小口現金出納帳と現金出納帳の違いとは?記載方法やテンプレートを紹介

小口現金出納帳と現金出納帳の違いとは?記載方法やテンプレートを紹介

日常的に使われている現金出納帳ですが、小口現金出納帳についても、詳しく理解できていますでしょうか。

今回は、ふたつの帳簿の違いや現金出納帳の書き方、記載するときの注意点などについて紹介します。基本的な帳簿であり、決算書類にも利用される重要な帳簿ですのでしっかりと理解しておきましょう。
また、小口現金の基本や管理の改善方法について知りたい方はこちらの記事をも併せてご覧ください。

経理プラス:小口現金とは 管理をラクにする3つの方法と廃止のススメ

現金出納帳とは

現金出納帳とは、「現金」で取引があったものだけを記載する帳簿です。「現金で経費を支払った」「現金で売掛金を集金した」など、現金に関わる取引を日付順に記載します。

家庭で例えると、家計簿のような位置づけになるでしょう。いくらのお金が入ってきて、いくらのお金が出て行ったのか、そして、その都度のお金の残高はいくらなのかなど、現金出納帳はお金の出し入れの流れを順番に把握できるものです。また、会社法では10年、税法上では7年の保存期間が義務付けられている、非常に重要な帳簿類になっています。

現金出納帳はなぜ必要?

現金出納帳は、日常的な会計業務において重要度が高い帳簿です。まずは、現金出納帳がなぜ必要なのかをおさらいしてみましょう。

記載ミスの発見、不正防止のため

現金出納帳に記載した残高と、実際に手元にある現金が一致しているかどうかで、記載ミスの発見や不正防止につながります。もし、帳簿の残高と現金が一致しないとき、まず記載ミスが疑われるでしょう。

しかし、記載ミスもない場合、現金の出し入れで不手際があった可能性があります。最悪は、着服など不正が疑われることになるわけですが、帳簿と現金を両方チェックすることで、安易な不正行為を防ぐ効果につながります。

お金の入出を可視化するため

現金出納帳を記載することで、毎日の入金、出金を可視化することができます。現金での出入りは、特別な事情がない限り、1年間の流れはほぼ毎年同じように推移します。
そのため、いつごろに現金が必要になり、いつごろ入金になるかを把握できるため、事前に準備しておくこともできるでしょう。

現金出納帳と小口現金出納帳の違いを解説

それでは、現金出納帳と小口現金出納帳にはどのような違いがあるのでしょうか。主な3つの違いを詳しく見ていきましょう。

記載する内容の違い

一般的に、小口現金出納帳は日常的な雑費などの支払いに使うもので、郵送料や出張のときの交通費、立替払いの精算などですから少額です。その際は小口現金から出金し、小口現金が少なくなったときや決まった期日などには、新たに小口現金を一定額まで補充しておきます。

また、いくつかの部署が存在する会社の場合、部署ごとに小口現金を設ける場合があります。現金出納帳は、基本的に会社が現金で支払いをする、現金で受け取る行為に対して、一時的に管理するために使うものです。

記載する部署の違い

小口現金出納帳は、会社の部署ごとに管理されてることもありますが、現金出納帳は、経理だけで管理されるもので、部署ごとに存在するものではありません。

記載するタイミングの違い

現金出納帳と小口現金出納帳のいずれも毎日記載することが求められますが、特に経理が帳簿の金額との一致を確認する現金出納帳は、多くの企業が毎日記載しています。
しかし、もし部署ごとに管理された小口現金出納帳は、各部署に記載のタイミングが委ねられている場合が多く、経理担当者が関係部署に対して記載を促す必要があることも考えられます。

小口現金出納帳の必要性とは

小口現金は、日常の雑費や仮払など、細かな取引を処理する上で役立ちます。社内で部署が分れている場合、個人個人に対して仮払などを都度行えば、経理業務は煩雑になりがちです。小口現金として、少額の取引を区分しておくこと、部署ごとに小口現金出納帳を設けておくことで、個別のチェック機能も期待できます。

