重加算税の適用要件とは 仕組を学んで回避しよう
税務調査があったときに、注意しておかなければならないのが追加で納めなければならない税金です。追加の税金は過去の期間に遡るため、納税額が膨らんでしまうケースもあって頭を悩ますこともあるでしょう。そこで今回は、追加で税金を求められたときに加えられる附帯税の概要や、税率がもっとも高い重加算税について詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
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税務調査の附帯税の概要
附帯税とは、税務調査を受けた際に追加の税金が発生したときの罰金です。一般企業であれば、数年に一度程度の頻度で税務調査が入る可能性があります。日頃からきちんと会計処理をしているつもりでも、「うっかりミス」などで申告に誤りがある場合もあります。
追加の税金で注意しておきたいのが、附帯税と、不足した税金は別のものであることです。たとえば経費の申告に誤りがあって利益が増えた場合、本来支払うはずの税金分は「本税」となります。本税とは別に、何かしらのペナルティであると判断された場合に加算されるのが「附帯税」です。つまり、本税と附帯税は別々に発生します。
さらに附帯税は、加算税と延滞税のふたつに分けられています。加算税は追加の税金が発生する事由によって種類がありますので、税率とともに確認しておきましょう。
過少申告加算税
過少申告加算税は売上の計上漏れなどで、税金を少なく申告していた場合にかかるもので、税率は10%です。本来支払うべき税金に加えて、この加算税がかかります。期日内にしっかりと税務申告をしている企業でも、税務調査で会計処理のミスを指摘されたり、経費と認められなかったりした場合に加算されることがある税金です。
また、新たに支払う税金が、既に申告した税金額または50万円とを比較して、新たに支払う税金の方が多い場合は、超えた部分の税率が15%になります。
このような過少申告加算税は、税務調査の前に自分で修正を発見して申告した場合はかからないことになっています。申告後に自社で誤りを発見したら、できるだけ早く修正申告をした方が良いでしょう。
無申告加算税
無申告加算税は、申告の義務がありながら、決められた期日内に申告をしなかった場合にかかるものです。調査が行われる前に自分から申告をした場合は5%、調査後に申告をした場合では、金額やタイミングにより10%~25%の税率になります。申告をしなくとも税務調査は行われますので、高額な加算税を支払わないように、申告はきちんと行うことが大切です。
不納付加算税
不納付加算税は、源泉徴収して納めるべき税金を期限までに納めなかった場合にかかるものです。調査が行われる前に納付した場合は5%、調査で指摘されてからの納付は10%の税率になっています。納付した期日によっては、加算税を免れることもあります。
重加算税
重加算税は、税金を納める額を少なくするなどのために意図的に隠ぺいしたり、仮装したりした場合にかかるものです。「うっかりミス」ではなく「意図的に」という点がポイントで、もっとも重いペナルティとなり、税率は35%~40%になっています。重加算税となると企業としての印象も悪くなり、常に調査対象としてマークされることにもなりかねません。
重加算税となるケースとは?
先にも述べましたが、附帯税でもっとも重いとされるのは重加算税です。具体的には、次のようなケースが重加算税の対象とされています。
- 意図的に売上を計上しなかった
- 取引が存在しない経費などを水増し計上した
- 架空の給与支払いや、実在しない会社との取引を計上していた
- 棚卸を実際よりも少なく計上した
上記のケースは代表的なものであり、これに準じるような隠ぺいがあった場合は、重加算税の対象と判断されます。そもそも意図的に虚偽の申告をしているケースですので、ペナルティは重くなります。
加算税の負担が大きいことや、税務署からのチェックも厳しくなる可能性があることなどから、重加算税の対象になってしまった企業はそれなりのダメージを受けるでしょう。
重加算税の会計処理方法
もしも重加算税の対象となってしまった場合には、どのような会計処理になるのでしょう。その仕訳を確認してみましょう。
- 重加算税50,000円を現金で支払った
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |
租税公課 | 50,000 | 現金 | 50,000 |
重加算税を含む附帯税は、損金算入ができません。ですので、仕訳としては「租税公課」の勘定を使いますが、決算申告のときには損金扱いにはなりません。多額の加算税を支払ったとしても、納税した年度の所得に影響しないことになっています。
延滞税の計算方法
税務調査で追加の税金を納めなければならない場合、ほとんどのケースで延滞税も発生します。なぜなら、本来なら決められた期日に納めるべき税金を、遅れて納めることになるからです。
税務調査とは関係なく、納税が遅れたときの延滞税は、納期限の翌日から2ケ月以内なら原則として年7.3%になります。尚、平成26年1月1日からは、年7.3%と特例基準割合(※注)+1%のいずれか低い割合とされています。
(※注)各年の前々年の10月から前年の9月までの各月で銀行の新規の短期貸し出し約定平均金利の合計を12で割り、各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合のこと。
また、平成30年1月1日から令和元年12月31日までの期間では、年2.6%になります。さらに2ケ月を越えると、原則として年14.6%になります。尚、平成26年1月1日からは、年14.6%と特例基準割合+7.3%のいずれか低い割合とされています。こちらは、平成30年1月1日から令和元年12月31日までの期間では、年8.9%になります。
もし税務調査で2年以上前の申告に誤りがあった場合には、その期間分の延滞税がかかることになるため、その分負担は重くなります。意図的な申告ではなく、ミスがあっただけの申告漏れのときには一定期間の延滞税免除期間があり、負担を軽減できます。しかし、重加算税のように悪質な脱税に対して課せられる税金の場合は、免除期間がありません。
延滞税の具体的な計算式は、次のようになります。
(1) 法定の納付期限から2ケ月以内
(2) 法定の納付期限から2ケ月を越えた分
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- 延滞税は、それぞれの定められた税率で計算し、合算します。重加算税は免除期間がなくなりますので、期間が長いほど負担も大きくなるでしょう。
附帯税の支払い免除要件は
最後に、もしも附帯税を支払うことができない場合には、どのような扱いになるのか確認しておきましょう。
督促があったあとも税金を納めない場合は、「財産の差し押さえ」となる可能性があります。ただし、救済措置として「換価の猶予」と「納税の猶予」のふたつの猶予制度が設けられています
また、法人に限り自己破産をすることで税金を免除されます。(個人は免除されません。)ただし、合名会社や合資会社など一部の法人では、代表者に納税義務が発生することがありますので、注意しましょう。
まとめ
今回は、税務調査で請求される附帯税の概要や、附帯税のひとつである重加算税について、計算方法など含めてお伝えしました。税務調査では、追加の税金や延滞税など発生しないことが理想的です。重加算税の対象にはならないように、日頃からしっかりと正確な会計処理を務めておきたいですね。
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