消耗品費の仕訳と決算整理時に注意すべき処理方法

消耗品費の仕訳と決算整理時に注意すべき処理方法

消耗品費の仕訳

消耗品は販売・管理のための用品のことで、たとえばコピー用紙や文房具、プリンターのインクなどを指します。これらは使用する分だけ少しずつ購入するのではなく、1箱や1ケースなどまとめて購入することが多いでしょう。そうすると、期末に未使用分が生じます。会計では適正な期間損益計算を実現するために、決算整理時に未使用分を資産科目である「貯蔵品」や「消耗品」などに振り替えるのです。

購入時点の仕訳

例:事務用ボールペン3箱(1箱1,000円)を購入した

 借方 金額貸方金額
消耗品費3,000 現金3,000

決算整理仕訳

例:期中に購入したボールペン1箱が未使用であった

 借方 金額貸方金額
貯蔵品1,000 消耗品費1,000

また、最初から資産計上し、使った分だけ経費にする会計処理でも構いません。どちらも決算書の仕訳では同じ結果になります。

購入時点の仕訳

例:事務用ボールペン3箱(1箱1,000円)を購入した

 借方 金額貸方金額
貯蔵品3,000現金3,000

決算整理仕訳

例:期中に購入したボールペン1箱が未使用であった(2箱使用した)

 借方 金額貸方金額
消耗品費2,000貯蔵品2,000

貯蔵品と消耗品の違い

消耗品費を資産に振り返るにあたって使用する勘定科目は、「貯蔵品」と「消耗品」のどちらでも構いません。貯蔵品は消耗品のほか、未使用の資産や収入印紙のような金銭価値のあるものを含むため、消耗品より広義で実務でも使用されやすい勘定科目です。あえて消耗品とその他の資産を区別するために、分けても差し支えありません。

消耗品費の決算整理は省略できるか

法人税の基本通達により、税務上、一定の要件下に該当する消耗品費は、取得した事業年度の損金に算入してよいとされています。これに該当するものは、期末に未使用分を振り替えなくとも構いません。

<法人税法・法令解釈通達2-2-15>
「消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は(中略)事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める」

(参考)国税庁HP 第2款 販売費及び一般管理費等

まず注目したいのが、「消耗品その他これに準ずる棚卸資産」です。会計上、消耗品は棚卸資産に含まれます。

「棚卸資産の評価に関する会計基準」の第3項をみると、棚卸資産の範囲として以下のように定めています。

「棚卸資産は、商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等の資産であり、企業がその営業目的を達成するために所有し、かつ、売却を予定する資産のほか、売却を予定しない資産であっても、販売活動及び一般管理活動において短期間に消費される事務用消耗品等も含まれる」

(参考)「企業会計基準第 9 号 棚卸資産の評価に関する会計基準」

棚卸資産であれば、経費にできるものは、本来商品の販売に使用した分だけになるはずです。しかしボールペン1本やプリンターのインクなどを、販売した商品と関連付けることは困難といえるでしょう。そのような会計処理は現実的ではありません。
そこで、さきほどの法令解釈通達の後半部分が重要になります。この後半部分を要約すると、毎期同じくらいの数量を消費する消耗品については継続適用を条件に、その取得した事業年度の損金に算入して良いということです。つまり、購入した全額について損金算入が認められます。

注意が必要なのは「事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る」とあえて記載している点です。このことから、たとえば「安いから」「経費を増やしたいから」という理由などで数年分を一度にまとめ買いした際は、この要件に該当しない可能性があります。このような購入を行った場合は全額を損金に算入するのではなく、冒頭でご紹介した仕訳の通り、未使用分を消耗品や貯蔵品に振り替えておきましょう。

消耗品費にできないもの

消耗品について事務用品や文房具などをあげましたが、中にはその金額や性質から、消耗品費にできないものがあります。

減価償却資産に該当するもの

減価償却資産とは、建物や構築物、機械、工具や備品など、事業を継続的に運営するための資産のことです。その判断基準は「取得価額が10万円以上、かつ使用可能な期間が1年以上のもの」で、この基準に該当するものは資産として計上し、経費にするには減価償却を行うことになります。ただし、青色申告法人の少額減価償却資産に該当するもの(30万円未満)は、300万円を上限に消耗品費などで経費にして構いません。

棚卸資産との区別も重要

製造のための物品購入費(材料費など)は、棚卸資産として仕掛品勘定などで管理します。この場合は、たとえ経常的な消費があったとしても、消耗品費にはできないことに注意が必要です。したがって、製造業や建設業など材料費の購入がある業種については、領収証の品名だけで消耗品費と決めつけるのではなく、それが何のための費用かで勘定科目を変えなければなりません。
たとえば建設会社で、販売用建物に内装する電球を購入した場合、通常は仕掛品勘定などに含めて計上することが多いでしょう。電球という品名だけを見て、消耗品費や販売促進費などで処理しないよう注意が必要です。

事務用消耗品費を分けよう

消耗品費は、文房具などの事務用品の購入頻度が高いでしょう。このことから事務用品を、たとえば少額の備品のような購入頻度の低いものと一緒に管理すると、各期の比較がしづらいという管理会計上のデメリットが生じます。
そこで、事務用品については「事務用消耗品費」という勘定科目を設定し、区別することも検討するとよいでしょう。たとえば、消耗品費のうち事務用品のみを事務用消耗品費で区別した場合、仕訳は次のようになります。

例:事務所用キャビネット30,000円とコピー用紙1,000円を購入した

 借方 金額貸方金額
消耗品費30,000現金31,000
事務用消耗品費1,000

こうすれば、事務用品の増減を各期で比較しやすくなります。たとえば売上が下がった、あるいは従業員が減った期になぜか事務用消耗品費が上がっているなど、異常にも気が付きやすくなるはずです。

まとめ

今回は消耗品費の仕訳や決算整理の方法をまとめました。消耗品費は、購入量などに気をつければ経理が楽になります。また、勘定科目や補助科目を分けることで経費の管理にも役立つなど、工夫しがいのある勘定科目です。ぜひ一度、会社の消耗品費を見直してみてください。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

経費精算システム「楽楽精算」

著 者 石田 夏

理士事務所、上場企業の経理職を経てフリーライターに転身。 簿記やファイナンシャルプランナー資格を活かして、税務・会計に関する企業向けコンテンツを中心に執筆中。 ポリシーは、「知りたいをわかりやすく」。