コロナ禍の融資で経理ができること ポイントは早めの準備にあり

コロナ禍の融資で経理ができること ポイントは早めの準備にあり

2020年、コロナ禍の影響で多くの企業が厳しい資金繰りを強いられています。そのような中で金融機関から融資(借入)を受けようとしている企業も増えています。あらためて、融資を受ける際のポイントについて、経理の視点を中心にみていきましょう。

早めの交渉と経理処理

経済情勢が急激に悪化すると、融資を受けたい企業は増加します。その結果、金融機関には多くの申し込みが殺到し、実際に融資が実行されるまで長い時間が必要になります。

そのような状態で慌てないために、企業は以下のような点に留意しておきましょう。

経営者や財務担当者がやるべきこと

日常的に金融機関とやりとりする

融資を受ける必要が出てから金融機関に連絡するのでは当然、対応が遅れます。金融機関の担当者と日常的にやりとりをしておきましょう。

最近どんな状況か、どんな機会や課題を見据えているのか、ありえるリスクはどんなものか、少しでも融資の必要性を感じたら早めに伝えておくことが大切です。これを心がけるだけでも、安全度が大きく向上します。

参考記事:「銀行員は忙しい。金融機関への正しい「決算説明」を教えます」

複数の金融機関と付き合う

いくつかの金融機関と付き合っていれば、いざというときに相談できる先がそれだけ増えます。なかには、金融機関同士で相見積もりをとって、より有利な条件で融資を受けているような企業もあります。

また、金融機関の種類(都市銀行、地方銀行、信用金庫など)により、取り扱っている融資の規模や制度融資の種類が大きく異なってきます。自社の規模や必要な融資額に応じた、適切な金融機関を選択することが大切です。心配であれば、都市銀行、地方銀行、信用金庫などすべてと付き合っておくのも一案でしょう。

参考記事:「中小企業の資金調達で抜け落ちている視点とは」

経理担当者がやるべきこと

経理処理の迅速化

経済全体が急速に悪化する場合、多くの金融機関は「なるべく最新の試算表を確認したい」という要望を出してきます。経理担当者としては、処理を迅速に行うことがとても重要です。

処理が遅れてしまうと、それだけで金融機関からの信頼度は大きく下がってしまいます。現状について数字を使ってきっちりと説明できるようにしましょう。

経理プラス:月次決算の早期化を実現させる方法とは?

数字の分解

補足的な資料として、各科目について数字の分解をしておくと良いでしょう。
単に「売上が減った」というだけでなく、なぜ減ったのかを説明できるようにします。

例:売上 = 単価 * 客数 * 回転率

→自粛ムードの影響により客数が減り、回転率も落ちている。ただし、客単価は落ち込んではいないので、ムードが変わり、客足が戻ってくれば売上の改善が見込める。

このように各科目について数字を分解することで、起こっている現象が明確になります。

キャッシュフロー計算書の活用

金融機関との交渉時に、自社の資金繰りが把握できていなければ交渉ができません。そして貸借対照表や損益計算書(あるいは試算表)だけでは、資金繰りの状況を把握することは困難です。

そこで有用なのがキャッシュフロー計算書です。営業CF(キャッシュフロー)、投資CF、財務CFが明示されることにより、企業の全体的な資金繰りを把握することができます。

経営が苦しくなると営業CFが悪化します。そこで財務CF(融資による収支)の状況を確認します。既存の借入返済で財務CFがマイナスになっているようであれば、新規借入、借換、リスケジュールなどの方法を駆使して財務CFのマイナスを減らし、資金繰りを改善させる必要があります。

経理プラス:キャッシュフロー計算書の読み方と注意点

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数字に出てこない情報をまとめる

経理処理とは直接結びつきませんが、経営層や営業、現場の人などと協力をしながら、数字(定量的な情報)だけでなく、数字に出てこない情報(定性的な情報)についてまとめておくことは有用です。

  • コロナ前の経営状況
  • コロナ直後の対応について
  • 最近の動向

企業が抱えている課題や機会について、文章や図などさまざまな方法を使ってまとめます。

実際に金融機関が融資の稟議をする際には、その企業の担当行員が作成する稟議書が使われます。担当者は企業の状況について、試算表や企業の人から聞いた話をもとに稟議書を作成します。多くの場合、この稟議書を作成するのに担当行員は多大なる苦労を強いられることになります。

数字以外の情報についてまとめておくことで、担当行員は稟議書の作成がとても容易になります。結果、融資の審査に入るのも早くなり、審査の可否にも大きな影響を与えることがあります。

また、数字以外の情報をまとめておくことで社内での情報共有も進みます。緊急時の融資はあくまでもつなぎ資金です。状況が改善されなければいずれ返済につまってしまいます。

どのような点に課題がありそれをいかに解決するのか。それが明示化されるのは大きな利点と言えるでしょう。

まとめ

急激な経済情勢の悪化時には、こまめに複数の金融機関とやりとりをすることが大切です。経理処理を迅速に行い、その根拠について説明できるようにしておきましょう。キャッシュフロー計算書を活用して資金繰りの状況について把握するとともに、数字以外の情報についてまとめ、提示できるようにすることで、社内外問わず有効活用することができます。

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● 著者

高橋 昌也

高橋 昌也

高橋昌也税理士・FP事務所 税理士 1978年神奈川県生まれ。2006年税理士試験に合格し、翌年3月高橋昌也税理士事務所を開業。その後、ファイナンシャルプランナー資格取得、商工会議所認定ビジネス法務エキスパートの称号取得などを経て、現在に至る。