経営力向上計画とは?制度の概要とお得な特典

中小企業向けの経営支援制度としてはじまった経営力向上計画。今回はその概要について確認をしていきましょう。

 

経営力向上計画とは?

経営力向上計画とは、中小企業の人材育成やコスト管理、生産性向上など経営力向上を目指して策定される計画書のことです。この計画書について国からの認定を受けた事業者は、税制上の特典を活用したり、融資活用による資金繰り支援などを受けたりすることができます。
(参考)経営サポート「経営強化法による支援」 ―中小企業庁

計画書には自社の概要、現状や課題について、経営力向上に関する目標やその施策などを記載する必要があります。基本はA4用紙2枚で完成しますので、一般的に想像されるような分厚い事業計画書よりは簡単に作成することが可能です。ただし、それでもこういった文書作成に慣れていない人にとってはそれなりの難易度となるため、作成および認定の取得について一定の支援制度が設けられています。

 

経営力向上計画、最大の目玉は「税制上の特典」

本制度における最大の目玉ともいえるのが、この税制上の特典です。中小企業が設備投資をする際、条件に該当する設備を導入することで特典を適用することができます。「設備の金額」と「その設備が先進性を有していて経営力向上に役立つもの」が条件となっており、特に製造業における機械装置などが主な該当資産となります。

固定資産税の軽減措置

企業が所有する機械装置や器具備品には、固定資産税の一種である償却資産税が課税されます。その償却資産税について、3年間にわたり2分の1に軽減されるという制度です。
多くの税制特典は、利益が出ている企業にしかその恩恵がありません。その一方、本制度の特徴は所有している固定資産に対する税金が軽減されるという点です。つまり、この特典に関していえば「赤字企業であっても恩恵がある」ということを意味します。大規模な設備投資をした場合、償却資産税はそれなりの金額になりますので、そのような予定がある場合にはぜひ適用を目指したい特典です。

中小企業経営強化税制

青色申告書を提出する中小企業者が、認定を受けた経営力向上計画に基づいて一定の設備を購入した場合には、100%の即時償却か税額控除(取得価額の10%)の選択適用をすることができるという制度です。
本制度に関しては、その前提となる制度があります。「中小企業投資促進税制」と呼ばれるものです。この制度自体は随分と以前からあり、30%の特別償却か税額控除(取得価額の7%)の適用を受けることが可能です。
イメージとしては、経営力向上計画の認定を受けることによりこの制度の効果がパワーアップするような感じです。また、中小企業投資促進税制では対象から外れてしまった設備についても、経営力向上計画では対象に含まれているものがあります。

即時償却を適用すれば、購入後すぐに全額が経費になりますので、短期的には相当大きな節税効果が期待できます。また税額控除は純粋なボーナスポイントですので、例えば1,000万円の機械装置を導入したら100万円もの税金が控除されることになります。

実際の適用時にはいくつかの制限も存在していますが、設備投資を検討している企業にとっては非常に大きなメリットとなる特典です。

 

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経営力向上計画におけるその他の特典

税制上の特典以外にも下記のような特典があります。

金融上の特典

経営力向上計画の認定を受けた中小企業者は、日本政策金融公庫や商工中金による低利融資を受けることが可能です。また民間の金融機関から融資を受けるときに信用保証協会を利用する場合に、通常とは別枠での追加保証や保証拡大を受けることができます。

補助金申請時の特典

国が実施する補助金の申請において、計画認定を受けている中小企業は優先的に採択を受けることができます。

このような特典が用意されています。特に税制上の特典は非常に効果が大きく、設備投資を検討している企業はぜひ認定の取得を目指したいものです。

 

経営力向上計画の認定を受けるためには?

経営力向上計画の認定を受けるためには、まず計画書を作成する必要があります。計画書は基本的に自社で作成をし、その後に自社事業の種類に応じて所管する主務大臣(例:建設業であれば国土交通大臣、衛生業務であれば厚生労働大臣など)まで計画書を提出することになります。
計画書を提出後、認定を受けるまでには一ヶ月くらいの時間を要します。特典を利用するためにはいくつかの期限があるため、計画書の作成から提出、認定を受けるまでのタイムスケジュールには、ある程度の余裕を持たせておく必要があります。

先ほども簡単に触れましたが、計画書の作成が自分では難しい場合、経営革新等支援機関からの支援を受けることが可能です。支援機関は地域の金融機関や商工会議所、それに税理士などの専門家が所属しています。支援機関に相談をすることで、計画書の作成から認定取得、その後の計画実施まで総合的に支援を受けることが可能です。

 

まとめ

経営力向上計画は、中小企業が自社の経営力向上を目指して作成する計画書です。国からの認定を受けた事業者は、税務、金融などの特典を受けることができます。特に設備投資を検討している企業には大きな特典が用意されています。作成は自社で担当しますが、支援機関の協力を得ながら作成し、認定取得および計画の実施を目指すこともできます。

 

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経費精算システム「楽楽精算」

● 著者

高橋 昌也

高橋 昌也

高橋昌也税理士・FP事務所 税理士 1978年神奈川県生まれ。2006年税理士試験に合格し、翌年3月高橋昌也税理士事務所を開業。その後、ファイナンシャルプランナー資格取得、商工会議所認定ビジネス法務エキスパートの称号取得などを経て、現在に至る。