費というのは幅広いですが、上記の通り、税務上は、通常の維持管理のためにかかったものであるか、故障や損壊した場合に元通りにするための費用に限定されています。

 

修繕費と資本的支出の違い

修繕費とよく似た支出に資本的支出があります。資本的支出とは、固定資産の価値を高めるような支出のことをいいます。
これも法人税法基本通達で定義されています。

「法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額」(法人税法基本通達7-8-1)

修繕費は、支出したときに必要経費にすることができます。これに対して、資本的支出は固定資産の価値を高める支出等であるためその全額を支出したときの必要経費とすることはできません。固定資産を取得したときと同様に、資産に計上し、減価償却をすることとなります。このように税務上の処理が異なるため、ある支出が修繕費となるか、資本的支出となるかは、明確に判別しないといけません。
なお、法人税法施行令132条において、資本的支出となる金額は、①資産の使用可能期間を延長させる部分の金額と②資産の価額を増加させる部分の金額のいずれかの多い方の金額となり、その固定資産の取得価額を構成するものとされています。
この修繕費か資本的支出かというのは、税務調査でもよく論点となるものです。資本的支出とすべきものが修繕費として処理されていれば、修正申告などを求められることとなりますので、取扱いには注意しましょう。

 

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修繕費になるもの、ならないもの

ある支出が修繕費か資本的支出かは金額の大小ではなく、その支出の内容によって判断します。例えば、建物の修繕工事を行うと多額の支出となることがありますが、多額の支出をしたからといって、それが資本的支出になるという訳ではなく、修繕費の定義に該当するものであれば修繕費として処理することができます。

「法人税法基本通達7-8-1」では、建物に避難階段を取り付けるなど物理的に付加したものや用途変更のために改造や改装をしたもの、機械の部品を品質・性能の高いものに取り替えたものなどは資本的支出になるものと例示されています。
これに該当すればよいのですが、実際には、ある支出が資本的支出なのか、修繕費なのか、という点については判断が難しい面もあります。そのため、「法人税法基本通達7-8-1~7-8-6」で、形式的な判定基準等も設けられています。例えば、「法人税法基本通達7-8-3」では「少額又は周期の短い費用については、修繕費として損金経理することができる」と定められています。また「法人税法基本通達7-8-4」では「60万円未満または固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下の修理費や改良費について、修繕費として損金経理することができる」と定められています。

さらに、資本的支出と修繕費の区分の特例として、上記の形式基準にも当てはまらず、資本的支出か修繕費かが明らかでない場合は、支出額の30%と固定資産の前期末の取得価額の10%相当額とを比較していずれか少ない金額を修繕費とし、残りを資本的支出とするよう経理処理も容認されています。この場合は、継続適用することが要件です。

 

修繕費の会計処理

修繕費となるものを支出したときは次のような仕訳を計上します。

 借方金額貸方金額
(修繕費)xxx(現金預金)xxx

資本的支出となるものを支出したときは、その支出を資産に計上し、減価償却を行います。そのときは、原則として、その資本的支出を行う対象となった資産と同じ種類、同じ耐用年数の資産を新たに取得したものとして減価償却を行います。
つまり、耐用年数10年の機械装置について資本的支出を行った場合、その資本的支出は新たに耐用年数10年の機械装置を取得したものとして減価償却を行うこととなります。
例えば、建物の改修工事を行った場合は、修繕費に該当する部分と資本的支出に該当する部分の2つの要素が混在している可能性があります。この場合、内容に応じて処理する必要があるため、工事の見積書や内訳書などを入手し、工事の内容に応じた会計処理を行うことが求められます。

 

まとめ

ある支出が修繕費なのか資本的支出なのかで損益や税金が変わります。そのため、経理担当者としては、税法の取扱い、勘定科目、会計処理についてはしっかりと理解しておく必要があるでしょう。また、この論点は税務調査で問題となることも多いものです。後に税務調査で指摘され、追徴課税されることとないように制度を理解した上で、正確な処理をしておくことが求められます。

 

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経費精算システム「楽楽精算」

● 著者

松本 佳之

松本 佳之

税理士・公認会計士・行政書士 1980年兵庫県に生まれる。2001年公認会計士二次試験合格。2002年関西学院大学商学部卒業、朝日監査法人(現あずさ監査法人)入所。2005年公認会計士三次試験合格、公認会計士登録。2007年税理士登録後独立し、北浜総合会計事務所を開設。監査法人勤務時代は企業公開部門に所属し、さまざまな実績を重ねる。