資金繰りとは?経営者、財務経理責任者必読の基礎知識を解説

資金繰りとは?経営者、財務経理責任者必読の基礎知識を解説

資金繰りとは会社の収入と支出を予測して、将来発生する資金の過不足に対して適切な手立てを打つことです。資金は会社を廻す血液とも言えるもの。売上や利益を重視する経営者は多いですが、資金繰りこそ会社を存続するための肝と言えるでしょう。この記事では資金繰りについて、その重要性や改善のためのポイントなどを解説しています。

資金繰りは重要

経理の方であれば「勘定合って銭足らず」という言葉を見聞きしたことのある方は多いでしょう。この意味は、決算書上は利益が出ているにもかかわらず、お金が足りず会社が上手く廻せない状況です。
もちろん、利益を上げることが会社の資金繰りを楽にする前提ではありますが、資金不足に陥る要因は色々あるもの。資金不足に陥ると、銀行への返済や取引先の支払いが遅れることになります。支払い遅延が恒常的に発生すると信用を失ってしまい、最悪の場合は破産など法的措置を講じられることもあるでしょう。資金繰りとは今後の収支を予測し、資金不足に陥らないように資金の調達手段を確保することです。

黒字倒産はなぜ発生する?

決算書上は黒字であっても、資金不足に陥ることがありますが、なぜ黒字倒産が起きてしまうのでしょうか。基本的に原因として考えられるのが、発生主義による会計上の収益の認識時期と実際にお金が動く時期が異なること。会計上の利益と収入との差額の代表的な例は、次の通りです。

設備投資

設備投資の場合、損益計算上は償却期間にわたって減価償却費として費用計上されます。例えば投資金額100なら資金の流出は100ですが、損益計算上は20(5年定額償却)しか費用計上されません。

在庫

在庫は売上計上の段階で仕入に計上され利益計算されます。在庫の状態では、損益計算書に反映されません。しかし、在庫は取引先に仕入れ代金として資金流出していますので、利益と資金のギャップが生じます。

売掛金

納品基準や検収基準で売上計上したとしても、それが掛け取引の場合は売上月の翌月以降に資金が回収されることになります。仕入れ代金として取引先への支払いの後に、売上代金が回収されるケースは多く収支のギャップとなるのです。

借入金の返済

銀行からの借入返済のうち、元本部分は損益計算書に反映されません。設備資金としての借入金は減価償却費として一部は計算されますが、運転資金の借入金では利益計算には反映されないのです。

交通費・経費精算システム「楽楽精算」 経理プラス メールマガジン登録

資金繰り改善に向けた取り組み

売上や利益の拡大に向けた取り組みは多様ですが、資金繰りの改善に向けた取り組みも色々な手法があります。

資金繰り表を作成する

資金繰り表とは事業活動により発生する入金や出金の金額、時期を表している管理帳票です。いつ、どのくらいの入出金があるかを明らかにすることで、資金不足に陥る時期や金額を把握することを目的とします。この資金繰り表は、以下3つの区分に分けて作成します。

  • 営業収支(日々の営業活動で生じる収支)
  • 投資収支(設備投資に伴う収支)
  • 財務収支(銀行との借入・返済などに伴う収支)

今後の資金調達が必要になる理由が、3つの区分のどの要素によって生じるのか。これを明らかにすることで対策が生じやすくなるでしょう。資金繰り表については、下記記事も参考にしてください。

▼経理プラス:資金繰り表とは?キャッシュフロー経営の手法と効果

日々の業務オペレーションを改善する

債権管理や在庫管理など、日々の業務オペレーションを資金繰りの観点から改善することも有効な手段です。

  • 請求書の発行漏れ、遅れを無くす
  • 顧客からの支払い遅延があった場合、督促ルールを決め実行する
  • 適時適量の仕入れを行うことで過剰在庫を防止する
  • 過剰在庫が生じた場合、できるだけ早く原価割れでも処分し現金化する

銀行と良好な関係を築く

資金不足が予想される場合、必要な資金を調達する必要があります。資金調達の一般的な方法は銀行からの借入です。取引先に支払いを待ってもらうなどの方法もありますが、信用不安を招く可能性がありますのでおすすめできません。
ただし銀行に急に借り入れをお願いしても、必ずしも対応してくれるとは限らないでしょう。メインバンクとは、日頃から良好な関係を築くことをおすすめします。決算報告や事業計画の報告、銀行の主催するセミナーへ参加するなど、いざというときに頼れる関係作りに努めましょう。

資金調達を行う

経営環境の悪化や不意の出費などの原因により、資金不足に陥らざるを得ない状況もあります。営業活動で資金が調達できない場合が多く、以下のような他の方法による資金調達を検討することが必要です。

銀行借り入れ

資金不足が予想される場合はできるだけ早めに、まずメインバンクと相談することが一番です。メインバンクであれば、対応可能な範囲内で融資を検討してくれる可能性が高いでしょう。銀行からすると資金ショートの理由、必要資金額、返済計画などの情報は融資にあたり必要な情報です。そのため、資金繰り表、直近の決算書、収益・返済計画など資料一式を問いそろえて交渉に臨んでください。

当座貸越契約

銀行に当座預金を開設している場合、銀行と当座貸越契約という契約を締結して借入を行うこともできます。当座貸越契約の中で対象期間と借入限度額を設定し、限度額の範囲内であれば融資を受けることが可能です。借入限度額や金利などの融資条件は企業規模、財務状態などによって決定されますが、特に運転資金の不足が見込まれる場合は有力な資金調達方法になるでしょう。

ファクタリング

最近では、ファクタリングによって資金調達する方法もあります。ファクタリングとは、売掛金などの売上債権を買い取ってもらうサービスのこと。手数料は必要となるものの、良質な売上債権があると資金化も容易なため、一つの選択肢となります。注意すべき点は、ファクタリングサービスを提供する会社の選択です。高い手数料を求める会社もありますので、銀行系列のサービス会社を選択すると安心でしょう。

まとめ

資金は事業を継続するためのもっとも重要な資産です。そのため、資金管理の基礎である資金繰りは、経営者がきちんと理解しなければならない事項の一つとなります。資金繰りの巧稚は、会社の存続を左右することを充分に理解してください。また、やむを得ず資金不足に陥った場合も、日頃から対策を準備しておきましょう。

「経理プラス」無料メルマガ会員登録はこちら

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

経費精算システム「楽楽精算」汎用

● 著者

中津 隆

中津 隆

中小企業診断士、行政書士、税理士(科目合格)資格などを保有。企業の財務会計部での勤務や経営コンサルタントとしての経験を活かし、現在は独立して企業の財務会計業務を支援。補助金申請や銀行融資などの経営支援、記帳代行などを行いながら執筆活動にも取り組む。