平成30年度は補助額の変更あり!「IT導入補助金」最新情報と手続きについて

平成30年度は補助額の変更あり!「IT導入補助金」最新情報と手続きについて

中小企業向けの補助金として注目されている「IT導入補助金」ですが、平成30年度も引き続き補助事業は継続されることになっています。補助金額の上限や補助率に変更点も出てきていますので、改めて確認していくとともに、IT補助金導入に必要な手続きなどについても見ていきましょう。

IT導入補助金の概要について

「IT導入補助金」とは、正式名称を「サービス等生産性向上IT導入支援事業」といい、経済産業省が行う事業となっています。
中小企業・小規模事業者の「生産性の向上を図ること」を目的としており、ソフトウエアやサービスなどのITツールを導入する際に、その費用の一部を補助する制度となっています。平成30年度は、総予算を前年度の100億円から500億円まで大幅に引上げられ、利用する企業の総定数は前年度1万5,000社から今年度は13万5,000社としており、注目を集めました。

IT導入補助金の対象となるものは、業務効率化を図るITツールやホームページの制作などです。ITツールとは、たとえば経理・会計システムや決済システム、POSや在庫管理、顧客管理システムなどが挙げられます。これらのパッケージソフトの本体費用やクラウドサービスの導入費用、1年分のサービス利用料などが該当します。

ホームページの制作は補助金の対象となりますが、一定の条件があります。まったくの新規でホームページを制作するか、既存のホームページを新しいものに作り替える場合のみ、補助金の対象です。一部の修正やページの追加、画像の入れ替えのみなどは対象となりませんので注意しましょう。

IT導入補助金の対象となる事業者には、中小企業・小規模事業者を対象としている制度のため、規模の制限があります。業種や組織形態によって資本金と従業員の上限が決められており、その枠内であれば補助金の対象事業者となります。

たとえば、製造業、建設業、運輸業なら、資本金の額又は出資の総額が3億円以下、従業員が300人以下、卸売業なら資本金の額等が1億円以下、従業員が100人以下など、細かく分類されていますのでしっかりと確認するようにしましょう。

平成30年度の変更点は?

平成30年度のIT導入補助金制度ではいくつかの変更点がありますが、大きなものとしては「1.補助金の上限額」と「2.補助率」ではないでしょうか。

  1. 補助金の上限額
    平成30年度の補助金上限額は50万円となっています。平成29年度では上限額が100万円でしたので、補助額は半分になりました。
  2. 補助率
    平成30年度の補助率は1/2までとなっています。前年では2/3までとなっていましたので、補助率も低く設定されています。

前で述べたように、国としての全体の予算は100億円から500億円、利用する企業の総定数は1万5,000社から13万5,000とかなり増えてはいるのですが、幅広くたくさんの事業者に利用してほしいということから、その分補助額を抑えた取り組みになっているようです。

1件あたりの上限額が減額されたのは残念ですが、それでも補助対象システムの内容や上限50万円という補助額はかなり利用価値の高いものと考えられるでしょう。昨年度は1次募集と2次募集の計2回、募集期間がありました。平成30年度も同じような募集形態が想定されますので、補助金の申請期間に関する最新情報はしっかりチェックしておきたいですね。

(参照:一般社団法人サービスデザイン推進協議会「IT導入補助金」

IT導入補助金の手続き~支給後のスケジュール

それでは、IT補助金の申請の手続きから支給までの工程スケジュールについても確認してみましょう。
平成30年度は一次公募から三次公募まであり、2018年7月時点で一次公募は終了しています。

二次公募は8月3日(金)まで、三次公募は8月中旬から10月上旬頃が交付申請期間となっており、IT導入支援事業者を通じて申請します。その後、二次公募は8月15日(水)、三次公募は10月中旬頃にIT補助金の交付が決定される流れとなります。

交付決定後は事業の実施となりますので、ITツールやサービスの契約、納品、支払いを完了し、完了報告を行います。万が一事業内容の変更や遅延等が発生する場合には一定の手続きを取ることになります。

完了報告書提出後は書類審査を行い、不備がなければ事務局から確定通知書と補助金交付請求書の連絡が届きます。補助金交付の請求を完了させ指定口座に入金され完了となります。

入金は補助金交付請求書が事務局に到着してから約1ヶ月程度が目安とされ、交付決定から入金までのおおよその期間は3~4ヶ月程度は見ておく必要がありそうです。書類に不備があると、その分入金までの期間も伸びてしまうため、全ての書類は正確に進めるようにしましょう。

(参照:平成29年度補正 サービス等生産性向上IT導入支援事業 事業実施・事業実績報告の手引き

まとめ

中小企業・小規模事業者にとって利用価値のあるIT導入補助金ですが、交付を受ける前に「契約・発注・支払」を行った場合は補助金を受けることができませんので、十分に注意が必要です。申請の方法は、公式サイトからも丁寧に解説されていますので、確認しながら進めていきましょう。「IT関係が詳しくない」「補助金を利用したがどんなITツールを導入すればよいか分からない」など不安な場合は、管理システムなどを取り扱っている専門の会社にアドバイスを受けることもおすすめです。今からでも遅くないIT導入補助金、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

著 者 渡部 彩子

渡部さんお写真w240h240

大学卒業後、自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門に在籍。経理・総務・人事の実務を経験し、同法人在籍中に日商簿記2級を取得。その後、保険・金融業界での経理業務の経験を経て、ライターとして独立。これまでの実務経験を元に経理業務をテーマとしたコンテンツ制作を中心に執筆。