決算整理仕訳で悩まない!8つの手順と重要ポイント

決算整理とは

決算整理は当期の正しい利益を計算し、財務諸表や税務申告の元となる数字を導き出す重要な締めくくりになります。経理担当になりたての頃は、前年の仕訳を見て数字だけ変えてしまいがちでしょう。しかし、その年度に新しく必要となる仕訳もあるため、取り組む前には基本事項をおさらいしておくことが大切です。
今回は基本的な決算整理仕訳について、その手順や重要ポイントを解説します。

 

決算整理仕訳1:現金過不足

まずは、帳簿上の現金勘定と現物に誤差がないかを確認しましょう。現金勘定は硬貨や紙幣のほか、他人から受け取った小切手や配当金領収書なども含まれます。誤差がある場合は原因を追求しますが、どうしても判明しない少額な誤差が生じた場合は雑損失・雑収入で処理します。

例:現金が2,000円多い
(うち1,800円は取引先からの売掛金の未処理と判明)

<決算整理仕訳>

 借方金額貸方金額
現金2,000売掛金1,800
雑収入200

例:現金が3,500円少ない
(うち3,000円は社員Aの交通費精算が未処理と判明)

<決算整理仕訳>

 借方金額貸方金額
旅費交通費3,000現金3,500
雑損失500

 

決算整理仕訳2:銀行勘定調整

銀行の残高証明書と預金勘定の残高が一致しているかチェックします。もし不一致の場合は、原因をつきとめる作業が必要です。会社側と銀行側それぞれに不一致となる原因が考えられ、どちらに原因があるかで、会社の銀行勘定を調整するかどうか変わります。

例:預金勘定は2,570万円で、残高証明書2,500万円となっている。
<原因>

  • 未渡小切手(既に振り出したが、仕入先に渡せずまだ会社にある場合)30万円がある
  • 決済日の夜(時間外)に預け入れた100万円が残高証明書に反映されていない

<決算整理仕訳>

 借方金額貸方金額
当座預金300,000買掛金300,000

夜間預け入れについては仕訳なし

上記の仕訳と夜間預け入れ後の金額を照合すると、ともに2,600万円で一致します。一致が確認できた時点で、会計処理は終了です。

 

決算整理仕訳3:売上原価の算定

売上原価とは、売上高を生み出すために直接かかった費用のことです。販売業の場合は「期首商品棚卸高+当期仕入高-期末商品棚卸高」で計算します。決算整理仕訳は、商品の仕入高と繰越商品(在庫)の2つの勘定科目を使い、仕入高で売上原価を表す三分法が一般的です。

例えば期首商品棚卸高100万円、当期仕入高150万円、期末商品棚卸高80万円の売上原価の場合、売上原価は「100万円+150万円-80万円=170万円」です。では、この仕訳についてみていきましょう。

まず、決算整理前の残高試算表では、繰越商品(期首商品棚卸高)100万円、仕入(当期仕入れ高)150万円です。決算整理では期首商品棚卸高100万円と期末商品棚卸高80万円を使って、下記のとおり仕訳を起こします。

<決算整理仕訳>

 借方金額貸方金額
仕入100万円繰越商品100万円
繰越商品80万円仕入80万円

この仕訳により、繰越商品は期末商品棚卸高の80万円、仕入は売上原価の170万円に調整されます。

 

決算整理仕訳4:見越し・繰延べ処理

見越し・繰延べの処理とは、複数の会計期間に及ぶ損益がある場合、それを適正な期間に区切って配分する仕訳のことです。決算整理仕訳は、期首に再振替仕訳(逆仕訳)を行います。

費用の繰延べ

例:12月決算法人で、4月に1年分の手数料2万4,000円を支払った

<支払い時>

 借方金額貸方金額
支払手数料24,000現金預金24,000

<決算整理時>
当期分は、2万4,000円のうち9ヶ月分(4月から12月分)です。
したがって、当期分の手数料は9ヶ月分の1万8,000円、来期分は3ヶ月分の6,000円(2万4,000円×3ヶ月/12ヶ月)です。したがって、来期分の手数料を当期の費用から除外します。

 借方金額貸方金額
前払手数料6,000支払手数料6,000

収益の繰延べ

例:12月決算法人で、4月に1年分の手数料2万4,000円の支払いを受けた

<受取時>

 借方金額貸方金額
現金預金24,000受取手数料24,000

<決算整理時>

 借方金額貸方金額
受取手数料6,000前受手数料6,000

費用の見越し

例:12月決算法人で、借入金(借入期間1年)の1年分の利息2万4,000円を翌年4月の借入金返済時に支払う場合
利息2万4,000円の支払いは翌年4月ですが、そのうち9ヶ月分(4月から12月分)は当期の未払費用として処理します。よって、決算整理時に下記の仕訳を起こします。

