【速報!】コロナ感染症に伴う緊急経済対策税制措置が決定!企業向け措置を徹底解説!

【速報!】コロナ感染症に伴う緊急経済対策税制措置が決定!企業向け措置を徹底解説!

今般、感染が拡大している新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に、心よりお悔やみ申し上げますとともに、影響を受けられた皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。

令和2年4月20日、政府は新型コロナウイルス感染症による経済影響を鑑みて、税制措置を閣議決定しました。イベントの自粛や感染拡大防止のための措置に起因して、多くの事業者の収入が急激に減少している状況を踏まえた、事業者救済の経済対策になります。今記事では、法人を対象とした措置を中心に見ていきましょう。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う納税猶予の特例

新型コロナウイルスの感染拡大防止のための措置に起因して、イベントの自粛要請や入国制限措置などにより、収入が急減する事業者が多く見られます。こうした状況を踏まえ、無担保かつ延滞税なしで、1年間の納税を猶予する特例です。

対象企業と期間

対象企業と期間は下記のとおりです。

対象企業令和2年2月以降、収入が減少し、一時納税を行うことが困難な企業
対象期間令和2年2月1日から令和3 年1月31日までに納期限が到来する税金(法人税や消費税等)に適用

具体的な内容

具体的な内容を現行法と、特例案を比較して見ていきます。

現行特例(案)
対象要件原則1年という期間で、大幅な赤字が発生した場合令和2年2月以降、1か月以上の期間で、大幅な収入減少した場合(前年同期比20%以上)
事業資金の考慮期間向こう1か月の事業資金を考慮向こう半年の事業資金を考慮
担保原則必要不要
延滞税年1.6%不要

申請方法

令和2年6月30日 、又は納付期限(申告納付期限が延⻑された場合は延⻑後の期限)のいずれか、遅い日までに申請が必要です。申請時には申請書ならびに添付資料が求められますが、提出が難しい場合は口頭での手続きも可能とされています。

固定資産税・都市計画税の軽減、免除

厳しい経営環境にある中小事業者等に対して、令和3年度課税の1年分に限り、償却資産および事業用家屋に係る、固定資産税および都市計画税の課税標準を半分又はゼロとする制度です。
また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも新規に設備投資を行う中小事業者等を支援する観点から、適用対象に一定の事業用家屋および構築物を加えることになりました。なお、生産性向上特別措置法の改正を前提に、適用期限が2年延長されています。

対象企業と期間

対象企業と期間は下記のとおりです。

対象企業令和2年2月〜10月までの任意の3か月において、売上高が前年の同期間に比べて、30%以上減少している企業
・当該売上高が30%以上50%未満減少している場合→1/2減税
・当該売上高が50%以上減少している場合→全額減税(納付ゼロ)
対象期間令和3年度課税の1年分

申請方法

令和2年4月30日現在、書面又はeLTAXにて申請できるよう、準備が進んでおります。今後、関係省庁、地方自治体のホームページなどでリリースがあるでしょう。

欠損金の繰戻しによる還付の特例

欠損金の繰戻しによる還付とは、前年度は黒字だった法人が経営悪化などで当年度赤字になった場合、前年度に納付した法人税の還付を受けられる制度です。
現行法では資本金の額が1億円を超える法人について、青色欠損金の繰戻し還付制度を適用できないこととされています。しかし当該特例により、資本金1億円超10億円以下の法人も青色欠損金の繰戻し還付を受けることが可能となります。

対象企業と期間

対象企業と期間は下記のとおりです。

対象企業資本金1億円超10億円以下、かつ、前年度黒字で納税が発生していて当年度赤字の企業
対象期間令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度に生じた欠損金額について適用されます。

申請方法

欠損金が発生した事業年度の確定申告書の申告期限までに還付請求書を提出します。なお、対象企業が令和2年7月1日以前に確定申告書を提出している場合、同2年7月31日までに請求をする必要があります。
また、期限までに還付請求の手続きができない場合は事前に申告することで期限を延長することもできるため、最寄りの税務署にお問い合わせください。

(参考)国税庁 [手続名]欠損金の繰戻しによる還付の請求

テレワーク等のための中小企業の設備投資税制

中小企業者等がテレワークに資する機械投資等をした場合に、即時償却又は7%の税額控除ができる制度です。また、資本金が3,000万円以下の法人については10%の税額控除が適用されます。これは中小企業経営強化税制という、既存税制の拡充になります。

