実地棚卸の方法 -実地棚卸の後の処理まで-

実地棚卸はなぜ必要か?

実地棚卸とは、期末など一定時点にある在庫について、実際に数量などをカウントし、在庫の在り高を確かめる手続きのことをいいます。

例えば、倉庫などで商品や製品の受け入れ・払い出しを行っていて、その都度、在庫台帳を更新していたとしても、紛失や破損、盗難などによって、帳簿上の在り高と実際の物の在り高との間に差が生じてしまうことはよくあります。定期的に実地棚卸を行うことにより、その差の有無を確認し、帳簿上の在り高を実際の在り高に修正しておく必要があります。
また、実地棚卸の過程で、物の毀損・破損など不良在庫の有無についても確認することができます。

商品・製品を抱えている会社において、実地棚卸は最低でも年1回は行うべきです。中には毎月実地棚卸をしたり、四半期ごと、半期ごとに行ったりする会社もあります。年に複数回行うときは、毎回すべての在庫を棚卸するのではなく、例えばエリアごとに区分するなどしてローテーションで行うようなときもあります。ローテーションで棚卸をすれば、1回当たりの実地棚卸に要する時間は少なくて済むこととなり、負担が軽くなります。

 

実地棚卸の方法

通常は2名1組で行います。また、全体の管理者も配置しておかなければなりません。
なぜ、2名1組で行うかというと、カウントミスの防止や、普段在庫を管理している者が1名で棚卸をすると不正を隠すことができてしまうからです。つまり、その者が不正をして在庫を横領していたとしても、自分が棚卸をしてカウントをごまかしさえすれば、発覚しません。その後、担当が交代し発覚したとしても、いつ在庫がなくなっていたのかわからなくなります。棚卸は不正チェックの意味合いもあるのです。

多くの棚卸では、タグ方式といい、あらかじめ在庫が保管されている棚などに連番管理されているタグを貼り付けておき、そこにカウントする者が実際にカウントした数を記入していきます。すべてのカウントが終わった後に、タグを回収していきます。タグが未記入であれば、まだ棚卸がされていないということですし、タグは連番管理しているので、もし番号に抜けがあればタグの回収漏れということとなります。このようにして、在庫が網羅的にカウントされるようにします。
ただし、会社によって取り扱っている商品や製品が違いますので、その会社にあったやり方で実地棚卸をすれば大丈夫です。例えば、部品のような細かいものをたくさん取り扱っている会社でタグ方式を導入するとかなり煩雑となり、膨大な時間がかかる可能性もあります。

段ボールに収まっている商品などであれば、実際にすべて段ボールを開封するのではなく、一部をサンプルとして開封し、中の個数をカウントすればよいでしょう。

 

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実地棚卸後の処理

実地棚卸が終わった後は、商品・製品ごとに帳簿上の在り高と実際の在り高を照合し、差が生じているかどうか確認します。ここで差が生じていたとしても、実地棚卸の際に数量のカウントを間違えている可能性もあるので、差が出ている商品・製品について、再度現物の数量をカウントします。それでも差が出ているという場合は、帳簿の記録ミスがないかどうかを確認します。出荷しているのに記録されていなかった、ということが判明すれば、出荷記録を修正することとなります。それらを行った上で、どうしても、差がわからないようなときは、帳簿上の在り高を実際の在り高に強制的に置き換えます。

なお、多数の品種を抱えている場合でも、実際に差が出てくるのは、通常、全体の中のほんの一部です。多くの品種で差が生じるようであれば、在庫の管理体制に問題がある可能性が高いでしょう。在庫の管理体制を見直し、改善されるまでは、実地棚卸の頻度を増やすなどして、対応する必要があります。

 

在庫単価の評価方法

実地棚卸後は、帳簿の在庫数を修正するとともに、その在庫を最終的にいくらで計上するかということを決定する必要があります。
在庫の評価方法には、原価法と呼ばれる方法と低価法と呼ばれる方法があります。

原価法とは、在庫を取得原価のままで評価する方法です。一方、低価法とは、在庫を取得原価または期末の時価のどちらか低い方の金額で評価する方法です。取得原価を期末の時価が下回っているようなときに評価損を認識するというもので、低価法の方がより健全で保守的な会計処理であるといえます。なお、期末の時価が取得原価を上回っていたとしても、それは含み益であるので、上回る価額で計上することはできません。
上場企業では原則として、低価法(原価法における簿価切り下げ)を適用することとなります。非上場企業ではどちらでも適用することができますが、税務上低価法を採用する場合は、届出をしておく必要があります。

 

まとめ

実地棚卸は、決算における在庫を確定するのが主目的ではありますが、不正の防止や日頃の在庫管理方法を見直す機会となるなどの目的もあります。少なくとも年に1回は実地棚卸を行うのがよいでしょう。実地棚卸の方法は、会社の規模や業種によって様々な方法が考えられますので、自社にあった方法を採用すれば問題ありません。ただし、正確に行われる方法でなければなりません。

 

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● 著者

松本 佳之

松本 佳之

税理士・公認会計士・行政書士 1980年兵庫県に生まれる。2001年公認会計士二次試験合格。2002年関西学院大学商学部卒業、朝日監査法人(現あずさ監査法人)入所。2005年公認会計士三次試験合格、公認会計士登録。2007年税理士登録後独立し、北浜総合会計事務所を開設。監査法人勤務時代は企業公開部門に所属し、さまざまな実績を重ねる。