<決算整理時>

 借方金額貸方金額
支払利息18,000未払利息18,000

収益の見越し

例:12月決算法人で、貸付金(借入期間1年)の1年分の利息2万4,000円を翌年4月の貸付金返済時に受取る場合
2万4,000円の受け取りは翌年4月ですが、そのうち9ヶ月分(4月から12月分)は当期の未収利益として処理します。よって、決算整理時に下記の仕訳を起こします。

<決算整理時>

 借方金額貸方金額
未収利息18,000受取利息18,000

 

交通費・経費精算システム「楽楽精算」 経理プラス メールマガジン登録

 

決算整理仕訳5:減価償却費の計上

事業用の固定資産等の価値を少しずつ減少させ、費用化する会計処理のことを減価償却といいます。減価償却費として損金算入できる額は、法律で定めた使用可能期間(耐用年数)と償却方法に基づく上限がありますが、会計ソフトの固定資産台帳システムに資産の種類や取得価格、耐用年数等を入力すれば、減価償却限度額は自動計算されることが多いでしょう。

ただし、事前に固定資産台帳の登録漏れや除却漏れがないか必ず確認してください。確認するポイントは、期中の取引のうち以下のような点が挙げられます。

  • 10万円以上の資産購入がないか
  • 固定資産の修繕費があれば資本的支出(価値を高めるための支出)でないか
  • 除却・買い替え など

もし上記の漏れがあった場合は、正しい仕訳に修正の上、その結果を固定資産台帳に反映させなければなりません。

減価償却費の仕訳には、直接法と間接法があります。この違いは、簿価を取得価格のままとするか未償却残高とするかです。

例:事務所用建物の減価償却費100万円を計上する
<直接法>

 借方金額貸方金額
減価償却費100万円建物100万円

<間接法>

 借方金額貸方金額
減価償却費100万円減価償却累計額100万円

 

決算整理仕訳6:有価証券の評価

売買目的の有価証券は期末の時価を簿価とし、その差額を評価損益で調整しなければなりません。仕訳の方法には洗替法と切放法があります。どちらも仕訳は同じですが、洗替法であれば期首の再振替仕訳(逆仕訳)が必要です。

例:取得原価1,000円の有価証券の期末時価が900円となった
<決算整理仕訳>

 借方金額貸方金額
有価証券評価損益100有価証券100

有価証券評価損益の代わりに「有価証券運用損益」でも構いません

 

決算整理仕訳7:消耗品振替

事務用品など消耗品を購入したけれど当期に使い切れなかった場合は、未使用分を資産に振替えます。

例:期中にボールペン20箱(@1,000円)を購入したが、期末に10箱余った

 借方金額貸方金額
消耗品10,000※消耗品費10,000

※10箱×1,000円=10,000円

 

決算整理仕訳8:各種引当金の計上

貸倒引当金などの引当金を計上します。貸倒引当金とは、債権の貸し倒れ見込み額を費用として計上するもの。算定方法は債権の区分で決められています。

仕訳の方法は、洗替法と差額補充法の2つです。洗替法は貸倒引当金の残高を戻し入れてから計上し直す方法、差額補充法は前期の貸倒引当金の残高に当期分を加減して補充する方法になります。

例:一般債権の過去の貸倒状況から、今期は貸倒引当金10,000円を計上する(貸倒引当金残高9,000円)

<洗替法>

 借方金額貸方金額
貸倒引当金9,000貸倒引当金戻入9,000
貸倒引当金繰入10,000貸倒引当金10,000

<差額補充法>

 借方金額貸方金額
貸倒引当金繰入1,000貸倒引当金1,000

 

決算整理仕訳が終わった!その後の作業とは

決算整理仕訳を終えた後は、P/Lから算出した損益を繰越利益剰余金に振り替え、その後、B/S科目を残高勘定に振り替えて翌期に繰り越し、決算は終了です。会計ソフトであれば自動で行ってくれる部分となります。

 

まとめ

今回は、決算整理の手順と仕訳について解説しました。スムーズな決算整理を行うため、ぜひ参考にしてください。

 

「経理プラス」メルマガでは、定期的に記事のランキングやおすすめ情報などをお届けしています。読み逃しがないよう是非ご登録ください!

「経理プラス」メルマガ登録は・・・ こちらから

 

経費精算システム「楽楽精算」

● 著者

石田 夏

石田 夏

税理士事務所、上場企業の経理職を経てフリーライターに転身。 簿記やファイナンシャルプランナー資格を活かして、 税務・会計に関する企業向けコンテンツを中心に執筆中。 ポリシーは、「知りたいをわかりやすく」。