Excelテンプレートがありますので、参考にご活用ください。
経理プラス:小口現金出納帳テンプレート

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現金出納帳の取引と記載の仕方

では、現金出納帳に記載するときにはどのような手順になるのか、具体的に確認していきましょう。

次の3つの取引を例に記載していきます。

  • 6月1日に現金でコピー用紙(300円)を購入した
  • 6月3日に現金で切手(100円)を購入した
  • 6月5日に現金で売掛金(30,000円)を受け取った

●現金出納帳(円)

月 日勘定科目摘 要入 金出 金残 高
6月1日前月より繰越70,000
6月1日消耗品費コピー用紙30069,700
6月3日通信費切手代10069,600
6月5日売掛金5月分入金30,00099,600

帳簿によって多少の様式の違いがありますが、現金出納帳に記載される情報としては、取引の月日、相手勘定科目、摘要、入金、出金、残高が一般的です。

通常は、現金出納帳の残高と実際の手元にある現金の残高が一致しているかどうかを毎日確認することになります。記載ミスや、現金を出し入れするときの計算ミスがあるかどうかのダブルチェックができます。

現金出納帳を記載するときの注意点

現金出納帳を記載するときの注意点について、対処法とともにお伝えします。

伝票からの転記ミス

現金取引があった際に、経理担当者は入金伝票や出金伝票を作成することがあります。作成した伝票をもとに現金出納帳に転記しますが、その際に相手勘定や金額の転記ミスをすることも少なくありません。

金額の転記ミスは、最終的に現金と残高が一致しなくなるため発見しやすいですが、勘定科目や日付の転記ミスの場合、そのときでは気が付かないこともあるため注意しなければなりません。転記ミスを防ぐには、転記後に帳簿と伝票を照合し、レ点をつけるなどしてチェックしながら進めるとよいでしょう。

入金欄と出金欄の記載ミス

現金出納帳の入金欄と出金欄を間違えて記載するミスも意外とあります。いくつもの伝票を続けて記載しているうちに、ついつい前の行につられて記載をミスしてしまう場合があるのです。

このようなミスを防ぐための効果的な対処法は、全て記載したあとで再度内容のチェックをすることです。入金と出金の記入欄をミスした場合には残高が現金と合わなくなるはずですので、必ず最後に照合して差額がないかを確認するようにしましょう。

管理に圧迫されたら経費精算システムの導入を考えよう

現金出納帳は、細かな記載が必要とされるため、いくら注意していても記載ミスが発生するリスクがあります。また、小口現金があることで出張旅費や消耗品購入などの経費の仮払いが発生したり、毎日の帳簿と実際の残高の確認作業が伴い多くの手間がかかり時間的なロスも生まれます。
経理業務をもっと効率的に、ミスを少なくするためには現金での経費の仮払いを廃止し、「楽楽精算」などの経費精算システムの活用することがおすすめです。

たとえば、「楽楽精算」では仮払申請と仮払精算のデータを自動で紐づけて過不足分を自動で算出してくれるため、申請伝票と精算伝票の突合せや差額の計算などは不要です。
また、面倒な交通費精算は交通系ICカードをタッチして精算することで、日付や利用経路、金額等の使用履歴を元に精算ができるため、確認の手間が省けます。今まで手作業で行ってきた業務の効率向上にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

今回は、一番身近な帳簿である現金出納帳と小口現金出納帳について紹介しました。どちらの帳簿も、イメージとしては家計簿に似ているところもあり、経理の経験が浅い人でも理解しやすい帳簿です。
大切なのは、帳簿残高と手元の現金残高がぴったりと一致しているかどうかです。使用頻度の高い帳簿ですので、ミスがないように日々正確な実務に取り組みましょう。

この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

著 者 渡部 彩子

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大学卒業後、自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門に在籍。経理・総務・人事の実務を経験し、同法人在籍中に日商簿記2級を取得。その後、保険・金融業界での経理業務の経験を経て、ライターとして独立。これまでの実務経験を元に経理業務をテーマとしたコンテンツ制作を中心に執筆。