固定資産税の勘定科目での扱いは?経費計上のタイミングと税金対策

固定資産税の勘定科目での扱いは?経費計上のタイミングと税金対策

固定資産税は、毎年1月1日時点の土地や建物などの不動産の所有者に対して、その年の4月1日から翌年3月31日までの1年間分の税金の納付義務が発生します。毎年、4月~6月頃に自治体より固定資産税の納付書が届き、6月、9月、12月、翌2月の年4回のスケジュールで支払うのが一般的です。当記事では、固定資産税を仕訳計上する際の勘定科目や、計上のタイミングなどを解説します。

また、固定資産税の勘定科目として使われる租税公課については以下記事で解説しているため併せてご覧ください。

経理プラス:租税公課とは何?販管費科目との関係や経費計上について解説

固定資産税の勘定科目上の位置づけ

固定資産税は、法人・個人事業主ともに、「費用」項目の「租税公課」という勘定科目で仕訳計上します。ここでは、そもそもの勘定科目の分類をおさらいしつつ、固定資産税の計上時に使われる「租税公課」という勘定科目について解説します。

そもそも勘定科目とは?

勘定科目とは、事業のお金の動きを項目別に分類したもので、「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」の大きく5つに分類されます。例えば、「現金」「売掛金」などの勘定科目は「資産」に、「支払手形」「未払消費税」などの勘定科目は「負債」に分類されます。

固定資産税の勘定科目は?

固定資産税は、「費用」に分類され、勘定科目は「租税公課」として計上します。租税とは、国や地方公共団体に納める税金です。固定資産税のほか、印紙税、自動車税、登録免許税などもあてはまります。また、公課とは国や地方公共団体から徴収される税金以外のお金で、印鑑証明書や納税証明書といった書類の発行手数料などがあてはまります。固定資産税は、1月1日時点で所有している固定資産の価格に応じて、法人・個人に問わず課せられる地方税です。

固定資産税と経費の関係

固定資産税は、法人・個人事業主ともに「租税公課」として経費計上することができます。ここでは、固定資産税を経費計上できるかどうか、また経費計上する場合のタイミングと仕訳の計上方法について、解説します。

固定資産税は経費に計上できる?

固定資産税は、法人税法でも所得税法でも経費として認められています。ただし、租税公課でも下記のような税金は、経費(損金)として認められないため注意が必要です。

  • 経費計上できない租税公課:法人税、所得税、延滞税、過怠税など

また、個人事業主が固定資産を事業と私用の共同で使っている場合には、使用比率に応じた家事按分が必要です。家事按分とは、自宅を事業に使用している場合に光熱費などの一部を経費として計上する方法のことで、固定資産税にも適用できます。

固定資産税を経費に計上することで、所得税や法人税などを抑えることができます。

固定資産税を経費に計上するタイミングと仕訳の例

固定資産税を経費として計上するタイミングには、以下の2通りがあります。

  1. 固定資産税の金額が決まった日(賦課決定日)に租税公課として計上する。
  2. 固定資産税を実際に支払った日に租税公課として計上する。

それぞれ詳しくご説明します。

1.固定資産税の金額が決まった日(賦課決定日)に仕訳する場合

賦課決定日に租税公課で処理する場合は、未払金として固定資産税の全額を貸方に計上します。

賦課決定日時点の仕訳は以下の通りです。

借方金額貸方金額
租税公課200,000円未払金200,000円

実際に固定資産税を納付したら、支払った分だけ、未払金を借方に計上して取り崩します。固定資産税は、原則年4回に分けて納付を行います。

固定資産税の1/4を実際に納付した日の仕訳は以下の通りです。

借方金額貸方金額
未払金50,000円現金50,000円

2.固定資産税を実際に支払った日に仕訳する場合

固定資産税を支払った日に仕訳する場合には、支払った日のみで仕訳計上します。

固定資産税の1/4を現金で支払った時の仕訳は以下の通りです。

借方金額貸方金額
租税公課50,000円現金50,000円

固定資産税の納付は、一括納付を選ぶことができます。その場合は、一括で支払った日に、支払った金額で計上します。

固定資産税を一括で現金で支払った時の仕訳は以下の通りです。

借方金額貸方金額
租税公課200,000円現金200,000円

固定資産税を抑える方法

固定資産税は、固定資産税課税標準額に税率(1.4%)を乗じて計算されます。固定資産評価額は各自治体が評価した価格で、販売価格とは異なります。固定資産税を抑えるために、固定資産評価額を下げる方法がいくつかあります。

軽減措置を利用する

住宅用に利用されている土地は、小規模住宅用地の特例が適用され、固定資産評価額が6分の1に軽減されます。また、住宅用地は小規模住宅用地(1戸あたり200平米まで)の範囲を超えていても、固定資産評価額が3分の1になります。

