今さら聞けない!経理担当者のための実地棚卸の基礎知識5選

今さら聞けない!経理担当者のための実地棚卸の基礎知識5選

多くの会社では、年に1度以上は在庫の実地棚卸を行います。

実地棚卸の精度が低ければ、決算数値が決算見込み額と大幅にかけ離れるといった、予想外の結果になる恐れがありますし、原材料が足りずに生産ができなくなることや、販売の機会を失ってしまうこともあります。

逆に、必要以上に在庫が積みあがり、本来は不要な借り入れが必要となって利息の支払いが生じたり、不要な税金を支払ってしまったりするなど、キャッシュフローに悪影響を及ぼすこともあります。

このように実地棚卸の精度が低ければ、様々な問題が生じてしまいます。

在庫の実地棚卸は会社の損益に直結する重要な作業であるため、経理としても在庫の実地棚卸の立ち会いやコントロールを行うことが一般的です。

しかし、在庫の実地棚卸については会社毎で異なることもあり、学習する機会は意外と多くないのが現状かと思います。あるいは毎年、前年の方法を踏襲することで済ませているケースが散見されますが、在庫の実地棚卸の精度が十分には担保されていないケースも多くあります。

このような課題を踏まえて、今回は経理担当者として必要な在庫の棚卸の基礎知識を5つ説明します。

基礎知識1. 実地棚卸の目的と手順

実地棚卸の最大の目的は、実際の在庫数量を集計することに加え、帳簿上の在庫と実際の在庫の差異を発見し、原因を追究することです。

実地棚卸を行わず、差異を放置していれば、不正確な情報で生産・販売計画が作られ、無駄な在庫を生んだり、欠品を招いたりしかねないためです。

次に、実地棚卸の手順は一般的には以下の通りとなります。

1-1. 事前準備

カウントミスや時間のロスを防止するため、実地棚卸の実施方法や部署ごとの責任分担をどうするかについて、明確にした計画を事前に作成し、関係者に周知徹底する必要があります。

1-2.現物カウント

通常は棚卸現票と呼ばれる記入用紙を用い、在庫の品目・保管場所・数量その他の情報を正確に記入し、この情報を集計して実際の数量を把握します。

1-3.差異原因の把握と帳簿修正

回収された棚卸現票に記入された数量を、在庫管理システムに入力し、帳簿上の在庫数量とカウント数量との再分析を行います。

そして、特定された差異については帳簿上の在庫数量とカウント数量のいずれかを修正します。

以上がおおまかな実地棚卸の手順です。

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基礎知識2. 実地棚卸と帳簿棚卸とは

実地棚卸とは別に、帳簿棚卸と言う言葉を耳にしたことはありますか?

実地棚卸とは棚卸日にカウントした現物であり、帳簿棚卸は「会計上、継続的に在庫の入出庫を記録して算出された理論値」です。

実地棚卸と帳簿棚卸は一致することもありますが、その多くは期ズレ、記録ミス、カウントミスなど、様々な原因で差異が生じるものです。

ポイントは、帳簿棚卸はあくまで理論値であり、実際の数値とは違う点です。

帳簿棚卸の数字を鵜呑みにしてしまったり、実地棚卸と勘違いしてしまったりするのは、初心者が陥りやすいミスなので気をつけましょう。

基礎知識3. 預け在庫、仕掛品、不良品の取り扱い

以下のような特殊な在庫に関しては、通常の実地棚卸では正確なカウントが行えない可能性があるため、注意が必要です。

3-1. 預け在庫

預け在庫とは、外部倉庫や販売委託先など会社の外部に預けている在庫のことです。

預け在庫の場合、一般的には預け先から、実地棚卸日の預かり証を入手することで実地棚卸の代わりとします。

なお、預け在庫の重要性が高い場合は、会社の経理担当などが実際に出向いてカウントすることも必要になります。

3-2.仕掛品

仕掛品とは製造途中にある在庫のことです。

仕掛品の場合は、数量のみではなく、仕掛品がどの工程におかれているかにより、進捗度を把握する必要もあります。

3-3.不良品

不良品とは、傷んだりして販売価値がない在庫のことです。

品質基準を満たしていない不良品は事前準備の段階で、不良品の置き場などに置き区分が必要です。カウント時に発見された場合は、現物にシールを貼るなどし、正常在庫と区分できる状態にする必要があります。

預け在庫、仕掛品、不良品を正しく理解して、取り扱いに注意しましょう。

基礎知識4. カウントミスしやすい場所はどこ?

実地棚卸において、カウントミスは最も避けたい一方で、最も起こりやすいミスでもあります。

以下のような状況では、カウントミスの可能性が高くなります。

  • 棚卸対象品と棚卸除外品が同じ場所に混在している
  • 管轄部門の異なる在庫が同じエリアにある
  • バックヤードにおいてある在庫
  • 返品され、検査・修理などを行っている在庫

整理整頓と言ってしまえばそれまでですが、徹底して管理が行き届いている現場でもない限り、なかなか難しいものがあります。

カウントミスをしないためには、カウントのルールを決め、対策を講ずる必要があります。手当たり次第にカウントするのではなく、まず話し合ってルールを設けましょう。

基礎知識5. 実地棚卸は実際と理論値の差異分析が重要

すべてを完璧にこなしても、何らかの差異はでてくるものです。

カウントミスよるものだと発覚すれば、実地棚卸における人為的なミスだと対策が講じられますが、在庫管理方法の欠陥や、何らかのシステムトラブルなど、致命的な問題が発生している可能性も0ではありません。

実地棚卸において大事なことは、差異分析を行い、なぜ差異が生じたかを明らかにすることです。

分析結果から原因を導けば、致命的な問題を避けられる可能性が高まりますし、今後の購買、販売、在庫管理などの各種業務の適正化、効率化に活かすことができます。

最後に

棚卸を行うことにより適切な決算数値になるだけではなく、各種業務の適正化、効率化にもつながるものになります。

よって、経理担当者としても適切な実地棚卸になるよう、在庫の実地棚卸の立ち会いやコントロールを行うことが求められるのです。今回ご紹介した基礎知識を元に、ご自身でもぜひ良い方法を探ってみてください。

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● 著者

椿 祐輔

椿 祐輔

椿公認会計士事務所 代表 公認会計士・税理士。 大手監査法人、会計事務所等を経て2012年椿公認会計士事務所(東京都渋谷区)開業。医療法人等などへの会計監査、富裕層に対する相続、事業承継業務などの経験を活かし、主に開業医やベンチャー企業の会計顧問などに従事。現在、開業歯科医院向けクラウド会計活用サービスハイシアを展開。主な著書に「50歳になるあなたが親と相談するとき最初に読む相続の本」(中央経済社)、「サラリーマンのために公認会計士・税理士が書いたお金の取説」(サンライズ)など。

椿公認会計士事務所