ERP(経営資源計画)と経理の関係

ERPというシステムが近年一般的になってきています。このERPとは、いったい何を目指しているものなのでしょうか。そして経理部門とはどのような関係にあるのでしょうか。経理を巡る最新の動向にも関わる話ですので、今回はその概略について学んでいきましょう。

 

ERP(経営資源計画)とは

ERP(Enterprise Resources Planning)は、日本語では「経営資源計画」や「企業資源計画」と呼ばれています。経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報など)をどのように配分していくのかを検討することを意味します。
事業活動を発展的に継続させていくために企業が策定する経営方針(考え方)であると同時に、その計画策定を支援するためのシステムのことをERPと呼称することもあります。単にERPと呼ぶ場合、どちらかというと導入されるシステムについて語られていることの方が多いようです。

このERPが目指すのは、情報の統合と有効活用です。
企業がある程度の規模まで成長すると、必然的に部門が必要となってきます。企業内に複数の専門部隊を要することで効率化を目指すわけですが、実はここには落とし穴があります。それは部分最適を目指してしまいがちということです。

(例)資材調達部門が、調達単価の引き下げを目指して大量発注に踏み切った。その結果、単価は引き下げられた(最適化がされた)が、実は物流部門の人手不足が原因で在庫が手元に滞留している状態で、これ以上資材が来ても保管が難しい状態だった。

この例で言うと、企業全体でみたときに、資材調達部の部分最適が全体最適を妨げる結果となってしまいました。このような情報の非共有による非効率は、企業のあらゆるところで発生し得ます。調達、製造、保管、販売、物流、事務……それぞれの部門が抱えている情報がきちんと紐づくことで、企業は全体最適を目指すことが可能となるのです。

そして、事業活動の多くはお金という物差しで評価することができます。経理部門は企業活動の記録を担当する部署です。その情報を統合的に活用することができるようになることが事業活動に与える影響は、非常に大きなものとなります。

 

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財務会計と管理会計の機能

ERPと経理部門の関わりを考える上で、改めて確認をしておきたいのが「財務会計」と「管理会計」についてです。

財務会計

企業の外部公表のために必要なものです。株主や金融機関など、外部の利害関係者は企業が作成する財務諸表を通じて現状を把握します。また配当額の確定や融資返済の計画策定も財務諸表を通じて確定していきます。

財務会計が正しく達成されるためには、統一されたルールに従って処理をされていることが必要です。他社と異なるルールが採用されていたり、誤った資料や情報に従って財務諸表が作成されていたりしてしまうと、外部の利害関係者は正しい判断を行うことができなくなってしまいます。 また時期についても大切で、きちんと決められた期限までに情報が開示されることが非常に重要です。そのため、企業の経理部門は正しい情報を用いて、迅速に処理をしてくことが求められます。

管理会計

企業の内部関係者が経営方針を検討するために必要なものです。具体的な例としては「損益分岐点分析」「在庫管理」「原価分析」などが該当します。

昨今では経済環境の変化が本当に早く、企業が同じ方針のままで活動できる期間はどんどん短くなっています。企業が存続、発展を目指すためには、その場その場で適切な判断を下していかなければなりません。 そのためには自社の現状を正しく理解することが必要不可欠です。管理会計は健康診断のようなもので、経営者は診断内容をみた上で、今後の経営方針を柔軟かつ速やかに決めていかなければなりません。

 

ERPと会計

ERPの特徴は「情報の統合」であると説明しました。これは経理・会計処理についても非常に大きなメリットとなります。

(例1)資材調達部門が新しい発注をかけた。単価と数量をシステムに入力し、その結果が経理部門のシステムに即座に反映され、材料仕入の仕訳入力が自動的に終了した。

(例2)経理部門が月次処理を終了。販売部門がそのデータを受けて、今後の販売計画を策定。また広報部が決算数字を受けてのリリースを作成。

(例3)クラウドを活用した会計システムを導入。遠隔地にいる関係者も即座に情報が確認できるようになった。

経理処理には「会計情報の処理をするまでの段階」と「会計処理を終えた後の情報を活用する段階」が存在します。ERPの実行によって、その両方の段階について処理が迅速かつ正確に進むと共に、経理情報の有効活用が期待できます。

先ほど確認した財務会計、管理会計の観点からもその効果は非常に大きいです。外部の利害関係者に正確な情報が迅速に提示できる。内部関係者が正しい情報を基にして今後の経営方針を策定できる。特に経理部門はこれまで企業の中で切り離された部門として孤立しがちでしたが、ERPによってその重要度は高まってくることが予想されます。

 

まとめ

ERP(経営資源計画)とは、情報の統合的な活用を通じて企業の全体最適を目指すための考え方であると同時に、その達成を支援するためのシステムでもあります。会計には外部、内部それぞれの関係者に情報を提供する機能がありますが、ERPの活用によってその処理速度や正確性の向上、情報共有の促進が期待できます。

 

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● 著者

高橋 昌也

高橋 昌也

高橋昌也税理士・FP事務所 税理士 1978年神奈川県生まれ。2006年税理士試験に合格し、翌年3月高橋昌也税理士事務所を開業。その後、ファイナンシャルプランナー資格取得、商工会議所認定ビジネス法務エキスパートの称号取得などを経て、現在に至る。