対象企業と期間

対象企業と期間は下記のとおりです。

対象企業テレワーク等の設備投資を行う中小企業者等
中小企業者等の定義は、資本金10億円以下、従業員数2000人以下の会社とされています。
対象期間令和3年3月31日まで

制度の内容

具体的な内容を現行法と、新税制を比較して見ていきます。デジタル化設備という類型が、今回のテレワーク等のための設備投資税制に該当します。

類型生産性向上設備(現行)収益力強化設備(現行)デジタル化設備(拡充)
要件生産性が旧モデル比で、年平均1%以上向上する設備投資収益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかに該当する設備
対象設備機械装置、測定工具および検査工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウェア機械装置、工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウェア機械装置、工具、器具備品、建物附属設備、ソフトウェア
税制措置即時償却、または7%税額控除(資本金3000万以下の法人は10%)

対象となる資産の詳細については、国税庁のHPを参照ください。

(参照)国税庁 No.5434 中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除) 4適用対象資産

申請方法

令和2年4月30日現在、申請方法の決定・告知はされていません。この制度を利用するためには経営力向上計画の認定を受ける必要があります。 認定を取得する場合は中小企業庁のHPを参照ください。

(参照)中小企業庁 経営力向上計画策定の手引き

中止等されたイベントに係る入場料等の払戻請求権を放棄した者への寄附金控除の適用

政府の自粛要請を踏まえて文化芸術・スポーツイベントを中止等した結果、主催者に大きな損失が生じている状況を踏まえ、文化芸術・スポーツに係る一定のイベントの入場料等について観客等が払戻請求権を放棄した場合には、当該放棄した金額を寄附金控除の対象とするものです。

対象と期間

なお、対象イベントと期間は下記のとおりとなります。

対象イベント不特定かつ多数の者を対象とするイベントのうち、日本国内で開催する予定だったものであり、かつ現に中止等されたものを対象
対象期間令和2年2月1日から令和3年1月31日に開催予定だったイベント

申請方法

令和2年5月1日より、所定の申請フォームに必要事項を入力の上送信し、必要添付書類を窓口となるメールアドレスに送信することで申請ができます。詳しい申請方法は下記のガイドラインよりご確認ください。

(参考)文部科学省 指定行事の中止等により生じた入場料金等払戻請求権を放棄した場合の寄附金控除又は所得税額の特別控除に係るガイドライン

消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例

新型コロナウイルス感染症の影響により、事業者の一定期間(1か月以上)における売上が前年同期と比較しておおむね50%以上減少した場合、課税期間開始後における消費税の課税選択に係る適用の変更を可能とする特例です。

対象企業と期間

対象企業と期間は下記のとおりです。

対象企業令和2年2月1日から令和3年1月31日まで、任意の1か月以上の期間の収入が著しく減少(前年同期比概ね50%以上)した企業
対象期間令和2年2月1日から令和3年1月 31 日まで

制度の内容

具体的な内容を現行法と、特例案を比較して見ていきます。

現行特例
課税事業者の選択課税期間の開始前に届出が必要課税期間の開始後の申請による適用の変更を認める
継続適用課税選択を行った場合は、2年間の継続適用が必要。翌課税期間に適用を取り止めることを認める

申請方法

税務署に申請して税務署長の承認を受けることにより、課税期間の開始後であっても、課税事業者を選択する(またはやめる)ことが可能な当該特例を受けることができます。
国税庁HPで申請方法、申請書が掲載されていますので、参照ください。

(参考)国税庁 [手続名]新型コロナ税特法第10条第1項(第3項)の規定に基づく消費税課税事業者選択(不適用)届出に係る特例承認申請手続

特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税

公的金融機関や民間金融機関等が、新型コロナウイルス感染症によりその経営に影響を受けた事業者 に対して行う特別な貸付けに係る契約書については、印紙税を非課税とする特例です。なお、既に契約を締結し印紙税を納付した者に対しても、遡及的に同制度を適用して印紙税の還付請求を行うことができます。

まとめ

企業向けの緊急経済対策について、詳しく解説しました。また、制度の詳細は随時更新されるため、最新情報は随時、各省庁のホームページを参照ください。

(参考)財務省 新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置

財務省が令和2年4月30日に更新した資料です。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

著 者 篠原 泰之

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1990年生まれ、東京都出身。スタートアップで経営管理業務に従事する傍ら、管理部門構築支援や簿記講師、執筆活動など、財務経理を軸に幅広く活動している。日商簿記1級保有。