うろ覚えな経理担当者は必読!マイナンバー制度の概要と影響と対策!
「マイナンバー制度」という言葉を聞いたことがない経理担当者の方はほとんどいないと思います。しかし、実はよく知らないという経理担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実務への影響も大きい「マイナンバー制度」なので、経理担当者の人はその内容まできちんと理解しておかなければなりません。
今回の記事では、マイナンバー制度の概要、経理業務に出る影響、経理担当者が事前にしておかなければならない対策、についてお伝えします。
マイナンバーとは ―実はよく知らないという経理担当者はいませんか?―
ここではマイナンバー制度の概要についておさらいしたいと思います。マイナンバー制度は何なのか、なぜ導入されることになったのか、いつから始まったのかを確認してください。
マイナンバー制度とは何か ―1人に1つの番号を様々な分野で一元的に利用―
住民票を持っている全ての方に、1人1つの番号を付すという制度です。1人1つのマイナンバーを、社会保障、税、災害対策の各分野の行政機関で一元的に利用します。
マイナンバー制度がなぜ導入されたのか ―利便性を高め、行政を効率化し、公平な社会の実現を目指す―
マイナンバー制度に期待されている効果として、主に以下の3つが挙げられています。
- 期待されている効果1:公平・公正な社会の実現
各行政機関において同じ個人に対して同じマイナンバーを使用しているため、同一人物の情報であることが確認しやすくなりました。それによって、個人の収入や所得の状況、行政サービスの受給情報などを網羅的に把握しやすくなったため、税負担を不当に免れたり、給付を不正に受給したりするといった不公平を防止できることが期待されています。
- 期待される効果2:国民の利便性向上
従来は行政手続ごとに別々の番号が付されておりました。たとえば、国税の納税者番号、e-taxの利用者識別番号、年金の基礎年金番号、雇用保険の被保険者番号など、1人について挙げきれないほどたくさんの番号があります。各機関が同じマイナンバーによって個人を特定できるようになれば、国民にとっては管理しなければならない番号や手続きの際の添付書類が減り、事務手続きが簡単になることが期待されています。
- 期待される効果3:行政の効率化
複数の番号と情報が存在していると、行政機関や地方自治体では同じ人物の同じ情報なのに、照合、転記、入力などにたくさんの労力と時間がかかっていました。マイナンバー制度が導入されたことにより、複数の業務間での連携が図りやすくなり、重複していた作業などが効率化されています。
いつから始まったのか ―2015年10月に通知、2016年1月から利用開始―
- 2015年10月:マイナンバーの「通知」が開始
住民票を有する国民一人一人に12ケタのマイナンバーが、2015年10月から通知されました。通知の方法は原則として、市町村から住民票に登録されている住所にマイナンバーが記載された「通知カード」が送られています。一度通知されたマイナンバーは一生変更されませんので、マイナンバーは大切に管理する必要があります。
- 2016年1月:マイナンバーの「利用」が開始
社会保障、税、災害対策など、各種行政手続きは、2016年1月からマイナンバーが必要になっています。行政手続だけでなく、金融機関や保険会社においても利息や配当金、保険金等の税務処理のためにマイナンバーの提出が求められます。
会社、経理担当者にはどのような影響が出るのか
様々な分野で利用されるマイナンバーは、企業のいろいろな業務に影響があります。会社、経理担当者、取引先への影響はおよそ次のようなものです。
会社への影響 ―提出書類の様式変更、自社のマイナンバーの管理が必要―
マイナンバーは住民票を持っている個人に対してだけでなく、法人に対しても1社に1つの法人番号が指定されています。
法人番号に関する情報は原則公表されることとなっており、1.商号又は名称、2.本店又は主たる事務所の所在地、3.法人番号は、検索と閲覧が可能なインターネットサービスで提供されています。
これまで納税者番号を使っていた法人税・消費税などの申告書、事業所番号が付されていた社会保険や雇用保険の届出や申請書にも、マイナンバーの記載が必要となっています。
経理担当者への影響 ―マイナンバー取扱い者として安全管理措置を遵守しなければならない―
マイナンバー制度では、民間事業者にもマイナンバーの適正な取り扱いが求められています。経理担当者は必要かつ適切な安全管理措置を講じ、それを遵守しなければなりません。部署内のみならず、マイナンバーに触れる機会のある従業員への周知とコンプライアンスの徹底も必要となります。
取引先との影響 ―取引先のマイナンバーも事前に聞いておかなければならない―
マイナンバーの影響は行政手続きだけにとどまりません。源泉所得税が関わる場合にもマイナンバーは必要なため、取引先に対して報酬の支払調書を作成する場合には、事前に取引先からマイナンバーを聞いておく必要があります。
最後に ―経理担当者とマイナンバー制度―
マイナンバー制度の概要と、経理担当者を中心にどのような影響が出ているのか、改めてお分かりいただけたのではないでしょうか。
多くの経理担当者は、従業員のマイナンバーの管理に加え、委託や外注先のマイナンバーを取得し、管理する業務を担っているでしょう。また、労務手続きにもマイナンバーが必要となる場合がありますので、あらかじめ把握しておく必要もあるでしょう。
今回の記事を通して、マイナンバー制度の基本を押さえて、ただでさえ様々な業務が重なって忙しい経理担当者の業務負担が増えぬよう、事前の準備と対策を進めて頂ければと思います。
この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。