なお、「新築住宅に係る税額の軽減措置」は新築住宅にかかる固定資産税を3年間(マンション等の場合は5年間)、半額まで減額される措置です。さらに、長期優良住宅の場合には5年または7年、半額に減額されます。これは、住宅取得者の初期負担の軽減を通じて良質な住宅の建設を促進し、居住水準の向上及び良質な住宅ストックの形成を図るための措置で、2024年3月31日までの新築分について適用されます。

さらに、土地の評価額が大幅に上昇した場合などに固定資産税額も大きく上昇しないように調整する制度として、負担調整措置があります。この制度は各地方自治体により調整の度合いは異なりますが、申請などは必要ありません。

土地を分筆する

分筆とは、登記簿上1つになっている土地を複数の土地に分けることです。土地の価格は一様ではなく、例えば大通りに面している部分は利便性が良いため価値も高くなりますが、交通の便が悪い内部は価値が低く算定されます。

しかし、価値が高い部分と低い部分をまとめて評価すると、全体の評価額が高くなってしまいます。そのため、分筆によって複数の土地に分けて別々に評価することで、土地の評価額を下げることが可能です。また、分筆することで、後述する非課税の土地を作ることができます。

非課税の土地を申告する

私有地であっても、道路(私道)や公園などの公益性の高い土地は、固定資産税が非課税となります。所有している土地が公共道路に面していて、不特定多数の人が通行で利用している場合には、「公共の用に供する道路」として固定資産税は非課税となります。

固定資産税は、対象の土地の現況で認定された地目が「課税地目」として評価されます。そのため、例えば土地の地目が、宅地から公衆用道路に変更になったにも関わらず固定資産税の明細にのっている課税地目が異なっている場合には、自治体に申請することで翌年度から固定資産税が非課税となる場合があります。

免税点を理解する

固定資産の免税点とは、固定資産税が課せられない課税標準額のことです。同一の人物が同一の市町村内で所有する土地の課税標準の合計が30万円未満、建物課税標準の合計が20万円未満で、固定資産税の免税点となります。

ただし、課税標準が30万円未満の土地というのは主に42万円未満などで売買される土地で、山林などが多いでしょう。また、課税標準が20万円未満の建物とは、建築費が160万円未満などである築15年以上の建物となります。つまり、かなり価値が低い不動産でなければ、固定資産の免税点未満とはならないと考えられます。

固定資産の勘定科目は租税公課で処理しましょう

固定資産税の勘定科目について、詳しくご説明しました。固定資産税の勘定科目は「租税公課」で仕訳計上します。仕訳には、固定資産税の金額が決まった日に未払金で計上する方法と、支払った日に計上する方法の2通りがあります。本記事の内容を参考に、租税公課として正しく処理しましょう。

固定資産税の勘定科目に関するQ&A

固定資産税の勘定科目に関する、よくある質問をまとめました

Q1.個人事業主と法人では固定資産税の勘定科目の扱いは違う?

固定資産税は、個人事業主と法人のどちらも経費として計上することができ、勘定科目は「租税公課」として計上します。個人事業主の場合には、事業にかかる部分を家事按分することで経費にすることが可能です。

Q2.個人事業主が法人化したとき固定資産税の扱いはどうなる?

年度途中で固定資産の所有者が変わったとしても、その年の1月1日の所有者が1年分の固定資産税を支払う必要があります。また、法人化する場合には個人が所有していた不動産を法人に引き継ぐ必要があり、売却価額を検討する際には支払済みの固定資産税も考慮しましょう。

Q3.固定資産税の軽減には個人事業主と法人のどちらがお得?

固定資産税については、個人事業主と法人で計算方法などに違いがないため影響はありません。

Q4.固定資産税を簡単に求める計算式は?

土地や家屋の課税標準額×税率1.4%(※)=固定資産税額

※税率は地域によって異なる場合があります。 また、土地と家屋がある場所の住所が、都市計画税の対象区域の場合は、その土地と家屋に対して別途で都市計画税が課せられます。

Q5.未払いの固定資産税の計上方法は?

固定資産税の金額が決まった日(賦課決定日)で仕訳を計上する場合には、未払いの固定資産税は、未払金で計上します。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

著 者 内山 智絵

内山 智絵氏

公認会計士・税理士。大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人の地方事務所で上場企業の法定監査などに10年ほど従事した後、出産・育児をきっかけに退職。2021年春に個人で会計事務所を開業し、中小監査法人での監査業務を継続しつつ、起業女性の会計・税務サポートなどを中心に行っている。

内山会計事務所