e-文書法のキホン 電子保存できる対象書類と適用要件

e-文書法のキホン 電子保存できる対象書類と適用要件

「e-文書法」という言葉、多くの人に馴染みがない言葉だと思います。

では、「個人情報保護法」という法律はご存知ですか?
こちらは、「e-文書法」よりは聞きなれた言葉ではないでしょうか。

この2つの法律は、平成17年4月1日に同時に施行されました。
「e-文書法」という言葉が聞きなれない人が多いのは、ビジネスでもプライベートでも多くの人に影響があった個人情報保護法と同タイミングであったためかもしれません。

本日は、「e-文書法」の概要について、わかりやすく説明したいと思います。

 

「e-文書法」とは

「e-文書法」とは、一言で表すと「ほとんど全ての文書は電子データで保存して良いよ」という法律です。
「e-文書法」が施工されたことにより一部を除きほとんどすべての文書は電子データでの保存が可能になり、裏返すと企業活動で日々発生する書類のほとんどは破棄が可能になりました。経団連の試算では、税務書類の紙による保存コストは年間3,000億円と言われています。「e-文書法」に対応して文書を電子保存することで、紙による保存コストを削減することができるようになります。

また「e-文書法」に似たものに「電子帳簿保存法」というものがあります。「電子帳簿保存法」は2015年の税制改正で規制が緩和された法律で、両者とも書類を電子保存できるという法律ではありますが定義が少し異なります。
「e-文書法」と「電子帳簿保存法」の違いについては以下の記事で詳しく解説していますので、参考にご覧ください。

経理プラス:「e-文書法」と「電子帳簿保存法」の違いとは?文書のスキャナ保存、電子化について

「e-文書法」の対象となる書類

これまで、病院でのカルテ・処方 箋は紙での保存が義務であり、その量は膨大なため非常に大きな負担を強いられていましたが、「e-文書法」によりこれらの書類はハードディスクやDVDなどの記録メディアに保存できるようになりました。
その他にも、会計帳簿、請求書などの証憑書類、株主総会議事録、会社の定款など、ほぼ全ての書類は電子データでの保存が可能です。

「e-文書法」の対象外となる書類

総勘定元帳などの帳簿書類は一貫して電子作成していなければならず、「紙で出力し、その後スキャン」というのは認められていません。
また、「e-文書法」では3万円以上の契約書及び領収書も電子保存は認められていませんでしたが、2015年の「電子帳簿保存法」制定により、現在では「電子帳簿保存法」の対象文書として電子保存が可能となっています。

「e-文書法」の目的と、普及によるメリットとデメリット

そもそも「e-文書法」は、企業の競争力を強化するために 「組織の業務を円滑に遂行すること」や「事務効率を大幅に向上すること」を目的として作られた法律です。

個人で使用できるPCやタブレット端末が多くの人に普及し、働き方が多様化した現代において、電子化文書は確かに多くのメリットがあります。共有や検索、回覧などが容易なため業務全体のスピードに大きなインパクトがありますし、既に恩恵を受けている方も多いと思います。
ただし、利便性とリスクはいつも表裏一体なことは忘れてはいけません。電子データはその特性上変更が容易であり、その変更履歴を完全に保持する仕組みを作るのは難しかったり、書類に残された筆圧などの情報が消滅してしまったりと、証拠収集におけるデメリットがあります。

 

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実は大変?「e-文書法」を適用するための要件

「e-文書法」では小切手などキャッシュフローと直結する書類もスキャンによる保存が認められていますが、上記の真実性の保持のために電子署名とタイムスタンプを付けることが求められています。
電子署名とタイムスタンプ、これがくせものなんです。

第一のくせもの、「電子署名」とは

電子署名とは、電子文書が、「誰が作成した文書」で「その内容が改ざんされていない」ことを証明するためのものです。
単純な電子化文書ではなりすましが簡単にできてしまいますが、電子署名は、本物の取引先からPDFファイルと一緒に電子署名が送信され、受信した方でその電子署名を認証局で検証することができます。それにより、本物の取引先が作ったものだということが確認でき、ニセ業者がなりすましたものと区別することができるのです。

第二のくせもの、「タイムスタンプ」とは

タイムスタンプは、電子文書が、「その内容のもの」が「いつ作られたのか」を証明するためのものです。
紙であれば日焼けや追筆による改ざんは確認できますが、単純な電子化文書では「いつ作られたのか」という証拠能力は低いです。例えば、エクセルファイルなどでも表示される更新日時はパソコンの設定時刻を操作すれば、簡単に変更することができてしまいます。
タイムスタンプにより、時刻情報を偽造できないような複雑な暗号を時刻認証局が証明してくれるのです。

電子証明とタイムスタンプは導入コストが「大」

概要をお伝えしただけでも複雑そうな電子署名とタイムスタンプは、導入のためには外部のシステム会社に依頼しなければならず、その導入コストも大きいです。
経済産業省では、請求書などの多数の人が文書を通じて意思を表示するための書類は、電子化の必要性が高いと述べています。
しかし既に述べたコストの問題があり、実態としては請求書を電子化している企業のほとんどが電子署名とタイムスタンプを付けなくても済む方法を使っています。
または経費精算システムの中には電子化した請求書や領収書に自動でタイムスタンプが付与されるものがあり、安価に導入できます。
毎月の面倒な経費精算業務をシステム化したことをきっかけに、電子帳簿保存法に対応する企業も増えてきています。

 

最後に

皆様の会社でも文書の電子化を検討する際は、

・コストをかけてでも「e-文書法」に対応させるのか?
・コストをかけない形で書類の電子化を進めるか?

の検討をまずは行ってみてください。

デスクと書類管理をすっきりさせる救世主となってくれるかもしれませんね!

 

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この内容は更新日時点の情報となります。掲載の情報は法改正などにより変更になっている可能性があります。

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● 著者

服部 峻介(セブンリッチ会計事務所)

服部 峻介(セブンリッチ会計事務所)

北海道大学経済学部卒。有限責任監査法人トーマツ入社後、上場企業の監査、内部統制、IPO支援、株価算定、M&A、不正調査等を実施。経営コンサルティング会社役員を経て、Seven Rich会計事務所を開業。スタートアップ企業を中心に、3年で160社以上の新規クライアントに対して会社の設立から会計税務、総務、ファイナンス、IPOコンサルなど幅広い支援を行っている。