消費税額計算における、有価証券の譲渡取引をわかりやすく解説!

本日は有価証券の譲渡が消費税の税額計算においてどのように取り扱われるかについて、解説いたします。
その前にまずは消費税の計算方法に簡単に確認しておいたほうが理解しやすいと思いますので、そこから説明したいと思います。
有価証券の譲渡取引は、消費税額計算において少し変わった取扱いをします。これを適切に処理することで、消費税の納付額が軽減される可能性がありますので、これを機に有価証券の譲渡取引の取り扱いについて学びましょう!

 

消費税計算の基礎

消費税の負担者はその名の通り消費者ですが、納税義務は事業者にあります。
つまり事業者は、一旦、消費者から消費税を預り、納付税額を計算し期日までに納付するのです。
一方で、事業者も仕入れや経費の支払いなどで、既に支払っている消費税があります。したがって、消費税の納税額は、消費者から預っている消費税から、既に支払っている消費税を控除し計算することとなります。

 

消費税額計算のスタートは、取引を3つに分類すること!

消費税は取引を大きく3つに分類することからスタートします。
その3つとは、課税取引、非課税取引、不課税取引です。
課税取引は非課税取引と不課税取引以外の取引のことを指します。

不課税取引とは、その名の通り消費税の課税対象とならない取引のことです。消費税は基本的に、事業として対価を得て行う資産の譲渡等に課されますので、例えば、給与などの労働の対価や、寄附金などの対価性のない取引は課税対象となりません。
また、非課税取引とは、消費に負担を求めることになじまない取引や、政策的に課税することが適当でない取引のことを言います。
例えば教科書を販売しても、教育は国の基幹であるという政策的な配慮から消費税は課されません。
そして、今回のテーマである「有価証券の譲渡」についても、有価証券は消費財でないことから、有価証券の譲渡は単なる資本の移転とし、非課税取引とされています。

 

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非課税取引は良いことばかりじゃない?課税売上割合の計算方法

非課税取引が多ければ、預る消費税は少なくなるので、納税額も減って良いと思われるかもしれませんが、実は消費税額の計算はもう少し複雑です。
消費税額の計算過程においては、課税売上割合というものを算出し、基本的にはこの課税売上割合が高いほど、消費税の納税額が少なくなる仕組みになっています。

そして、課税売上割合は以下の算式で計算されます。

課税売上割合=課税売上高 / (課税売上高+非課税売上高)

つまり、非課税取引の対価である非課税売上高が多いと、算式の分母が膨らみ、課税売上割合が低下します。その結果、消費税納税額が多くなってしまうのです。

 

有価証券の譲渡は非課税取引だが、配慮あり

有価証券の譲渡は非課税取引でしたね。つまり、有価証券を売却したとしても、非課税売上となり、消費税は課税されません。
しかし、非課税売上高は課税売上割合の分母に含まれるため、多額の有価証券を売却したり、少額でも売却を繰り返したりしていると、課税売上割合がどんどん低下していってしまいます。

そこで有価証券の譲渡については、その対価の全額ではなく、対価の5%のみを課税売上割合の計算に反映させます。
こうした配慮により、課税売上割合が極端に小さくならないようにしているのです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?
消費税額計算における有価証券の譲渡対価の取扱いについてお分かりいただけたと思います。
このような課税売上割合の計算において、対価の5%のみを反映させる配慮がなされている有価証券とは、基本的には株式など、金融商品取引法第2条1項に規定する有価証券を指します(ゴルフ場利用株式等は除く)。
そのため、持分会社や協同組合等の持分は株式に似ていますが、課税売上の計算上は全額を分母に含めなければなりませんので注意が必要です。
また、平成26年4月1日以降に行われる資産の譲渡等の対価として取得したもの以外の金銭債権の譲渡についても、対価の額の5%のみを分母に含めれば良いこととなっています。
少々複雑ですが、せっかくの配慮措置ですので、取扱いを間違えないよう正しく申告するようにしましょう!

 

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● 著者

大野 修平

大野 修平

公認会計士・税理士 前職の有限責任監査法人トーマツでは銀行、証券会社、保険会社など金融機関向けの監査、デューデリジェンス、コンサルティング業務などに従事。 トーマツ退所後はOneWorld税理士法人にて「ビズバ!」というオウンドメディアの企画、編集を担う。また、会計や税金を身近に感じてもらえる様々なイベントを運営している。 無類の読書好きで、蔵書が3,000冊を超えないようコントロールすることに頭を悩ませる日々。

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