リース取引の消費税 ―リース取引の応用項目:経理担当者の苦手克服シリーズ―

リース取引の消費税 ―リース取引の応用項目:経理担当者の苦手克服シリーズ―

はじめに

出現頻度が低い取引の会計処理は迷いが出てしまうものです。リース取引、ストックオプション、新株予約権、フリーレントなどで迷った覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。消費税の課税区分の判断は、さらに仕訳を複雑にしてくれます。
今回は経理担当者が苦手意識を持っているリース取引のうち、消費税について取り上げます。

リースの種類は3種類

リース取引が以前の税法上では3種類に分けられているということは前回の記事でお伝えしました。また、2019年以降は、リース取引の種類はなくなり、ひとまとまりの取り引きで扱われています。
経理プラス:リース取引の仕訳と会計処理 ―リース取引の基本と実務:経理担当者の苦手意識克服シリーズ―
経理プラス:新リース会計基準が強制適用開始!IFRS未適用企業にも影響があるIFRS16号

今回の記事では、以前のリース取引の種類ごとに、消費税の課税区分を仕訳でどのように表現していくのか見ていきます。

所有権移転リース取引

所有権移転リース取引とは

リース期間が終わるとその資産を取得できるのと同等なリース取引のことで、会計処理としては資産を購入するときと同じ形で仕訳を切ります。次のようなリース取引が「所有権移転リース取引」となります。 1.リース資産を無償又は名目的な金額で賃借人が譲り受けることができる
2.リース資産が賃借人によってのみ使用されることが見込まれる
3.建築用の足場などのように、リース資産の識別が困難であると認められるもの
4.リース期間が法定耐用年数に比して相当短いもの

※いずれにも該当しない場合には「所有権移転外リース取引」です。

国税庁HP:所有権移転外リース取引の意義

課税区分を仕訳でどのように表現するか

前提

リース料総額:6,000,000円(120,000円×50回払い)
キャッシュで購入した場合の金額:5,000,000円

契約時点において、利息相当額が明示されている場合

取得時
リース資産:課税仕入 5,000,000円 / リース負債:対象外取引 5,000,000円

支払時
リース負債:対象外取引 100,000円 / 現預金:対象外取引 120,000円
支払利息:非課税取引 20,000円

利息相当額が明示されている場合には、課税仕入の対象はリース料総額ではなく通常取得に要する金額なので注意して下さい。

契約時点において、利息相当額が明示されていない場合

取得時
リース資産:課税仕入 6,000,000円 / リース資産:対象外取引 1,000,000円
/ リース負債:対象外取引 5,000,000円

支払時
リース負債:対象外取引 100,000円 / 現預金:対象外取引 120,000円
支払利息:非課税取引 20,000円

いかがでしょうか。リース資産を両建する仕訳の起こし方をご存じでなかった方もいらっしゃったのではないでしょうか。

税率について

売買取引に準じて会計処理を行う場合には、当該資産の引き渡しを受けた時点における税率を使用します。消費税率の変更前に引き渡しを受けたのであれば変更前の税率、変更後に引き渡しを受けたのであれば変更後の税率を使用します。

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所有権移転外リース取引

所有権移転外リース取引とは

「ファイナンス・リース取引」に該当するリース取引のうち、「所有権移転リース取引」に「該当しない」リース取引をいいます。

ファイナンス・リース取引とは

次のいずれの要件も満たすリース取引をいいます

1.ノンキャンセラブル要件

リース期間の中途において解約することができないことです。形式的には途中解約が認められていたとしても、「途中解約した時は、未経過分のリース料を全て払うこと」など「実質的に解約不能」な場合も含まれます。

2.フルペイアウト要件

リースを組んでその資産を取得した場合も、売買で取得した場合も、結局は同じ程度の金額を要することをいいます。具体的には、リース料総額が通常要する金額の90%を超えている場合にはフルペイアウト要件を満たします。

課税区分を仕訳でどのように表現するか

・売買処理に準じた処理する場合

所有権移転リース取引と同じ仕訳を切ることになります。

・賃貸借処理として仕訳できる場合

所有権移転外リース取引も原則は売買処理を行うことと定められましたが、次のいずれかに該当する場合には例外として賃貸借処理が認められています。

1.リース料総額が300万円以下のリース取引
2.リース期間が1年以内のリース取引
3.賃借人が中小企業である場合(新リース会計基準が強制適用されない場合)

・賃貸借処理:原則的な消費税の処理(引き渡された期に仕入税額控除を適用する)

取得時
リース資産:課税仕入 5,000,000円 / リース資産:対象外取引 5,000,000円

支払時
リース料:対象外仕入 100,000円 / 現預金:対象外取引 120,000円
支払利息:非課税仕入 20,000円

こちらもいかがでしょうか。取得時にリース資産を両建てするという会計処理をご存知の方は少ないのではないでしょうか。

・賃貸借処理:例外的な消費税の処理(支払った期の仕入税額控除に算入)

取得時
仕訳なし

支払時
リース料:課税仕入 100,000円 / 現預金:対象外取引 120,000円
支払利息:対象外取引 20,000円

・税率について

賃貸借処理で支払った期の課税仕入として例外的な処理を行う場合にも、税率はリース資産が引き渡された日の税率を使用します。リース期間の途中に消費税率の変更があったとしても、当初の消費税率で仕訳を切り続けます。

オペレーティング・リース取引

オペレーティング・リース取引とは

以前のリース取引で区分されていたもので、レンタル契約のような、リース取引の期間中に契約を解除することのできるリース取引を指します。

課税区分を仕訳でどのように表現するか

・賃貸借処理として仕訳します

オペレーティング・リース取引は、支払った期に費用処理し課税仕入とする、賃貸借取引にて仕訳をきります。

取得時
仕訳なし

支払時
リース料:課税仕入れ 120,000円 / 現預金:対象外取引 120,000円

・税率について

賃貸借処理で仕訳されるオペレーティング・リース取引は、その支払った日の税率に応じて消費税を計算します。そのため、リース期間中に消費税率の変更があった場合にはそのリース取引の仕訳に関わる消費税率も変更させます。

最後に

今回は2本にわたって「経理担当者の苦手克服シリーズ」と題して、リース取引の会計処理とリース取引の消費税を見てきました。
実務で登場することは少ないリース取引ですが、経済的実態はどのような取引か、税法の本質的な考え方からとらえた時にどのように処理されるのが妥当か、というような今回の記事で紹介したような考え方をしていけばリース取引は大して難しくありません。

経理プラスでは、リース取引の他にも経理担当者の皆様が悩んでしまいがちな会計処理についてお伝えしております。その他の記事も皆様の実務に役立つと思いますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

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この記事は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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● 著者

服部 峻介(セブンリッチ会計事務所)

服部 峻介(セブンリッチ会計事務所)

北海道大学経済学部卒。有限責任監査法人トーマツ入社後、上場企業の監査、内部統制、IPO支援、株価算定、M&A、不正調査等を実施。経営コンサルティング会社役員を経て、Seven Rich会計事務所を開業。スタートアップ企業を中心に、3年で160社以上の新規クライアントに対して会社の設立から会計税務、総務、ファイナンス、IPOコンサルなど幅広い支援を行っている。

セブンリッチ会計事務所