減価償却累計額と減価償却 同じ“減価”でも何が違う?

減価償却累計額と減価償却費との違いはどのような部分なのか、はっきりと区別して理解している人は少ないのではないでしょうか。どちらも固定資産の減価償却であることには違いないのですが、その性質は異なります。ここでは、混同しやすい減価償却累計額の概要や減価償却費との違い、仕訳処理の仕方などについて解説します。この機会に両者の性質の違いを理解しましょう。

 

減価償却累計額とは

減価償却累計額とは、間接法で減価償却を処理している場合に、評価勘定として計上するものです。評価勘定というと、すぐにはイメージができにくいかもしれませんが、まずは2つの記帳方法について詳しく解説していきます。

減価償却の記帳方法には、「直接法」と「間接法」の2つがあります。詳しい仕訳の仕方については後ほど解説しますが、「直接法」と「間接法」で減価償却累計額の表示方法が異なります。直接法では減価償却累計額を注記として表示をし、間接法では、減価償却費は減価償却累計額で表示をします。

貸借対照表では、減価償却累計額は資産の部に表示されます。しかし、マイナスの性質を持っているため、固定資産からマイナスをして残りの額を表示することになります。

資産の部で計上しながらマイナス表示になるのは、少し複雑な印象がありますが、売掛金に対する貸倒引当金のようなイメージが分かりやすいかもしれません。

 

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減価償却との違いを解説

減価償却費と減価償却累計額は、言葉の上では似ているイメージですが、性質としては別のものです。どのような違いがあるのでしょうか。

減価償却は、単年度の減価償却費であり、減価償却累計額は、今まで計上してきた減価償却費の累計額です。

ご存知のように、減価償却費とは、建物や設備機器、車両など1年度で経費計上できない固定資産について、複数年に渡り決められた耐用年数で毎年分割して経費計上するものです。

取得価額200万円の固定資産を8年の耐用年数で計上するなら、毎年25万円ずつ減価償却費として経費計上をします。保有している固定資産の数だけ、それぞれの償却方法に合わせて計上しています。

減価償却の計上方法は、定額法、定率法、級数法などがあります。一般的には、定額法か定率法を選択して計上をしていることが多いでしょう。

決算書では、減価償却費は損益計算書に計上されます。経費(費用)としての性質になりますので、売上額から差し引かれる経費(費用)として扱われます。通常は一般経費の中で減価償却費を差し引きます。

一方、減価償却累計額は、単年度で計上してきた減価償却費の累計です。減価償却を記帳するときには、「直接法」と「間接法」のどちらかを選択できるのですが、「間接法」を選択するときには減価償却累計額で記帳します。

「直接法」を選択するときには、減価償却費を直接的に固定資産から差し引くのですが、この場合、固定資産の取得価額がわからないという点から、減価償却累計額は「注記」として表示することになっています。

決算書では、減価償却累計額は貸借対照表固定資産のマイナスとして計上されます。減価償却とは別の部分に記載されますので、違いを理解しておきましょう。

 

減価償却累計額の仕訳の仕方

減価償却累計額の仕訳の仕方について見ていきましょう。減価償却費との違いも併せてご確認ください。

・減価償却累計額(間接法)
(取得価額200,000万円 定額法 耐用年数10年 減価償却費20,000円 2年目)

 借方金額貸方金額
減価償却費20,000円減価償却累計額20,000円

・減価償却費(直接法)
(取得価額200,000万円 定額法 耐用年数10年 減価償却費20,000円 2年目)

 借方金額貸方金額
減価償却費20,000円固定資産20,000円

上記は、決算時の仕訳方法です。決算書に記載される場合は、それぞれ下記の通りとなります。

・減価償却累計額(貸借対照表)

  
固定資産200,000円
減価償却累計額△40,000円
固定資産(純額)160,000円

固定資産の当初取得価額がわかり、減価償却がどのくらい行われたか、残額がどのくらいあるかがわかります。

・減価償却費(損益計算書)

  
販売費及び一般管理費○○○円
減価償却費20,000円
販売費及び一般管理費合計○○○○○円

一般管理費の経費(費用)の中に計上されます。この場合では、取得価額がわかりにくいので、注記で減価償却累計額が必要になるのです。

減価償却を行えば、決算申告書の添付書類として、減価償却計算書を提出します。減価償却した固定資産が一覧にあり、取得価格、耐用年数、それぞれ定額法や定率法など選択した償却方法やなども記載されます。

 

まとめ

今回は、減価償却累計額の概要や減価償却費との違い、それぞれの仕訳の仕方などについて紹介しました。減価償却は、企業が決算報告書を作成する上で重要な決算仕訳処理のひとつです。直接法、間接法のどちらを選択するかによって、仕訳方法が変わります。減価償却は、一つひとつに対して漏れなく償却を行わなければならず、手間がかかりますが、減価償却費と減価償却累計額の性質の違いをよく理解して、正しい仕訳、決算申告書作成ができるようにしましょう。

 

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● 著者

渡部 彩子

渡部 彩子

自動車関連の社団法人にて10年以上に渡り管理部門を経験。この経験を活かし、経理・総務・人事をテ ーマとしたコンテンツ制作を幅広く執筆。